今回は、TVCMで頻繁に見るようになりましたアルバイトについて考えてみます。小生は以前からお話していますように非正規雇用の拡大には反対です。加えて、人材流動化についても今の政策には疑問を感じています。こちらも人材派遣や転職系の会社のTVCMをよく見かけます。TVCMには世相が反映されると言われますが、40歳以下の労働者の4割近くが非正規雇用という世相をまさに顕わしていると思います。
先ず、小生の知るアルバイトの変遷を振り返ります。昭和の時代のアルバイトといえば学生中心で学生バイトともいわれておりました。旅館の布団敷き・配膳や、喫茶店のウエイター・ウエイトレス、レストランの皿洗い、銭湯の掃除、土木工事の下働き、家庭教師、塾の講師などから、変わり種では病院の霊安室の死体洗いなど様々な職種がありましたが、その斡旋は、サークルなどの先輩からの引き継ぎや、学校の厚生係にあったアルバイト掲示板が主流でした。小生は学生寮に住んでいましたが、自治寮でしたのでアルバイト局という斡旋担当があり、22時に定時寮内放送がありました。又、比較的長期間にわたるものとしては、新聞配達、牛乳配達、酒屋・米屋の御用聞きなどがありました。こうして振り返りますと消えた職種も多いです。
更に、学生バイトと区別されていたのが、社会人、特に、主婦層を中心とした非正規雇用職はパートタイムと呼ばれおり、スーパーのレジ打ちから役所の事務補助などがありました。こちらも数ヶ月から数年まで長期にわたるものが主流でした。
横道にそれますが、その後、これらの非正規雇用職斡旋を事業として最初に確立したのがリクルートだったと記憶しています。確か学生生協とのタイアップも行っていた筈です。リクルートについては思うところもあり、リクルート疑惑として顕在化した政界工作から始まり、今の世相を生み出した企業の代表とも考えておりますので、別の機会に研究したいと思っています。
さて、バイトの話に戻ります。そもそもバイトやパートは、生計を立てる仕事ではなく定職につく以前の仕事でした。さらには、定職についた後の副業としてなされる仕事でした。バイトなどの非正規雇用と定職としての正規雇用の最も大きな違いは、年金制度や医療保険制度にあります。つまり厚生年金制度では医療保険とセットとし、正規雇用については保険料に関しては雇用主による補助として企業負担があります。一方、バイトやパートは正規従業員と見なされ無いため、これらの企業負担は一切ありません。従って、バイトやパートは国民年金や国民健康保険に加入することになりますが、これらの保険料は全額個人負担となります。更には、失業保険への加入も企業の責任となっていますが、バイトやパートについてはこの対象でもありません。
私が非正規雇用政策に疑問を感じている点は、これらの非正規雇用と正規雇用の違いによる企業負担に触れないままで立法化したことです。当時は既に年金制度の破綻が予見されていたにも拘わらずです。最近になって、非正規雇用にも厚生年金加入を義務付けるなどの政策が立法化されようとしていますが、年金制度の維持を優先するのであれば、最初の非正規雇用の法制化に含めて考えておくべきことでしょう。最近の労働力流動化を立法化する動きの背景にも企業による解雇を容易にするという側面があり、衰退していく事業から新規事業への人材移動を容易にするという謳い文句がおぼろに見えています。つまり、今の政府は、経営者が労務費削減という経営における最も安易な方策を実施しやすくする為に政策を考えるいるように思えてなりません。又、よく大企業優先という話もお聞きしますが、これらの政策は中小企業の経営者にも極めて有効な政策です。
定職がなく生計を立てるのには不安定な環境では、家庭を持つのも大変になるのは道理であり、出産数減少も「むべなるかな」ではないでしょうか?更には、経営者が容易に従業員を解雇出来て、非正規雇用を多用することが出来れば、本来付加価値極大を目指すべき企業経営が人件費操作だけで利益確保を行うという経営の劣化を促しているように感じます。更には、この傾向は地方に顕著に現われており、若者流出、地場企業衰退、過疎化の進展を招いているように愚考しております。
以上