今回は、仕事のDX(デジタル化)の核となる業務把握について、私見を纏めます。一般的に業務把握をする為の書式は業務フローです。加えて、事業継承の観点からは、権限マトリックスが業務フローと一体で考えられます。情報セキュリティの観点でも事業継承と同じく、業務フローと権限マトリックスが一体で考えられています。
業務フローとは、業務の流れを、検証や計算・参照・判断などを顕すJISで標準化された図形記号を用いて描くもので、産能大やNOMAなど様々な方式があります。記号については、海外でも同じ意味で使われているため国際標準となっています。ITのプログラム作成においても利用されてフローチャートと呼ばれています。
権限マトリックスとは、業務の中での判断を職級(役職)と関連づけで図化したもので、営業の値引き行為で例えれば、値引き額を決めるにあたり、担当は10%までの値引きまでは判断出来て、課長は20%、部長は50%、それ以上の値引きは社長というように判断基準を顕したものです。決裁基準と考えて頂いても同じです。業務フローにおける判断の際に利用されると考えて下さい。
以上の二つの書式で判断するのが一般的ですが、小生は、業務のデジタル化に向けては、この二つの書式を作成する前に、帳票と帳票の繋がりを把握することをお勧めしています。帳票の繋がりについての調査項目は以下のとおりです。
・作成された帳票の配布先と配布先で再加工の有無。再加工有の場合の内容。
・配布先及び自部署で他帳票作成に関しての利用有無。利用有の場合の内容。
・対象とする帳票を作成する際に必要な帳票の有無。
尚、対象とする帳票を作成する際に必要な帳票については調査を割愛しても構いません。より重要なのは、作成して配布されてからの活用方法を把握することです。何故なら、仕事の成果はアウトプットに顕れますので、配布先で再加工されていない帳票がその業務の付加価値となります。その再加工されない最終帳票を特定することが業務デジタル化の第一歩です。デジタル化を目的とする業務把握に関しては、最終帳票作成に必要となる情報をその業務で最初に取得するまでを、最終帳票から遡った帳票の関連図で顕すことが、業務フローや権限マトリックスを作成するよりも容易だと愚考しております。勿論、これらの帳票の一つ一つを、前回、お話しをしました帳票把握の考え方で整理をすることは勿論です。
帳表の繋がりが把握できますと、業務のデジタル化に鍵を握る三種の帳票が浮き彫りにされます。
・配布先が待たされるボトルネック状態を産んでいる帳票
・多くの配布先で再加工されている帳票
・最も多くの帳票と繋がっている帳票
これらの帳票が作成される場所、時間、作成に要する期間・工数などを調査して、情報の重複排除(特に、二度打ち)、即時把握(リアルタイム化)、自動化(判断基準のプログラム化)を行うことこそが業務のデジタル化です。余談になりますが、自動化のプロセスをより柔軟にするのがAIと考えていますので、業務のAI適用については、対象帳票を探し、自動化の検討過程で判断するというのが持論です。AI適用の為の業務見直しは本末転倒と考えます。業務デジタル化により業務改善や業務見直しが行われ、デジタル化の直接的効果が顕れます。
一方、業務がデジタル化されたことにより副次的な効果が生まれます。以前からお話ししていますように。デジタル化の原点であるITのもたらす付加価値は以下の三点です。
1)あらゆる情報の一意化
2)一度覚えたことは忘れない
3)同じことを何度も繰り返すことが出来る。
この三点により、デジタル化された業務に関する情報は、その業務だけでなく、全く異なる業務においても流用出来ることになります。しかも、その情報がネットワークを介して交換出来ますので、単独の業務改善ではなく、より大きな範囲(企業間取引・行政手続きなど)での業務改善に繋がります。デジタル化された情報を繋げるデジタルネットワークがインターネットです。行政機関におけるデジタル化の遅れは、ネットワークに対応出来ていないことが問題だと考えています。マイナンバーカードや印鑑の問題は、末節の問題ではないでしょうか?
以上、業務のデジタル化においては直接的効果だけでなく、ネットワークを介した大きな副次的効果を狙うことが重要と考えます。
以上