モラルの効用 営業雑感NO.231

 前回、社会のモラルについて持論を述べましたが、今回は、モラルのもたらす効用について考えてみます。

 以前にもお話をしたと思いますが、モラルの持つ一番大切な特長は、人の行動に影響するということです。そして、同じモラルを共有する人の数が多くなるにつれて、集団としての行動につながっていきます。従って、社会のモラル次第で政治・経済にも大きく影響を及ぼします。

 SNS迷惑動画投稿で話題になっております寿司店で採用されているベルトコンベア方式による製品提供やうどん屋のネギの無償トッピングなどは、我が国の持つ社会モラルの上に成り立っていたサービスです。従って、全ての国で通用するものではありません。くるくる寿司チェーンが海外展開を行う際に開店できない国は存在します。又、牛丼の吉野家が海外展開していった過程で、紅ショウガや七味が個包装に変わった背景も衛生面での配慮もありますが、お客が自由にとることが出来るトッピングでは、全部持ってかえる人がいることが当たり前という社会モラルの存在が大きかった結果でもあります。実は、自動販売機も同様で、代金回収をした金庫部分だけを自販機を壊してでも強奪されることが頻発すると想定されました。従って、多くの国では、警備のシッカリしたところにしか設置できていません。我が国のようにどこの街角でも自販機が見れる国は珍しいです。ATMも同様ですが、こちらは、金庫部分や表面素材を頑強にして、機械そのものも簡単に持ち運べない重量にすることで対策がとられました。それでも、自販機以上にATM設置場所の警備体制が整備されています。これらは、我が国で培われてきた「自分の意思よりも集団の意思を優先する」というモラルが「他人のものは奪わない」という多くの国で共通して保持されているモラルと結びついた結果だと愚考しております。「自分の意思よりも集団の意思を優先する」というモラルは、山本七平「空気の研究」などで考察されておりますが、江戸時代の「五人組制度」「町火消し制度」、古くは鎌倉武士以来の土地支配を優先した「一所懸命」など歴史的に積み重ねられた我が国の特長的なモラルです。勿論、「村八分」「部落制度」などの負の一面も持っています。

 今回の迷惑動画投稿を見て社会モラルが変わってしまったとは思いませんが、闇バイトなどインターネットが、人間の暗い部分が増長されている感があります。そこには、ネット上では個人が最優先される為に、集団監視体制ともいえる集団モラルがネットの特性と相容れないことに起因していると愚考しております。しかしながら、以前からお話しているようにネット社会のルールが、やがて確立していくと確信しています。

 前述の事例では、モラルの効用として防犯コスト削減が顕在化しましたが、モラルは、Q(品質)C(費用)D(納期)の全てに関係してきます。返す返すも、為政者としては社会のモラル醸成が最も大切な筈なのに、自ら壊してきたこの数十年が悔やまれます。「民主主義においては、選挙民のモラルを具現化した政治家しか生まれない」とも言われていますので、政治に無関心であった小生自身の問題と反省しております。

 社会のモラルはさておき、もう一つの集団モラルである会社のモラルについては、新しい経営者に期待したいと思います。会社のモラルは「社風」として顕れます。次回は「社風」について考えてみます。

以上

2023年2月5日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii