組織弱体化の考察 営業雑感NO.238

 WBCは国民を熱狂させました。先のサッカーワールドカップ、WBCと二つ続いたスポーツイベントで、監督の選手起用が勝因とされているのは、ご承知のとおりです。選手起用の背景に選手能力の的確な把握があったことは言うまでもありません。小生は管理職にとって最も重要で最低限必要な能力は、部下を評価することだと考えています。ビジョンを策定する構想力や環境変化に応じての決断力は、業績に大きく影響します。しかしながら、部下のやる気に一番影響するのは評価です。組織力を決めるのは部下のやる気です。いい構想を持っていても部下のやる気がなければ、絵に描いた餅になりかねません。今回は、前回の人事考課をうけて、部下を評価する際の留意点を別の視点からお話します。

 歴史において国家が衰退していく過程を観てみますと、必ずといっていいほど、そこには佞臣の存在があります。佞臣とは、君主が「えこひいき」によって創った存在です。つまり「部下を見る眼」の無い君主が国を滅ぼすといっても過言ではありません。ところが、佞臣の多くは、実務能力には長けています。従って、部下の能力を見誤っている訳ではありません。一方で、名君のかげにも「名臣」が存在しています。ある意味「名臣」も「えこひいき」をうけています。そこで、「佞臣」と「名臣」の分けるのは君主にあるというのが小生の結論です。多くの場合、「佞臣」を育てた君主は、名君の誉れの高かった方が多いことに着目しました。つまり、自分の能力を自分で高く評価している方ほど「佞臣」を育てやすく、自分の能力を謙虚に見ている方は「名臣」を育てやすいと考えた次第です。

 企業においても、「えこひいき」は存在します。「えこひいき」を無くす為の仕組みが、前回お話をした人事考課です。人事考課において評価項目や評価基準を明確にすることは、評価者の恣意がはいりにくくすることを目的としています。更には、人には好き嫌いがありますので、以前、お話したように「人事は、一に好き嫌い、二に好き嫌い、三四がなくて、五に好き嫌い」となります。好き嫌いにも、仕事のやり方、思想・信条、性格などがあり、好き嫌いの原因を見極めるようにお話をしました。

 一方、部下が「えこひいき」を得る為の手法が「ごますり」だと考えています。上を見て仕事をする「ひらめ」という言い方もあります。「忖度」とは、本来は少し違う意味があるのですが、マスコミで話題となっていた官僚の行為は、言葉遊びをしているだけで、「ごますり・ひらめ」と同様と感じます。小生は、「自分の考え」の有無で「忖度」と「ごますり・ひらめ」を区別しています。従って、「部下の考え」を理解することが必要ですが、有能な部下は、「自分と考え」と「上司の考え」を同一視させることが上手ですので注意が必要です。しかしながら、企業においては「ごますり・ひらめ」は、自分が判らなくても周囲の人には、見えていることが多いものです。そこで、名臣を産む名君にあやかり、謙虚になって周囲の意見も聞きながら部下を評価することが必要になると考えました。

 「佞臣」が国家を滅ぼしたように、「ごますり・ひらめ」は組織を弱体化させます。なぜなら「ごますり・ひらめ」は「自分の考え」を持たない為に、ビジョン構想力や決断力は、上司任せで、自らの能力は乏しいからです。更には、「ごますり・ひらめ」が上司となった場合は、部下にも「ごますり・ひらめ」を求めます。「ごますり・ひらめ」の連鎖は、構想力と決断力に乏しい組織となります。

 上司の自覚を促すことに加え人事考課において「ごますり・ひらめ」を排除するしくみを持つことが必要です。その為には、「ごますり・ひらめ」の連鎖を防ぐ為に、管理職登用における評価に360度評価を採用するなど、推薦者である直属の上司評価を検証するしくみを採用することをお薦めします。更には、派閥は「ごますり・ひらめ」の温床ともなりかねませんので注意しましょう。

以上