保険証と診察券 営業雑感NO.217

 今回は、マイナカードの持つITの仕組みを保険証適用を例にして具体的にお話しします。その上で、診察券への適用の難しさを解説します。

 病院や薬局で保険証としてマイナカードを使う場合は、先ず、マイナカードの発行申請を行います。マイナカードが手元に届いたら、マイナカードを保険証として使うことを自ら申請することが必須です。マイナカードを持っているだけでは保険証としては使えません。申請は、住民票のある自治体窓口に行く方法とスマホにマイナアプリをダウンロードして自分で操作する方法があります。

 マスコミなどで宣伝されているように、自分のお薬含めた医療情報を医療機関が閲覧できるようにするには、閲覧を許可することを承認しなければなりません。このように、マイナカードを様々な分野で利用する際には、都度、申請・承認することが必要になります。使用する銀行口座や電子マネーについても自ら登録しなければなりません。余談ですが、最大20000ポイント還元と言われておりますが、上記の申請を全て行わないともらえません。政策意図が経済的施策で左右されているようで、日本政治も拝金主義に陥っているように感じます。尚、マイナアプリが「マイナポイント」といいますので少し混乱しますが、今後は、マイナカードを運転免許証などで利用するために各種申請を自ら行うことを考えれば、自治体窓口ではまかないきれないと考えますので、マイナアプリが必須になると考えています。その意味では、マイナカードの義務化が叫ばれていますが、スマホ利用の義務化も一緒になっています。近い将来、マイナカードに替わってスマホをかざして使えるようになると思います。

 マイナカードの保険証使用の準備が終わりましたら、これまでは、窓口に提示していた保険証にかわり、医療機関に施設に設置されている読取装置にマイナカードをかざすことになります。医療機関では、患者情報として登録されていた保険証情報(NO、有効期限、登録住所など)を毎月、確認することを保険機構から義務付けされていますので、これまでは保険証を目視で確認していました。マイナカードでは、読取装置で読み取った情報からネットワークを介して保険機構の最新情報を参照してマイナカード用PC端末に返すようになっています。医療機関が保険機構へ請求を行うことを医事といいますが、医事もネットを介して保険機構に接続して行うことが一般的になっていますので、マイナカード用PCもこの回線を利用することを推奨しています。尚、マイナカードPCと医事PCを接続することで保険証確認作業が自動化されます。従って、医療機関がマイナカード運用を導入するためには、読取装置設置だけではなく、保険機構へのオンライン接続、専用PCの設置、医事PCとの接続などをする必要があります。補助金では、ネットワーク接続以外の費用が対象となっていますので、医療機関は、金銭的負担を気にすることは少ないですが、マイナカードを利用する患者さんと利用しない患者さんが共存するため、受付順や予約確認などの受付運用を見直すことが必須となります。尚、医療機関によっては、医事業務を手作業でおこなっているところもあり、マイナカード利用を適用することは大がかりな作業となりますので見送るところがあります。その場合は、引き続き保険証が必要となりますので、保険証の発行がなくなることは無いと想定しています。

 以上を踏まえて診察券に適用するとした場合の方法を考えてみます。先ずマイナカードを診察券として使用する為の登録作業が必要です。診察券は、保険証とことなり、各医療機関が独自に発行しています。これらの診察券をマイナカードで兼用するには、マイナアプリで利用者自身がそれぞれの診察券を登録することになると思います。その方法は、診察券に記載されている患者IDナンバーを自ら打ち込むことになる筈です。又、保険証は発行している機関が保険機構の一カ所ですのでマイナカードを端末で読み取って最新情報を検索することが可能でしたが、診察券は膨大な数の医療機関が発行しています。従って、診察券を一元管理するクラウドセンターを開設することは、各医療機関での患者管理を全国規模で一元管理する必要がありますので、現状では、ほぼ不可能と考えます。結果的に診察券情報はマイナアプリを使って各自で管理するしかないように思います。従って、マイナアプリでのみ診察券として利用することが可能と愚考しております。マイナカードのICチップにマイナアプリの情報を書き込むことが可能であればマイナカードも使用できるようになるでしょうが,難しいように思います。。

 次に医療機関での受付ですが、診察券を窓口に提示する替わりに電子マネーのようにスマホをかざして読み取ることになると想定しています。しかしながら、ICチップや磁気カードの診察券を発行している医療機関の多くは、再来受付機などで受付業務を既に自動化しておりスマホ受付運用に簡単に変更できるとは思えません。更には、スマホアプリ対応の受付を採用できた医療機関においても、保険証のしくみではマイナカード専用システムが必要ですので、診察受付と保険証確認を同時に行う為には、医事システムや電子カルテシステムの改修が必須となります。以上のように、診察券と保険証の双方の機能をマイナカードに統合できたとしても医療機関での受付業務に適用するにはかなりハードルが高いとみています。又、保険証はマイナカード、診察券はマイナアプリと、カードとアプリの二つが必要であれば利用者側でもメリットは少ないではないでしょうか?

以上

2022年10月23日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii