DXの進め方(2)DXの狙い 営業雑感NO.264

 前回は、DXは業界の変化を伴う従来ITと異なるものであることをお話しましたが、業務システムとして使用している既存のITシステムを使い捨てにするわけにはいきませんので、新しいシステムとして再構築する必要があります。そこで、今回は、DXの持つ特徴を活かすシステム化の観点について纏めます。

 第一に、システム検討における着目点の変化についてお話をします。これまで、ITシステムを検討する際には、「ペーパーレス」という言葉に象徴されますように、帳票や伝票に着目して業務フローを見直しておりました。しかしながら、DXにおいては、以前にもお話をしましたが「窓口レス」になると考えており入力が中心になります。従来の帳票類を中心とした業得フローが大きく異なるわけではありませんので、従来システムを踏襲して再構築されるでしょう。

 TVCMでよく眼にします保険販売を例として、小生なりに掘り下げてみます。各社ともにスマホで簡単見積がうたわれておりますが、見積取得者は、見込み客となります。一般的な販売管理システムでは、見込み客は正式データとしては把握しておらず、契約後に顧客となってから管理対象となっています。しかしながら、販売実績を増やす為には、見込み客の情報が必須であり、見込み客を顧客へと誘導する行為が営業活動といえます。保険の外交員の方々は、この見込み客情報を自らの手帳などに書き留めて居たはずです。又、営業活動に着目したパイプライン方式などの理論により、見込み客を顧客として獲得することを支援する営業効率化システムも存在しています。加えて、ホームページ閲覧者を見込み客として分析するWebマーケティングも盛んに行われておりますが、ホームページ閲覧者の個人を特定することは、法的にも困難です。従って、見込み客情報を収集することに課題が残されておりました。ところが、見積取得アプリでは個人同意として取得できますので、見込み客獲得を一気に増やすことになります。更には、実際に見積をしなくてもアプリをダウンロードしただけでも見込み客として認識することになり、アンケートや特典で誘導することにより、アプリ利用者を契約者とすることも可能となります。つまり、DXの狙いは以下の三点となります。

  • 従来システムでは困難であった見込み客情報が本人承認を得た形で収集できる。

  • 従来は契約申し込み書などの契約書類を取得し、営業担当者や営業事務職が入力していた契約情報(個人情報)をお客様自身が入力することで、入力時の人為ミスを防ぐことが出来る。

  • 見込み客から契約者へ変化させる有効な手段を性別、年代などで詳細に分析することが出来る。

 但し、この窓口機能を業務改善に繋がるようにする為には、お客様が入力した契約情報を、従来システムに直接取り込めるようにするしくみを構築する必要があります。社内情報の流出・改修に対するセキュリティ対策もさることながら、個人情報である顧客自身が入力した契約情報の精査も必要です。住所表記や氏名など入力ミスの有無を検証する必要があります。これらの課題を解決した上で、従来システムの契約情報入力システムが改修されることになります。尚、保険契約では問題となりませんが、物品販売では在庫照会機能や、士業などのサービス業や医療などでは予約機能も合わせて検討されることになるでしょう。

 「窓口レス」とは、業務に関連して最初に発生した情報を発生場所で発生時点に入力できるしくみを構築することと考えます。結果としては、営業や受付など顧客との接点での業務が根本的に見直されることになります。勿論、従業員からの各種申請も見直されることになります。このような窓口アプリでは、AIやチャットの活用も進んでいくことになるでしょう。更には、アプリをより活用していただく為に、アフターフォローを中心とした顧客視点での情報提供が効率的に行えるしくみをアプリに組み込む必要が出てきます。アプリ機能の差によって販売実績に差が出る時代が来ると想像しています。

 DXの狙いの第二の視点は、クラウドサービスの活用です。これまで自社で保有していたサーバ群をクラウドに移行する、利用していた各種業務パッケージシステムをクラウド型のサービスに切り替える、新たなクラウドサービスを導入するなど、クラウドサービス活用を検討する必要があります。どのような形態でクラウドサービスを利用するのかは、個別の企業の事情により、全く異なると思われます。しかしながら、どのような形態を選択するにしても必須となるのが、社内ネットワークの整理です。データ網であるLANは当然のことながら、電話網・FAX網などLAN同様にIP交換方式に切り替えることが可能です。近い将来、全ての情報がIPネットワークに集約されることはあきらかです。自社の情報ネットワーク網を把握し、将来構想を纏める時期にきています。いうまでもなく、その際に一番、留意することはセキュリティであり、セキュリティポリシィの整備は必須となります。

以上