権力者腐敗の考察2 営業雑感NO.251

 権力者腐敗について、前回は、私優先・依怙贔屓・神格化にその兆しが顕れるとお話ししました。今回は、腐敗しやすい権力者の状況を考えてみます。

1)長期政権

 権力を長らく手にすることによる権力者の腐敗については、歴史の語るところです。従って、権力者に任期を定めることは、法治国家においては通例化しています。ところが、安定政権を担ってきた権力者の多くは任期延長を求めます。更には、選挙民も社会の安定を求める為に善政をしいた権力者の長期政権を容認する傾向があります。過疎化が進む地方では、政治を志す人がいないためにズルズルと無投票で現職が続投する場合も見受けられます。

 政権が長期にわたることにより、権力者周辺の環境も固定化してきます。権力者周辺の陣容も権力者の依怙贔屓を産みやすいことになります。経済界の支持者との間には利益誘導が発生しても歯止めが効きにくくなり私物化の温床ともなりかねません。つまり、長期政権は権力者腐敗の兆しと直結しています。

 余談となりますが、長期政権に拘っている中国とロシアの現職の状況をみていて気付いたことがあります。それは、長期政権実現に向けての施策は、徹底した政敵排除に尽きるということです。これを機にヒトラーなど、歴史の独裁者を振り返りましたが、全ての場合で政敵排除がなされていました。小生が今後、歴史の証人になるかもしれないと着目しているのが、中国共産党による今回の主席任期の延長です。毛沢東時代の権力腐敗への対策として決められていた任期制限でしただけに、習近平政権の終わり方に興味が尽きません。ウクライナのような国境紛争に舵を切らないことを願うばかりです。

2)世襲

 最近、政治家の世襲について話題になっておりましたが、飽きやすい国民性なのか?マスコミの取材姿勢なのか?下火になりつつあると考えています。しかしながら、世襲による親子二代の政権担当とは、見方をかえれば世代を超えた長期政権ともいえます。我が国の選挙制度では、選挙区の支持基盤を世襲で引き継げますので、選挙改革に期待するしかありません。しかしながら、安価な官舎、領収書なしの補助費に顕著なように既得権益にふれる改革には、極めて消極的な国家議員を見るにつけ、暗澹たる気持ちになります。国会議員は当選回数が評価基準となっているようですが、これも選挙区における一つの長期政権と同じように感じています。国会議員の世襲、特に政権与党の議員世襲は、必ず改めるべき課題と考えています。

 世襲の功罪は江戸時代を振り返れば分り易いと思います。江戸時代は、大名だけでなく、家臣団も世襲でした。民間においても世襲は当たり前の社会構造でした。世襲における最大の欠点は、能力ではなく家柄で評価されるという点です。言い換えれば、人生における依怙贔屓が定常化し、国民に階層が出来ることです。江戸時代に名君と評される方は、必ずと言っていいほど、能力主義による人財活用を行っています。しかも、抜擢された方は、殆ど、世襲されていません。つまり、能力主義は一代限りとなっています。

 世襲の利点は、なんと言っても継続性だと思います。歌舞伎における家元制や家業継承などに代表されるように一代で出来ることには限りがあり、それを積み重ねることで新たな価値を産むことが出来ます。又、創業者理念の引き継ぎは家族の愛情にはぐくまれることが多いのも事実です。

 世襲は民間においては利点も多いと思いますが、権力者にとっては「百害あって一利なし」というのが持論です。

3)選民思想

 最後が選民思想です。民主国家における権力者においては、国家を治めるといういうことは職務であって、国民の上に立つということではありません。ところが、国家を治める資質がある特定の集団の中にあると考え方が選民思想です。同族・同窓・教団などその母体となる集団はいくつもあります。しかしながら、小生が警鐘をならしたいのは、集団による選民思想ではなく、何らかの権力を手にした方の考え方として発生する選民思想です。つまり、職務を資質と勘違いして思いこむことです。「大事を為す前の小事」「多くの成果を得る肥やしとしての犠牲」など、権力を行使する方が、権力をうける方の上位に位置すると考えることを後押しする言葉もありますので要注意です。

 以上のように権力者の腐敗を促す「長期政権・世襲・選民思想」が「私優先・依怙贔屓・神格化」を産むと考えます。民主国家においては、長期政権・世襲については制度整備をすることが必須ですが、選民思想については本人の自覚に頼ることになります。権力者の日常の言動を注視して、権力者の持つモラルを見ることが重要と感じています。

以上

2023年6月25日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii