今回は、いろいろと批判の多いバッハ会長はじめオリンピック貴族と呼ばれる委員を抱えるIOCを通じて、権力の構造について考えてみました。IOCが権力を持つに至る過程については、前回、少しお話ししましたが、再度、整理します。
1.目標「オリンピックをあらゆるスポーツの頂点に位置付ける。」
2.戦略「全てのスポーツ機構の頂点としてIOCが君臨する。」
3.方策
1)プロとアマチュアの垣根を壊しオリンピックを世界最大最強のスポーツイベントとする。
2)オリンピックに関するスポンサー料、放映権などの高額な収益をIOCが獲得する。
3)オリンピック収益を各スポーツ機構にIOCが分配することで影響力を担保する。
4)開催国へは、オリンピックを観光資源として売り込む。
以上を踏まえて、IOCの権力の源泉は、どこに有るか?を考えてみました。それは、オリンピック開催に関するあらゆる意思決定を行えることに有ると考えます。加えて、その意思決定の対象であるオリンピックの価値が大きいことで、その権力も大きくなっています。その意味では、オリンピックの観光資源としての価値が失われれば、現在のIOCの権力も失われることになると考えます。
一方で、権力を行使するのは人間です。従って、権力とは、組織の頂点に立つ人間によって具現化されます。IOCの場合は。理事会組織とIOC委員に帰属しています。幸いなことにIOCの事務局員などの悪評は聞きません。組織の末端にまで権力意識が浸透することは、民主主義に反する組織が生まれたことと同義と愚考しています。
又、IOC委員含めた権力者の周辺には、彼等の持つ意思決定権の恩恵に浴したいと考え、彼等に気遣いする人が存在しています。ややもすると権力者は気遣いをしている方々に囲まれていますので、周辺にいる全ての人達から気遣いを受けるのが当然という誤解が産まれます。その結果、自分に気遣いをしない人間に対して高圧的な態度をとることが多くなったり、意思決定に関する情報を使って周辺の人間を操作したり、自分の利益を産み出すことを始めます。自分の周辺にどのような人間を置いているか?の方が、権力者自身の資質より優先しているのではと愚考したりもしています。
現在のIOCは、オリンピックに関する価値を、貨幣価値中心にしたことで、判り易く実行可能な方策を実施してきました。その結果、オリンピックを頂点とするスポーツ界の頂点に君臨することが出来ました。一方で、意思決定においても貨幣価値が優先されるうえに、意思決定を行う権力者にも貨幣価値が浸透し、宿泊施設や食事なども貨幣価値で判断する習慣が身についているのではないでしょうか?
今後、権力については、様々な考察をしていきたいと考えておりますが、IOCを観察したことにより「権力の源泉が意思決定にあり、権力者の評価に当たっては、その周辺の人物を見ることも必要である。又、意思決定にあたっては、何をその判断基準とするかが極めて重要である。」ことに気付かされました。
以上