今回は、これからの企業経営にとって不可欠と小生が考えております社風について纏めます。社風という言葉は、最近なかなか耳にしなくなりました。社風が消えてしまったわけでは無いと思いますが、外部からは、なかなか見えにくくなっています。その代表として、企業名を冠した「トヨタマン」や「三菱マン」などのような○○マンという表現は、殆ど耳にしなくなりました。その理由の一つには、マンという男性呼称に抵抗があることも考えられますが、社風は社員の行動に顕れますので、この会社の社員は、同じような行動をとるという印象を残す企業が減っていることにも起因していると思います。尚、業種全体を指す「銀行マン」や「証券マン」などの呼称を聞かなくなったのも、業界で共有していたモラルに関連していると思われますが、これについては研究不足ですので、ここでは触れません。
社風を耳にしなくなった理由を考えるにあたって、先ずは、これまでに社風を確立していた企業の多くで共通的に行われていた事を列挙してみます。
・創業者訓示などを社訓として全ての職場に掲示する。
・経営会議を含めた公式な会議体においては、会議開始前に社訓を確認する。
・朝礼で、社訓に基づき作成された、なすべからざる事・なすべき事などの行動規範を全員で斉唱する。
・新人教育においては、社訓を繰り返し覚えさせる。
これらの項目のいくつかは、小生も会社員時代にした覚えがあります。しかしながら、どうでしょうか?これらの慣習ともいえる事を今でも続けている企業はあるのでしょうか?小生は、殆ど無くなっていると思います。逆にいうと、これらの職場慣習が社風を醸成していたとも考えられます。
社風というものは、社員の行動に関係するという特性を持っていますが、個人の心に関係するだけにそれを醸成するには時間がかかります。ある意味、宗教と同じです。宗教には経典があり決まった礼拝作法があるように、社風にもそれらに変わるものが必要で、社訓や上記のような職場慣習であったと愚考しています。しかしながら、全体主義的なこれらの職場慣習を継続することは難しい状況です。ましては、リモート勤務や裁量労働制など、勤務環境も変わっていますので尚更です。ところが一方で、米国のGAFAに代表されるITベンチャーには社風が存在していると観ています。その背景としては、創業者を神ともみなす社員の行動にあると考えております。つまり、社風の醸成には、社員行動の拠り所となる何かが必要と考えました。
小生は、ビジョンメイクにその答えがあると愚考しております。先ず、経営者が一番になすべきことは、ビジョンの明確化にあると思います。但し、そのビジョンには二種類があり、その一つは、既に掲げている企業も多いと思いますが、従来の社訓のような普遍的なものです。HPなどで企業をアピールするためには、この普遍的な企業テーマは必須です。もう一つが小生の考える社風醸成の基礎となる、その時々の経営方針をあらわす経営者のビジョンです。私か我々を主語として一番優先するステークホルダーに対して、企業の目指すべき姿を経営者が明確に宣言したものです。多くの企業では年度毎に経営戦略と事業予算を立案していると思いますが、その冒頭に、この経営者のビジョンを掲げるべきと考えています。そして、この経営者のビジョンを受けて、組織長も自らのビジョンを作成し、部門毎の事業計画や事業予算の冒頭に掲げることを想定しています。何故、このようなビジョンを明確にするかというと、これまでの事業計画や事業予算では、売上などの経営数値が基本となっている為、日常の社員の心構えを示すものが含まれていないと考えたからです。この社員の心構えこそが、会社にモラルに直結していきます。以上が、社風の醸成の為のビジョンメイクの仕組みです。
インターネットの普及により、企業の情報インフラはこれまでとは、全く異なる次元に否応なく突入していきます。更には、SDGsに象徴されるように、企業における社会貢献も求められるようになります。これからは、これらの経営環境変化への対応を常に求められる時代になると確信しております。従って、安定した経営環境の時代にあった社訓や職場慣習ではなく、新しい社風の醸成方法が試されると愚考した次第です。
社風をどのように醸成していくかは、ビジョンメイク問題だけではなく、評価方法や非正規雇用などの人事制度も考えることが必須となります。小生は、永年勤続・360度評価を持論としています。こちらについては、これまでにも触れておりますが、改めて整理をして、お話をしたいと思います。
尚、本雑感No.31 会社のモラルにも別の見方から社風について書いておりますので、合わせて参考にしていただければ幸いです。
以上