投資 営業雑感NO.199

 今回は、政府の骨太方針で貯蓄から投資へのシフトが採用されていますが、投資についての私論を纏めます。

 以前からお話をしていますように、今の株式市場は会社を売り買いする市場(いちば)であり、投資した企業の株価(企業の価格)の上下に一喜一憂する構造になっています。株価の上下にしか関心のない株主にとって株券とは現金の代わりに保有している物的価値を何も産まない只の紙切れです。ネット投資をしている方にとっては紙切れもなく符号でしかないのかもしれません。小生は、このように金が金を産む構造を、物を産む産業に対して虚業と呼んでいます。虚業における株式売買は、投資でなく投機と位置づけていいと考えます。更には、経済は原理として損得は均衡しますので、儲ける人がいれば必ず損をする人がいます。又、金が金を産む構造では金が貯まっているところに,更に金が集まる仕掛けになっていますので、貧富の差は大きく拡がります。

 小生の考える投資とは、株主とは企業への応援団的存在であり、経営者からすれば金融機関にかわる資金調達の場と考えております。その意味では、インターネット社会に登場したクラウドファンディングに近いと考えています。既にいくつかのベンチャー企業が行っているように、クラウドファンディングで資金調達を行い、ファンド参加者に特典を返されています。近い将来、株式市場に参加せずに、クラウドファウンディングに頼って経営を行う実業家が出てくるようにも思います。

 ただ、難しいのは投機と投資を決めるのは株券購入者であるという点です。株を購入するに当たっては、企業の利益率の推移や株主への配当性向などを見て決めています。この段階では、小生のいう投資も投機も同じです。結果として株価の上下に関心を持つことも当然のことながら同じです。違ってくるのは、購入時の株価とその時の株価の差だけを見て、売り買いを決めるのが投機であり、企業業績の推移を見守るのが投資と愚考しています。株券購入者の売り買いの姿勢で投機と投資が分かれることになります。

 但し、資金運用となりますと、どうしても前者の投機的傾向が強くなります。「物言う株主」として取り上げられた全米教職員組合や日本の多くの健康保険組合なども投機家が多く、米国型投資ファンドの多くも投機家だと思います。

 「物言う株主」という観点では、企業再生を専門に取り組んでいる経営者もおられますので、投資家としての「物言う株主」が、株主総会を通じて経営陣を監視する仕組みになることを期待しています。

 以上のように、投機を是とした根源は、企業を株主の物と位置づけたアメリカ型の法制度にあると考えています。実際のアメリカで起こっている「トランプ現象」の根源には、地道に汗を流して働いている労働者が、投機によって得た利益を蓄えている層の人々に対する反感が大きいと観ています。我が国では、まだそこまで進んでいませんが、今の法制度を下敷きとした新資本主義では投機的傾向は強まるばかりで今のアメリカ社会のように金を持てる者と持たざる者の分断が起こるように懸念しています。政府の新資本主義と銘打った骨太方針には、学校での投資教育も含まれているようですが、その内容が投機ではなく投資となる運用を生徒が行うことを願うばかりです。補助金詐欺や誤送金問題を見るにつけ、若者世代の不安や金への執着を招いた社会に不安を覚えます。

 インターネット時代を迎え、クラウドファンディングのように、全く新しい仕組みで経営を行う時代が来るとしたら、株式市場や銀行などの在り方も革命的に変化するのかもしれません。

以上

2022年6月12日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii