縦社会 営業雑感NO.273

 今回は、今の世相の根底に流れている世代間ギャップについての纏めを行います。小生が感じていることは、我が国においては、これまでの縦社会の崩壊です。崩壊の背景にあるものは情報です。これまで、縦社会を支えてきたものの一つに経験を積み重ねた経験に基づいた情報がありました。ところが、インターネット社会においては、経験を簡単に乗り越えられる情報が溢れております。従って、年長者から引き継ぐべき情報が減ってきています。もう一つは、長幼の序に関する社会の常識の変化です。家庭内でも、家長を無条件に尊重する習慣は崩壊していると思います。学校の部活などでも同様だと思います。

 ところが、根強く縦社会が残っている組織もあります。その理由の一つに縦社会に内包されている「やった者勝ち」の風習があります。小生の経験した寮生活や昭和の会社員時代にもありましたが、同世代の多数の人が理不尽と思っていることでも、伝統に従って、それを正として行う人が一人でもいれば、理不尽が通っていくということです。一人から一人に引き継がれているだけの理不尽も縦社会の伝統として行き残り、どこかの時代で理不尽が復活することがよくあります。宝塚や伝統校で顕在化した問題の本質はこの理不尽が伝統として引き継がれる縦社会の構造にあると思っています。

 一般企業においても成果主義の蔓延と年功序列制度の崩壊で、一見、縦社会は崩壊しつつあるように見えますが、組織統制の為には、役職による縦社会構造は必須であるため、形を変えて残っています。加えて、公務員や議員など、成果を評価しにくい組織では、今でも色濃く残っています。冒頭に縦社会の崩壊といいました小生の持論に反するようですが、実は、この残っている縦社会にこそ、崩壊の兆しがあると考えております。何故なら、縦社会の持つ「上意下達」の考え方が悪影響を及ぼしていると観ています。つまり、従来型の縦社会を信じている人達は、下位の者からの反論を許す筈もなく、下位の者は失敗してもひたすら謝って上位者の機嫌が収まるのを待つという「悪しき上意下達」があります。世代間ギャップが拡がった現在の世相においては、上位者のいうことを下位者は理解出来ずに、只うなずくだけで、何もしないという傾向があり、「悪しき上意下達」を助長していると考えるからです。結果として、縦社会の上位にいる方が、実態とは遊離した「裸の王様」状態になってしまっています。霞ヶ関や国会の常識が世間に通用しないと、よく言われますが、一部マスコミや大企業などにも、上層部だけが信じている縦社会があり「裸の王様」沢山おられるように思えてなりません。

 企業においては、役職などでの組織統制の為の新しい縦社会を模索する中、かなり以前からフラット型組織という考え方が普及しております。スポーツの世界でも、実力主義が定着し、チームスポーツにおいても、お互いをリスペクトするチーム関係が理想とされるようになりました。一部の組織で縦社会が継続していると誤解し、その中に安住している方が権力を握っているという構造こそが、現在の様々な混乱を招いているように思えてなりません。

 縦社会は思想としては「保守」です。一方で、インターネットは時間と場所を超越した情報社会を構築してしまいましたので、思想としては「革新」です。縦社会信奉者の持っている「保守」と情報の氾濫により社会が変わり始めている「革新」が、どのように決着するか?は判りませんが、不確実な時代背景を踏まえ強権的なリーダを求める傾向が強まっていることには危惧を覚えています。「長幼の序」は教養として留め、フラットな社会が登場することを期待しています。その為には、老人大国となった我が国の現状を踏まえ、少数派である若者の意見が反映出来る選挙制度改革が必要と考えます。

以上

2023年11月26日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii