今回は、マイナカードの持つ最大の特徴である名寄せ機能と本人認証について考えます。
ここでいう名寄せとは、個人に関連付けられた様々な情報を、同一個人であれば一つに纏めることを指します。ITシステムでは、利用者を認識するためのIDがあります。銀行の口座番号、クレジットカードのID,各種会員カードのID,保険証の記号、診察券番号、社員番号、住民基本台帳番号、パスポートの旅券番号など、様々な番号が個人を認識する為に利用されています。加えて、戸籍のように本人はその番号を意識していませんが、システムとしては持っている個人番号もあります。これらの個人番号は、それを利用しているITシステムでは唯一無二の番号であり、同じ番号を持つ人は存在しません。
ITシステムで取り扱う人や物は、担当者番号や商品番号であらわされており、番号に使われる桁数や数字・英文字・記号など使用する文字種は、それぞれのITシステムで自由に決められています。この状態では、ITシステム間で同一個人や商品に関する情報を交換する際には、番号の突き合わせが必要になります。必然的に連携するITシステムが増えていくにつれて膨大な突き合わせを行うことが求められます。そこで、かなり以前からJIS規格製品番号のように、工業製品については全国統一番号を設けていましたし、銀行やクレジット会社では、銀行番号や口座番号などで使用する桁数や使用文字種を業界全体で規定していました。
ところが、インターネットが普及した今は、IOTと表現されるようにあらゆるものがITシステムとして扱われています。そこで、これまで個人を認識する手段であった氏名に替わるデジタル世界で個人を認識する汎用的な個人番号が求められるようになってきました。既に国民総背番号といわれていますように、個人を認識する番号を国内で唯一無二の番号にしている国もあります。銀行口座を開設するにも、会員カードを新規に作る場合にも、氏名を書くよう国民番号を書くことになります。従って、全てのITシステムに国民番号が記載出来るようにすることが必須となります。
マイナカードは、現状を肯定しつつ国民番号への移行を行う為に生まれたと考えています。社員番号と銀行口座番号を同一個人に結びつける為には、それぞれのITシステムに登録されている氏名や生年月日を付き合わせて同一人物の番号同士を関連付けることになります。この氏名や生年月日で付き合わせ作業が個人番号の名寄せです。ご存じのように同姓同名の方もおられますし、ひらがな名とカナ名では別人となりますので、名寄せを自動的に付き合わせることはできません。関係付ける番号が1対1であれば比較的簡単ですが、個人は、銀行口座を複数開設していますし、多くの会員カードを持っていますので、n対nで名寄せをする必要があります。そこで、n対nに替えて1対nで、名寄せをして関連付ける唯一無二の番号としてマイナンバーが定義されています。最終的には、全てのITシステムにマイナンバーが記載されることを目標としていると考えています。究極の姿としては、タイムカードや自動改札でもマイナカードが使うことが可能ですし、パソコンやスマホの起動にもマイナカードが使えます。
一方、セキュリティ面でITシステムの個人番号で一番の課題となるのが、本人確認です。マイナカードはこの点についても考慮されています。それが顔認証機能です。マイナカードを提示するだけでなく、顔認証を行うことで本人確認を行うことが可能となっています。但し、顔認証を行うにはマイナカードを使用する際に顔認証を行うカメラが必須となります。マイナカードを保険証として使用するにあたり、医療機関に設置されたマイナカード読取装置には顔認証用カメラが内蔵されています。全てのITシステムに顔認証用カメラを設置することは不可能です。そこで、切り札となるのスマホだと考えています。つまり、マイナカードとスマホのマイナアプリにかざして本人確認を行った後に、カードかアプリを提示するしくみなると愚考しています。
いずれにしてもマイナカードを普及させることが前提となりますが、最初に名寄せの対象となるのは行政関係の個人番号であるべきであり、マイナンバーでDXを実践し、人員削減も含めた生産性向上を世に示すのは、行政機関であるべきだと思います。
以上