前回は、通信網の拡がりも含め音声通信を核として進化した我が国のスマホと、PC普及とインターネット普及によりデータ通信を進化させた世界のスマホの違いを振り返りました。携帯電話がガラパゴス化したように、音声は主役ではなく、マルチメディアの一つとして捉えられてデータ通信端末としてのスマホの一つの機能となりました。一時期、携帯電話についてはドコモの世界戦略のミステイクというような論調がありましたが、根本的な発想の違いがあったと小生は理解しています。電電公社によって有線電話網を全国規模で整備してていたこともあり、既得権や民営化も含めて政治課題も関係していたと愚考しております。
電話の進化と平行して登場したのが、ウォークマンとデジカメです。ウォークマンもデジカメも進化のキーワードはデジタル化と小型化・軽量化(携帯化)です。今回はウォークマンの進化と衰退を振り返ります。
ウォークマンはいうまでもなくソニーの世界的ヒット商品です。磁気テープを記録媒体とする録音装置は、オープンリール録音機からカセットレコーダへと進化しました。最初はオーディオ装置としてアンプやレコードプレーヤ、スピーカなどと組み合わせるコンポ商品という位置づけでしたが、ラジオとカセットレコーダを一体化したラジカセの登場でオーディオマニアを中心とした市場から一般大衆をターゲットとする市場へと大きく拡がりました。しかしながら、スピーカを内蔵させる構造から小型化には限界がありました。ウォークマンでは、音楽を聴くという行為を個人が場所を選ばずに聞けることを目標とした装置として考えられました。そこでスピーカを廃しイヤホンによる聴取とし、超小型化(録音媒体であるカセットテープの大きさに限りなく近づく)の発想が生まれました。尚、コスト削減の為にそれまでは録音と再生が一体だった構造も再生重視で録音機能は大幅に見直されました。この個人がどこででも好きな音楽を聴けるという生活様式が受け入れられてウォークマンは一気に普及しました。磁気媒体の進化でCDやMDを対象とする似たような製品も登場しました。
ところが、iPodの登場で市場が瞬く間に席巻されてウォークマンは短命に終わりました。今ではiPodもスマホの機能に吸収されてしまいましたが、iPodはいくつかの大きな実験をしたと考えています。一つは、個人が好きな音楽をレコードやCDなどの音楽媒体から録音するという行為が無くなります。オジジナル音源はデジタル化されたネットワーク上に存在し、それをダウンロードするという方式に変化します。二つ目は、音楽業界のビジネス構造が大きく変わります。それまでアルバムやシングル盤として数曲を纏めて販売されていた楽曲は一曲単位で販売されることになります。さらには、レコード屋さんに行かないと買えなかった楽曲は、ネットを通じて好きな時間にどこででも買えて直ぐに聞けるようになります。この二つの変化を顧客と業界が受け入れるのか?をアップルが実験したのだと小生は考えています。勿論、インターネットや楽曲配信サーバの能力検証も合わせて行った筈です。この実験に成功したことで、スマホの機能の一つとして音楽聴取機能を取り込んだと見ています。
尚、iPodによる実験は、カーステレオとカラオケの業界でも同じような変化をもたらしましたが、ビジネス構造の変化については少し様相が異なっています。カラオケ業界では、市場が限定されていた為にビジネスモデルは変わりましたが、今のところ業界構造に大きな変化はありません。カーステレオについては、デジタル制御が進む車の一つの機能として車の部品扱いとなりましたので、独立した市場としては成立出来ず市場は消えました。
余談ですが、デジタル化では音源が分割削除されますので、音楽鑑賞としては原音に忠実なアナログが見直されています。オーディオマニアに限定された市場ではレコードが復活し新しいアナログ製品も登場しています。次回は、デジカメを通して録画について見直します。
以上