前回は、「情報の価値は行為と結びついて生まれ、その評価方法は、従来型の秘匿性に関係する貨幣的価値と、インターネット普及により公開性に関係する読者数やアクセス数などの量的価値の二つがある。」ことをお話ししました。今回は、情報の鮮度について、私見を纏めます。情報についてのQ(品質)C(価格)D(納期)の最後です。
情報の鮮度という点においてもインターネットの登場は革命的とも言えます。これまでの主要な情報源であったマスコミと情報の鮮度の変遷を見てみましょう。最初は、新聞などの紙が中心でしたので、事件の発生から記事が作成され新聞に印刷されるまでには、最低でも半日は必要でした。ラジオやテレビと電波通信の発達により、現地取材が可能となり、実況中継など事件発生とリアルタイムで同期した情報が流れてくるようになりました。しかしながら、マスコミ情報には取材が必須であり、LIVE会場のように取材場所と時間が予め決まっている場合は、ともかくも、それ以外は取材クルーが現地に到着するまでの時間は最低限、必要でした。インターネットとスマホなどの携帯端末の登場で、現地に居る一般人の方でも生情報を流せるようになり、事件発生と事件情報のリアルタイム性が一気に上がりました。情報関係の技術革新の一端は、情報伝達スピードを上げることにあると考えています。新しい情報技術を取り入れて、情報伝達媒体であるマスコミもその形態を、新聞社、ラジオ局、テレビ局などと変えてきたといえます。情報の鮮度をリアルタイム性だけで追及すると、全てのマスコミがインターネットに淘汰されるかもしれません。
しかしながら、小生は、鮮度はリアルタイム性だけに左右されるものではなく、ジャストインタイム、必要な時にそこにあることのほうが重要と考えております。加えて、取材行為も重要と考えております。事件の裏には、様々な事情や背景があり、意思決定の結果だけではなく、意思決定に至る情報の積み重ねも情報を知る上で、大変、重要と考えています。加えて、考古学や政治学に代表される学問の分野においては、情報の分類や変遷も必須であり、これらの情報はリアルタイム性を必要としません。
又、ジャストインタイムを考える上で重要なことは、時間軸だけなく、情報の中身、つまり多様性も考慮すべきと考えています。ケーブルテレビの普及で、専門性の高い放送局が生まれていますように、視聴者が見たい情報を見たい時に見ることが出来た時点が、ジャストインタイムだと考えます。この多様性の分野においても、インターネットは、従来のマスコミよりも有効に機能します。特に、検索エンジンの進化により、利用者の知りたい情報を広大なネットの中から探し出してくることも可能になります。数年後には、アバターと呼ばれるネット上での自分の分身が一般的になると予想しています。
以上のように考えますと、情報の鮮度においてもインターネットによる革新が始まっております。但し、取材という行為を担保するしくみや、新聞社やテレビ局のような組織的に情報を扱うネット上の存在は生まれておりません。実験的な取り組みは、何度もお話ししておりますウィキペディアです。アバターの走りは、アップルの音声応答システム「Siri シリ」です。現在は、個人の自己実現や評価欲求が表に出ているSNS情報ですが、取材技術や掲載のしくみが変化していくことで、インターネットが情報インフラとしての機能を発揮すると考えております。但し、その世界を開くのは、技術ではなく、技術を使いこなす人の問題が大きいと考えております。
以上