医療制度とコロナ 営業雑感 No.128

 今回は、コロナ対策として医療崩壊が叫ばれており特措法に注目が集まっておりますが、我が国の医療制度は、これまでも全面的に国策に依存しておりますので、その点について振り返りをします。

 そもそも皆保険制度を維持する為に、国家予算の三割が投入されていることを明確に理解している国民はどれくらいおられるのでしょうか?しかも、健康保険制度と年金制度がセットになっており、この10年で大きくその枠組みも変更になっています。マスコミ報道は、今回のコロナ問題でも過去の年金問題においても、その一部分だけをクローズアップしており全体像がぼやけていると考えています。

 直近10年の厚労省の政策は以下に集約されると考えています。

1)最後は自宅で看取る。

 我が国では病院での死亡が圧倒的に多く、他国と比べても異常に多くなっています。その結果として死亡までの長期入院が当たり前となっており医療費を圧迫していました。それを改善する為に最初に導入されたのが介護保険の導入でした。それまでの医療保険では、成人全員が保険料を支払い、高齢者は無償で医療が受けられるという制度でした。ところが、介護保険は、保険を支払う人は40歳以上に限定され、従来の医療保険に加えて別枠で徴収されます。又、65歳以上の保険を受ける高齢者も支払うことになり、保険を適用する場合も、その生活能力により自己負担率が異なっています。基本的に高齢者同士で介護を支え合う構造になっているうえ、介護保険料は年金から自動徴収されていますので、結果的に国の年金負担を減らしています。介護保険制度の導入により、医療保険だけに依存し赤字構造であった高齢者医療が、医療と介護に分離されて改善されました。更には、介護単独サービスを設けることで、新規参入業者も増え新たな産業も産まれました。勿論、介護サービスについては自宅で受けられるものが基本となっており、高齢者居住施設は居住空間が優先され、医療に準じていた各種規制も緩和されました。最後は、病院で医療をうけながらではなく、自宅で介護をうけながらということを目指しています。

2)病院機能の分割整理

 これまでは特定の疾病に特化した病院は少なく、多くの病院が総合病院でした。更に、大学病院、県立病院、市立病院と公立病院も乱立気味でした。そこで、地域医療という概念を導入し、救急病院や特定疾患に特化した病院を限定しています。その中で、勿論、病院の統廃合を推進しています。公立病院の一本化はとりあえず終了し、いよいよ民間病院の統廃合が始まっています。一方で、疾病毎の治療内容についても一律にして治療コストの均一化を図っています。入院日数についても基準が設けられており、最終的には、地域毎のベット数の削減も目指しています。

3)在宅医療の充実

 1項の在宅看取りとも関連しますが、何かあると病院へ行くという風潮を無くすことを目的として主治医制度を積極的に導入しようとしています。主治医は医者だけでなく、薬局や介護とも連携をとるようにしています。2項とも関連し、完治まで入院するのではなく、手術などの施術が必要な時だけ入院し、完治までの療養期間は自宅で過ごすことを目的にしています。

 上記のように、コロナに関連して、住民当たりのベット数などのデータだけが浮き彫りにされていますが、その背景には歴史があり、現在進行中でもあります。更にいうなら感染症の発生ということを想定したものではないと思われます。コロナが長期化することも想定して、これまでの施策を根本的に見直すことも必要だと思います。マスコミも短期的な目先の報道だけなく、これまでの医療政策も研究し、将来に向けた議論が出来るようになることを期待したいものです。国会議員や評論家の方の話を聞いておりますと、医療政策に精通している方は少ないように思えます。医療関係者の間では、上記は当然のことと承知されていますので、議論の前提にギャップがあるようにも思います。

以上