今回は、我が国の権力構造の課題を考えてみます。一番の課題は、前回お話ししましたように世襲が常態化していることです。これは、与党だけでなく野党も同じです。今の野党の中には、90年代に小選挙制を採用し二大政党制を目指していた時代に自民党から離党した方が多いことにも遠因があると考えます。自民党的な考え方においては、選挙区との繋がりが第一であり、世襲することで継続的に選挙区の利益代表として機能することを是としています。従って、選挙区における後援会との繋がりにおいても、後援会幹部が地方経済の有力者であり、後援者自身も世襲の傾向が見られますので尚更です。加えて、長年自民党政権が続いたことにより、地方にも自民党基盤が定着し、地方議会と国会議員の間にも強い相互依存関係が生まれ、知事・市長などもその延長で決定する構図ができあがっています。そうなると安定を求めて変化を嫌う傾向が強まり、益々、世襲を助長することとなります。議員死亡時などに、無理矢理、血縁者を引っ張り出すことに繋がっていきます。世襲議員の一族は、選挙区における名士となり、地方世襲議員とその後援者の間で選挙区を牛耳っている構図も散見されます。
この選挙区における世襲を防ぐには、世襲議員が立候補する場合に選挙区との繋がりを切る必要があり、立候補する選挙区を変えるなどの方策を設ける必要があります。これは、選挙法改正という問題ではなく、党としての公認候補選定の問題です。その為、公認を開かれたしくみにする必要があると思います。今のところ、党員としての活動実績を重視している共産党や母体となっている宗教団体からの推薦が前提となっている公明党を別にして、世襲問題を含めて野党含めて各党の公認候補選定のしくみは公開されたものとはいえません。各党においては、最低限、共産党のように党員には明確に判るしくみが必要なのではないでしょうか?
選挙区と世襲の問題以外に、我が国の権力構造での課題は対立軸が不明瞭であることです。保守/革新と憲法改正/擁護の二つの対立軸は明示されていますが、何を持って保守というのか?革新とは何か?憲法改正とは第九条の戦争放棄に関す事だけなのか?曖昧なままで議論されているように感じています。今の野党は弱いとのご意見はごもっともです。特に、政権交代を目指すのであれば、野党の選挙協力は必須となるはずです。一部野党のいうように政策で合意出来ないのであれば、選挙協力をしないというのは小選挙区制を無視した発言で、それを実現するのであれば、小選挙区制を見直すしかない筈です。その意味では対立軸が不明確なままでの小選挙区制の採用したことに問題があると考えています。
小生は政治における対立軸は、大きな政府/小さな政府に尽きると考えています。現状は社会福祉も含めて我が国は大きな政府を目指しています。マイナンバーカードの採用も、政府が国民を一律管理するというしくみと考えれば大きな政府の基盤となる制度です。しかしながら、小泉政権が目指したものは、小さな政府であった筈です。小さな政府を目指して米国型資本主義を推奨し、新会社法などを制定しました。その後、終身雇用を前提とした公務員法改正や年金制度改革も視野にいれていた筈です。ところが、小さな政府を引き継ぐ筈の政府与党が現在採用している政策は大きな政府たらんとするものばかりです。小泉政権における米国型資本主義の採用には、個人的には反対ですが、それを徹底するのであれば政府与党は積極的に民間を活用し小さな政府にむけて邁進すべきでしょう。電力事業の民営化をなおざりにして水道などのインフラ保守事業を民間に委託するなど部分的に民間を活用するのであれば、利権の温床となるばかりです。小泉政権は、規制緩和・郵政民営化などをお題目としていましたが小さな政府を掲げていませんでしたので、経済原則による自由競争活性化による小さな政府の実現を目指していたことが明確にされませんでした。ここに、現在の政府与党の政策との矛盾が発生しています。小泉政権(特に竹中氏)は、小さな政府を目指す自民党と大きな政府を目指す野党という図式を考えていたのかもしれませんが、小さな政府を目指している政党は、今はないと考えています。尚、共産主義とは、大きな政府以外の何者でもありませんし、全体主義国家の目指すところも大きな政府です。
小生の考える小さな政府とは、竹中構想とは少し異なり、地方自治を優先し、官僚及び国会議員による国家権力の権限を最小限にするものを想定しています。小さな政府という言葉はありますが、具体的にどのような構造にするのか?を明確にした議論はまだ活性化されていません。先ずは、小さな政府を掲げる政党の出現に期待しています。個人的には、大きな政府、小さな政府、どちらにも異なる方法論が存在すると考えますので、それぞれを目指す政党が混在する中選挙区制に目指すのがいいと思っていましたが、急激な人口減少が想定されていますので、小選挙区制のままでの二極化を急ぐべきとも考えます。
以上