今回は、台所の50年の変化を振り返ります。私の住んでいた長屋では、台所はたたきになっており、時代劇に見る台所と同じくかまどや洗い場は土間で、配膳や食事をとる板間との間に隔たりがありました。水道は通っておりましたが、長屋の共同井戸も残っており、洗い物用と煮炊きで使い分けていました。
最初にかまどが無くなりました。都市ガスが整備され、それまで使っていた練炭(れんたん)や炭団(たどん)は、ストーブや火鉢(ひばち)以外では使わなくなりました。練炭などは土間に積み重ねられており、ネコやネズミにおしっこをかけられたものは、火を入れると嫌な臭いがしたものです。
次に水道の水量も多くなり生活用水として充分供給できるようになると、井戸を使わなくなり、台所の洗い場も今のようなシンクに変わっていきました。洗い場は石作りでしたが、ステンレスシンクに変わったときは、驚いた記憶があります。かまどがガスレンジに変わり、洗い場がシンクに変わったことで、土間も消えていくことになりました。土間のあった長屋もアパートや文化住宅と呼ばれた土間の無い集合住宅に変わっていきました。
第三の変化は冷蔵庫です。ここからは台所用品の変化に変わっていきます。私の子供の頃は、家にある冷蔵庫は、上段に大きな氷を置いて下段に野菜等を置く構造でした、氷屋がリヤカーに氷を乗せて各戸を廻って配達をしていました。野菜や肉なども八百屋や肉屋で新聞紙や竹の皮で包まれて買っていましたので、そのまま冷蔵庫に入れておりました。尚、当時は竹で編んだ買い物かご持参が当たり前でした。レジ袋が登場するのは、スーパーマーケットの登場以降です。その後、冷凍庫が販売されました。最初は、冷蔵庫と冷凍庫は別物でした。今のように一体型になるまでには五年程度の猶予が必要でした。オゾンガスによる冷凍、冷蔵両用の冷却装置の開発期間だったようです。これにより上下二段の2ドア方式が主流になります。今のような野菜室や製氷室などが別になったのは、昭和末期です。今後は、殺菌や電子レンジのしくみを逆用して温めるのではなく冷やすことで、鮮度を保ったまま保存する構造に変わっていくと思われます。又、賞味期限切れを報せたり、庫内の食材で献立を考えるなど、インターネットやAIを活用した付加価値を付けたものも登場しています。
その後、トースター、電子レンジ、炊飯器、焼肉プレートなど、次々に商品化されていきます。炊飯器は登場した時はガス製品でしたし、焼肉プレートなども卓上コンロ用に開発されていました。その中には、お座敷天婦羅鍋など短命に終わったものもあります。ところが、これらの機器の電化製品が次々に登場します。ゴム製のガス管の接続に比べ、コンセント接続の容易性と可搬性の高さで一気に電化製品の優位が確立していきます。この動きを受けて登場したのが「オール電化」住宅です。ガス管敷設や配電網整備などのインフラ維持コストの課題から判断されていくものと思われますが、電気のほうがガスよりも生活エネルギーとしては優位にいるように思います。家庭用発電装置と蓄電装置、直流化がキーになるのではないでしょうか?
又、台所で発生する生ごみ問題も、実用化されているディスポーザなどをバイオ技術で進化させた製品と家庭内菜園を組み合わせた循環型装置が登場するように思います。便所に続き、台所も建物構造含め大きく変わりました。
以上