マイナカード混乱の原因 営業雑感NO.253

 今回は、マスコミを賑わせておりますマイナカード問題を小生なりに総括してみます。尚、これまでにもお話をしておりますが、小生は、マイナンバーにもマイナカードにも賛成の立場です。ところが、今回の政府・与党の失策により全否定されることを危惧しております。

 現在の状況に至った最大の問題点は、ビジョンが全く共有されていないことだと思います。先日、デジタル大臣が「マイナカードとマイナンバーを切り離す」と発言した事に対して、直後に政府高官から訂正発言があり、国会で野党から「デジタル大臣が暴走しており問題だ」と攻められていました。小生は、まさにマイナカードとマイナンバーは切り離すべきと考えていましたので、大臣の発言には賛成なのですが、直後に政府高官から否定されたところに根本的な問題があると推察いたしました。これまでにも、厚労省・総務省・デジタル庁と関係する省庁での言い分が担当部分についての認識のみを示し、他省庁への責任転嫁的発言が見られましたが、そもそも、最終的な状況について共有されていたのでしょうか?最終形を共有した上で、担当を分担することは有用ですが、マイナカード問題については、それぞれが、自分に都合のいいように解釈しているように思えます。その背景として、そもそもマイナンバー構想とマイナカード構想は別ものであったのではないでしょうか?マインバーは総務省で住民基本台帳の延長で国民総背番号として検討され、厚労省で健康保険証統一構想を検討しており、これをどこかでマイナカードとして合体させたのではないでしょうか?更に、デジタル庁がコロナ禍に便乗してマイナカード普及の為にマイナポイントを上乗せした結果が現在の状況と考えています。特に、コロナ禍を発端とする感染症対策問題は、完全に後付け情報ですから本末転倒と考えます。加えて、検討段階でのIT関連の諮問委員は、国民総背番号と健康保険証統一とマイナポイント付与などで専門分野も考え方も異なっていたように思いますので、マイナンバーとマイナカードを総合的に判断していた方はおられないのではないでしょうか?現在、登録された情報の総点検がなされているようですが、原点にかえってマイナンバーとマイナカードの目指すべき姿を明瞭にすることが急がれると考えます。

 第二の問題点は、情報の定義が曖昧なままで本運用を始めたことです。デジタル情報とは、いうまでもなく白黒を明確にした情報です。最近、住所表記の問題でアナログ表現では同一情報と見なしてもデジタル表現では異なる情報とみなされる「ゆらぎ」問題が指摘されていますが、これは、住民基本台帳や戸籍のデジタル化の段階から長らく指摘されていた問題です。ここに踏み込む為には住所表示の統一・市町村合併に伴う住所名称の変更の徹底・転居に伴う住所変更の徹底など、法整備が必要ですが、こちらは曖昧なままで放置されています。郵便番号が一つの答ではありますが、住民台帳や戸籍では郵便番号は必須情報ではありません。マイナカードに情報を紐付けする際に、自治体毎で異なる解釈がなされることは、リスクマネジメントの観点では必須リスク事項であった筈です。ここで、その判断を現場担当者任せにしていたことは、デジタル情報を扱うにしては素人に過ぎる状況ですが、政府がデジタル情報を扱うにもかかわらず政治的妥協を優先した結果だと考えています。

 第三の問題点は、マイナカードを健康保険証として使用する場合の現場運用が充分に考慮されていない事です。医療機関において健康保険証確認を行うのは、月初に始めて診療を受ける際だけです。加えて、健康保険証だけはなく、障害手帳や原爆手帳などは別途提示する必要があります。従って、健康保険証がマイナカードに切り替わっても病院の受付業務が効率化される訳ではありません。健康保険証以外の障害保険などの公費と呼ばれる医療費補助の情報も一元化され、且つ、診察券情報と一体となって始めて病院の受付業務は効率化されます。健康保険証が廃止されてマイナカードに一本化されてもこの問題は解消されません。又、自分に関する医療情報がマイナアプリで一元化されるという利用者メリットについても保険請求されたものだけですから自費情報は見れませんので、一元化された医療情報とはとてもいえません。尚、薬剤情報や検査情報の共有については、既に、厚労省が長年指導していた地域医療体制の確立のなかで部分的ではありますが、既に実現されています。但し、特定の地域内に限定されていますので、全国一律というわけではありません。あと一歩、地域医療ネットワーク間の情報流通方法を確立すれば解決します。マイナカードによる医療情報の共有とは別次元の問題です。一体、誰の為の健康保険証のマイナカードへの一本化なのか?が、全く判りません。政府は運転免許証への適用も考えておられるようですが、単に、全国民への普及を急ぐ為だけの施策であるのであれば、DXには逆行するものとなり兼ねません。

 前述にようにマイナカードによる混乱は、ITシステム構築においては、王道とされている基本設計の不備によるものと考えております。マイナンバーとマイナカード、更には、マイナアプリ、この三つを総合的に設計し、出来る分野を絞って一歩ずつ進めることが国家としてのDX推進に繋がると確信する次第です。

以上