給与体系私案 営業雑感NO.236

 今回は、新しい給与体系について私案を纏めます。給与体系の変更は経営へ大きな影響を与えますので、ビジョンメイクとセットにして推進することが前提となると考えています。小生の掲げるビジョンは、「全従業員を人財として生涯教育を支援していくことで人財を潤沢に確保することで業績拡大を目指す企業となる」です。以下の私案は、このビジョンを前提として、少し極端な案にしています。

 給与には生活保障面と業績貢献面の二面性があります。先ずは、この二つを従業員にも明確に理解出来る仕組みが必要と考えます。小生は、業績貢献については「決算賞与」として一本化し、定期的に支払う日給や月給などを生活保障と位置づけるべきと考えます。現在、多くの企業で採用されている賞与は半期毎に支払われておりますし、月給の二ヶ月分などの計算式が用いられることが多く、業績貢献とは言いがたいと思います。小生の考える「決算賞与」は、決算時期に合わせて年一回支給するもので、月給などの生活保証面の報酬とは全く無関係で、決算時に定例的に行う、いわば利益の山分け的な報酬です。勿論、赤字の場合は支給されません。

 今の報酬制度での中で一番の課題は、生活保障的な考え方で実施されている定期昇給(ベア)だと思います。春闘などもこの定期昇給を巡って行われますし、現政権の「昇給のお願い」もこの定期昇給を対象としています。小生は、この定期昇給を廃止すべきという立場です。なぜなら、定期昇給こそが年功序列と経済が常に右肩上がりで安定成長していることを前提とした仕組みと考えるからです。小生は、基本給をいくつかの等級にわけて、年齢や勤続年数に関係なく等級別に一律の「等級別基本給」にすべきと考えます。企業はこの「等級別基本給」を、主に求人市場を見て判断すればいいと思います。例えば、求人難の際には、初任という最低等級の基本給を上げて、これに伴い各等級基本給を上げることで採用枠を確保することになります。過去のベアを参考にしながら既存の基本給に見合った初任給を計算し、その初任給に合わせて今年の定期昇給を計算するという複雑な作業が単純化されます。更には、住宅手当や通勤手当など多くの手当が存在していますが、これらの手当は、税法的には全て所得として計上されています。同じ所得として計上するのであれば、小生はこれらを廃して等級別基本給に一本化しては如何でしょうか?等級別基本給と別に考慮すべき手当としては、「職務手当」と「管理職手当」の二つだけと考えます。勿論、残業手当については、法律の定めるところに従います。

 現在でも職能給を採用している企業が多いと思いますが、小生の考える「職務手当」とは、業務能力に関係する手当で、営業・生産・経理などの業務遂行能力に関係する手当です。多能工のように様々な職務をこなせることを目指すべきと考えていますので、例えば、経理から営業に職務変更をした場合、経理の職務手当と営業の職務手当の双方がもらえる手当と考えています。勿論、職務毎に能力に応じた等級を設けられると考えます。ですから、一つの職務のプロを目指しても、様々な職務を経験しても手当が増えるというものです。技術革新などによって生まれた新しい職務についても職務手当を新設し、手当増額を保障して職務変更を促すことが可能になると考えます。インターネットの登場で経営環境が大きく変化する時代ですので、職務能力に報いる報酬制度が必要と考えた次第です。

 「管理職手当」については、課長・部長・事業部長などの役職毎に決められる手当と考えます。但し、役職に就く条件として基本級の等級と職務手当の等級を決めて従業員に公開すべきと考えています。又、管理職は一度就任すれば継続的に就任出来るものではなく、役職離任は自由に行えるものと考えています。従って、課長を何年続けても部長にはなれない仕組みです。部長になる為には等級を上げるしかありません。又、役職離任になることもありますが、その際には役職手当がなくなるだけですし、役職離任の後に、再度、課長に就任することもあります。つまり、役職とは組織長としての職務に支払われる報酬です。加えて、組織長の任命は、環境変化に合わせて経営者が自由に行えるものとすべきという考え方です。

 尚、少子化や介護に対する保障については、手当などの報酬に関係させるのではなく、休暇取得による時間保障、託児所などの設置や奨学金制度など、給与報酬とは異なる仕組みを考えるべきと考えます。又、今後の人口減に対応するためにも縁故採用を推進すべきと考えておりますので、中途採用含めた採用に関する報償も給与体系とは別の仕組みが必要と思います。

 生活保障と業績貢献の報酬としてどちらを優先するか?は経営判断となりますが、一つの指針となるのは競争の激しさになると考えています。世界市場でTOPシェアを激しく争っている企業においては業績貢献を重視することになるでしょう。一方、TOPシェア争いとは遠い位置にいる地場企業においては地域の安定雇用を目的として生活保障を重視することになるでしょう。どちらを優先するかは、時代によっても変わってくるものと考えます。但し、どちらを優先しているか?を従業員に示す必要があると考えます。小生の考える給与制度は、従業員への公開し、従業員が目指すべき方向を分り易く示すべきと考えています。

 給与体系の見直しは、現給与との差額が発生することから簡単に実施できることではありませんが、経営環境の変化により、全ての企業が考えるべき時期にきていると思います。

以上