今回の参議院選挙で争点となっています労働力の流動化について考えてみました。
先ず疑問に思いますのは、議論の発端となった平均賃金が上がっていないことについてです。小生の記憶する限り、公務員や大企業、国会議員など給与が下がってはいないと思います。むしろ一般企業よりも上がっているのではないでしょうか?加えて、株式会社の役員報酬については、10年前に比べると大幅に増加している筈です。今の平均賃金が上がっていないのは、非正規雇用を中心とした低賃金労働者の増加により格差が広がっただけなのでは無いのでしょうか?確かに労働生産性の問題もあると思いますが、この点についても労働者数に占める公務員の割合が多いことに起因しているようにも思えます。なぜ、マスコミも野党も、これらの点に触れないのか?が不思議です。
次に地方における過疎化問題の根源にあるものは、労働力の中心である若年層の都会への流出にあるのは自明の理の筈です。地場企業や商店街、農家、漁師などの後継者不足問題も根源は同じと考えています。流動化は、この傾向を助長するように思えてなりません。流動化を前提とした議論では、企業による解雇の容易性や最低保証賃金などの議論がなされています。労働生産性についての議論も多く見られます。流動化を論じる際には、これらの経済論だけではなく、都市集中と地方の弱体化の問題も議論しなくてはいけないように愚考しております。うがった見方をすれば、これまでの政府は、敢えてその議論をせず、大企業による国際競争力確保を前提として、都市集中もやむなしとした経済のみを観た政策を続けているようにも思えます。
経済理論においては、企業は大きくなるだけで生産性は上がります。金が金を産む構造も持っています。金が金を産む構造を株式投資に当てはめますと、より高額な投資をしたほうがより大きな利益を得られます。一方、損失も同様と考えがちですが、資金が豊富であればリカバリにあたる分散投資もしやすくなり、結果的には資金が豊富な方が有利となります。大恐慌のような、株価の一斉低下が起こらない限り、株式投資における金持ち有利の構造はかわりません。このような経済理論を下敷きとした生活保障ではなく、住民一人あたりの公務員数を基本とする行政の生産性と人口分布を捉えて政策を論じるべきでは無いでしょうか?地方の方が住民に占める公務員数は高くなっている筈です。
極論ですが、元気な地方を掲げるのであれば、親の仕事を継承した子供に対する税的優遇を行うことが出来れば、少しは都会への若者流出が防げるかもしれません。その際、親が務めていた地場企業への子供の就職にも対象を拡げて、親・子供・企業の三点セットで税制優遇をすれば如何でしょうか?勿論、企業においては、世襲による権力の集中を防ぐ手立ては必須ですが、それこそ成果主義を徹底すればいいと思います。但し、この場合、年功序列は排除すべきですが、永年勤続を妨げるものでは無いとも愚考しております。
地方分権、少子化、過疎化、結婚しない若者、更には、既に、顕在化しております上下水道やガスなどの社会インフラの維持費用など、これらは全て、地方と都市の在り方に深く関わっていると愚考しております。小生は、職住一致が社会にとっては有効のように考えていますので、国際競争力や企業の生産性向上については企業努力に任せて政策関与をせず、地方と都会の関係を明確にした国家ビジョンを掲げる政党の出現を待っています。
以上