保険外交員 営業雑感No.129

 コロナ禍の中、本雑感も政治がらみの話が増えておりました。今回からコロナとは離れネットと融合した新しいITの社会における営業の変化(DX化)についてシリーズで考えてみます。第一回は、既に変化が明らかになっている保険営業を例に考えます。

 我が国の生命保険の営業と言えば、差別用語になるかもしれませんが「保険のおばちゃん」と呼ばれる存在により支えられていました。生命保険各社もその営業体制を維持する為に歩合制給与体系や地域毎のチーム化、売上コンテストなどの手法を用いて人的パワーの維持に努めておりました。結果的に営業数と売上高が比例し、国内TOPの会社は一番多くのの営業外交員を有しておりました。学卒採用枠も多く、保険会社に就職すると親戚や友人が保険に加入させられたものです。但し、営業使い捨ての概念もあったようで、長続きする学卒新人は多くなかったようです。

一方で、この営業制度が普及していた為に、海外保険会社が日本に参入する際の障壁になっておりました。金融業や損害保険などの他の保険との兼業も法的に規制されており売上高は高いものの狭い業界でした。その後、次々と規制緩和がなされ郵政民営に伴い一挙に産業構造が変化をしました。しかしながら業界再編の足枷になっていたのも上記営業組織でした。この流れを一挙に変えたのが、海外保険会社とネット営業です。

海外保険会社が最初からネット営業を使っていた訳ではありません。人生設計と保険とを融合させるコンサル的な営業体制をとり営業差別化を図っていました。ここで障壁となっていたのが団体割引というしくみです。上記の外交員体制は、大企業や各種組合など、お客様組織にもマッチした給与天引きなどのしくみも有しており、保険契約者が一人で選ぶ時代ではなかった為に、折角のコンサル営業も出番が無い状況でした。

 ここで登場したのがインターネットです。いうまでもなく、ネット営業導入の機会は平等です。ところが、国内保険会社には、上記、営業体制が存在していた為にネット営業を導入することは営業コスト増になりますが、海外保険会社にとっては、営業コスト減に直結し、団体割引の価格の壁も破る安価が売りになり、今の状況になりました。

 この先の保険営業の在り方を考える為に、営業の差別化要素を整理します。

1)外交員販売の場合

・身近な存在 職場や住居の近くにいて、契約や各種申請などの手続き代行も行い、何かあれば直ぐに対応できるようにする。

・販売員の囲い込み 歩合制の導入により販売意欲と報酬を直結させる。加えて、チーム制導入により販売員の階層化と販売員育成、勧誘も外交員に任せる体制を作る。

2)ネット販売の場合

・安価 ネット販売において有効なのは販売コストの削減です。加えて、ネットはお客様の端末が窓口になり、契約手続きもお客様に任せることになります。

・サポート品質 各種問合せについても、センター集中型で対応する為、回答品質の均一化とレベルアップが容易に図れます。加えて、この分野は、今後はAIの得意分野ですので、益々、進展すると思われます。

・操作性 ネット販売においての最初の差別化要素はその操作性です。簡単な操作こそが決め手になります。

 以上をふまえて、これからの保険営業について考えてみます。これまでの営業としての差別化要素ですが、外交員販売の場合は外交員の獲得であり、ネット販売の場合も価格や操作性となり、肝心の保険商品そのものの差別化は進んでいないと思われます。従って、保険商品そのものの差別化が進むと考えます。更には、画一化された死亡保障や入院保障ではなく、お客様の人生設計(起業、非正規雇用など)に従った生活保障などの個別メニューの開発も進むと思われます。その為、全ての保険がネット販売に移行するのではなく、お客様事情に即したコンサル提案を行う営業のしくみが登場すると想像しております。今のいくつかの保険会社が設けている人生設計コンサルタントが力を発揮する時代がくるかもしれません。いうまでもなく、保険商品開発をするしくみの革新が必須となります。

以上

2021年1月24日 | カテゴリー : ICT, 営業 | 投稿者 : csf-ishii