今回は、DXに伴う留意点についてアナログデータの代表である紙に書かれた情報とデジタルデータの違いから考えてみます。最初にそれぞれの長所を考えます。
1)紙情報の長所
・保存期間が長い 歴史研究の基本が文書であることは自明の事実です。最古の紙はパピルスですので紀元前の情報も残せています。
・原本は一つ 印刷技術の発達でコピーの作成は容易になりましたが、印鑑などの活用で原本は特定されています。これにより公文書管理が容易かつ安全に行えます。
・筆記者が特定できる 印鑑や花押、筆跡などの確認により本人確認が可能です。偽物が出回ったとしても鑑定により絶対確実とはいえませんが真偽を見分けることができます。筆記者が特定できれば、それが作成された時期についても見当をつけられます。
2)デジタルデータの長所
・編集が容易 修正、校正、引用に加えデザインなども誰でも簡単に編集できます。
・大量の情報を扱える データの集積度を上げていくことで図書館を小さなディスクに集約することも可能です。
・多彩な表現ができる マルチメディア対応が基本ですので、表計算・画像・イメージ図などを一元化した分り易い表現が可能です。動画も取り込めますし、今後はバーチャル三次元や、匂い、手触りなど、より五感に近づいた情報に進化していきます。
このように紙情報とデジタル情報では、その特長が大きく異なっていることがお判り頂けると思います。紙情報は情報作成における作成者や作成日、原本・本人確認など作成時点での情報を扱うのに長けています。一方、デジタルデータは、情報作成に関わる手法に長けています。長所の裏側に短所があるといいますが、デジタルデータおいては、その編集やコピーが容易ですので、データの信憑性を担保するしくみを持つことが重要になってきます。
以前、情報のQCDについてお話をした際に、情報の質は、作成者で担保されると説明させて頂きました。従って、デジタルデータを扱うDXにおいては、データの信憑性を担保するしくみとして、本人確認の為の電子署名や作成日時を明確にするタイムスタンプなど紙情報が得意とする作成時点の情報を補完することが必要となってきます。加えて、インターネットにより一気に情報を拡散させることが可能ですので、個人情報保護法に規定されているように情報の使い道や公開範囲などを情報提供者と情報収集者の間で明確にすることも求められます。勿論、情報漏洩や情報盗難に備えることは必須となります。更には、保存期間についてですが、多くのデジタルデータは磁気化された情報ですので100年程度で消えてしまいます。従って、定期的バックアップをとりデータ保存を担保する必要があります。将来的に電力を必要としない半永久的な記憶装置が発明されない限りバックアップは常時繰り返す必要があります。
以上のように、紙情報とデジタルデータの特長を比較して考えるとDXにおいては、情報の質を担保するしくみ、定期的なバックアップのしくみ、セキュリティを担保するしくみの三つのしくみに留意することが必須と考える次第です。
以上