為政者とモラル 営業雑感No.127

 今回は、コロナ対策に見られるバタバタ政治劇やアメリカの議事堂占拠などの背景にあると愚考しております為政者とモラルの関係について持論を纏めました。

 為政者にとって一番の課題は、命の価値をどう考えるか?だと考えています。「命の価値は変わらない」というのは理想論であり、我々も家族や知人を優先して考えることもあり得ます。ところが為政者にとっては「万人を助ける為の犠牲」という生贄を正当化する方便があります。しかもその犠牲に為政者自身がなることは極めて稀です。加えて、為政者が、一般大衆とは異なる階級に属すると考える選民思想に染まっていた場合は、もっと厄介なことになります。選民思想の一番の揺りかごは世襲です。世襲においては、親から子へと語り継がれる信条や家訓のようなものがあり、その中でも帝王学的なものが選民思想に直結します。選挙制度が世襲に対する安全弁となっていた筈ですが、与野党共に多くの議員が世襲となった現状をどう捉えるか?発言の中にその匂いを感じる方がおられるように思うのは私だけでしょうか?

 又、為政者というのは政治家だけではありません。公務員、特に国家官僚にも当てはまります。官僚は選挙で選ばれる訳ではなく試験で選別されます。ところが、教育の質も金で買える時代になっています。学生の親の平均年収が最も高い大学は東大です。高級官僚の給料が民間を大きく上回るようになった現在、ここにも世襲の入り込む余地が充分にあります。親子二代の東大出身官僚も多くおられるようです。

 世襲を全面的に否定している訳ではありません。世襲だからこその高潔な使命感が醸成されることもあるでしょう。しかしながら、最近の政策や法律を見ると、為政者と市民が巧妙に分離されており、且つその解釈が為政者に委ねられているものが散見され、背景にある選民思想と世襲の関係に危惧を覚えています。

 余談になりますが、アメリカにおける「トランプ現象」は、宗教・移民・人種など複雑な事情が絡んでおりますので一概には言えませんが、日本以上に政治・経済の上流層に広がっている世襲に対する国民の反発に便乗して、トランプが大統領に就任できたのではないでしょうか?更には、トランプの持つ選民思想が、敵(自分の思想に反対する勢力)に対して冷酷な差別意識を持っていた為に、二大政党制のアメリカ型民主主義を使って対立を煽り、議会に対する大きな汚点を残したとも考えられます。

 話を戻しますが、最近のバタバタ政治劇は、前例に捉われがちな政治の弱点をついているようにも思います。新しい状況には新しい施策が必要です。ところが、前例に捉われると現状分析がおろそかになる傾向があります。一方、前例を否定した施策を実施するには、今の政治制度では時間がかかります。そこで、強権を持ったTOPを求める動きも出てきます。第二のヒトラーが出てこないことを祈るばかりです。

 これらの現状を救えるのは、モラルだと考えています。議員の会食に一定のルールを設けるという話もおかしな話で、本来は率先して会食を辞めるべきでしょう。モラルの問題をルールにするのは本末転倒だと考えます。私は会食をしないと宣言する議員の出現を期待したいものです。モラルというものは、ある意味判り易いものです。こんな時代だからこそモラルの有無を判断することが必要だと思います。但し、相手にモラルが無いことを批判しても意味がありません。「自分の恥ずべきことはしない」を自分で守り、モラルの無い方とは距離を置くしかありません。時間はかかりますが、急がば廻れだと思います。因みに、選挙では「国民のレベル以上の人」は選ばれないとも言われておりますので、為政者のモラルを上げるには、我々がモラルを上げるしかありません。高潔なTOPの出現に期待しつつ、自らのモラルを見直すいい機会だと考えています。

以上

2021年1月11日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii