私的職場教育論 営業雑感NO.192

 今回は、人財育成とも謂われておりましたOJTを含めた職場教育について私論を纏めます。先ず押さえておきたいことは、年功序列を嫌い永年勤続も否定し、大幅な非正規雇用を可能とした法改正により、我が国においても人材の使い捨て的な企業が増えてきておりますし、それを良しとする労働者もいるという現状です。その結果、人材の流動化が前提となり、社会人教育においても生涯教育を含めた教育は個人投資として位置づけ、企業の行う職場教育は作業レベルに限定したものとして捉える風潮もあります。しかしながら、小生は企業の永続性や地産地消の観点から、企業価値の根源を商品品質においたパワーブランドを目指す企業こそが王道だと考え、職場教育についても企業付加価値向上に不可欠な企業活動として捉えております。従って、ここからのお話は、そんな企業を対象とした限定的な職場教育論です。

 職場教育において、最も重要なことは達成目標を決めるとことだと考えています。その為には、その職場で必要とされるスキルを整理することから始まります。職場におけるスキルとは出来るか?否か?です。その職場で何が出来なくてはいけないか?は職場によって変わります。又、同じ職種であっても組織目標が異なれば要求されるスキルも異なる道理です。「ビジョンありき」の考え方に従いますと、ビジョンを達成するために必要なスキルを各組織が自ら決めておくべきです。他組織のものを流用することは可能でも、ビジョン同様に各組織の独自のスキルがある筈です。

 次に、そのスキル表をベースとして、該当組織に属する人は、上司、部下関係無く組織構成員全員が、作業ベースで出来るか?否か?を判断して必要スキルと構成員のマトリックスによるスキルマップを作成することです。その際のスキルレベルとしては「知識として知っている」・「指導を受けて出来る」・「一人で出来る」・「指導出来る」となるのではないでしょうか?

 職場教育における目標設定は、作成されたスキルマップを見て、達成目標を教える方と教わる方の双方で決めることになると思います。尚、教える方は、スキルマップに従えば、常に上司とは限りません。従って、職場教育においては、上司・部下、年齢に関係無く、相互に啓発することが必須と考えています。

 従来の職場教育においては、社会人向けの教育講座を用意して、職種や職級などに応じて講座受講の義務付けを行っていました。又、各種資格取得に向けて、報奨金や補助金を出していました。これらの教育は、上記のスキルレベルに従うと「知識として知っている」のレベルであり、実施出来ることを保証するものではありません。これらの職場教育や資格取得奨励を否定するつもりはなく、今後も必ず必要です。スキルマップのいくつかの項目のスキル獲得の背景として整理しておくことでより有効に活用出来る筈です。勿論、法規により義務付けられた資格取得については、従来同様に計画的に取得することになりますが、スキルマップに関連付けて管理することをお薦めします。

 尚、VOD(ビデオ オン デマンド)の普及により知識教育における時間と場所の制限は無くなっていきますし、VR(仮想現実 バーチャルリアリティ)の普及により作業レベルの教育に応用される日も近いでしょう。職場教育を実施する為の環境は、大きく進展します。職場に必要とされるスキルも、環境変化に応じて変わっていくでしょう。しかしながら、職場の価値を上げる職場教育の必要性は不変だと考えます。

以上