今回は、何かと話題の情報公開についてIT技術の進歩と関連付けて考えてみます。ITの世界で現在起こっているインターネットを中核としたSNSやクラウドなどの技術革新の方向性は、全て情報公開に繋がっていると愚考しております。これまで情報は秘匿されて価値が高まる傾向にあり、政治・経済から戦争に至るまで情報握っている方に有利に作用してきました。そこでは、情報を持った一握りの方に権力も集中する傾向があります。権力を持っている方の判断で自分の都合のいいように得た情報を操作することも可能でした。横道にそれますが、現政権の抱える一番の暗部は、政権が情報を操作しているのでは?という疑惑に対して、全てが明確な形で情報公開をしていないことにあると思います。
これまでのITシステムは、システム利用者を銀行や企業、自治体など特定の組織に属する方に限定した専用システムでした。この為、情報システムの良し悪しが企業の競争力に影響したりしていました。一方で、自治体などの公団体では、住民票管理や戸籍管理など同じような業務を行っているにも関わらず、各自治体でITシステムが異なることから転居や婚姻など住民情報が変更するたびに、それぞれのITシステムに情報を入力する必要がありました。自治体・官庁のデジタル化の遅れは、そもそも同一業務を別システムで動作させていることにあります。尚、今話題のマイナンバーとは、自治体毎の住民システム、税務署の納税システムなど、同じ住民でもそれぞれのITシステムで認識しているコードNOが異なることから、マイナンバーという一つのNOで、これらの異なるコードNOを関連付けて同じ住民に関する情報を一元化する為のものです。
インターネット化に先駆けて登場したオープン化と呼ばれるIT技術の流れは、このようなシステム間での情報連携をスムーズに行うことも目的としていました。オープン化の流れは、システム開発の効率化に直接関与し、同じような機能を持つシステムを淘汰するしくみを提供したことで知られています。ディファクトと呼ばれるしくみで、パソコンOSはマイクロソフトにほぼ統一されました。OSが一つに絞られることでOSの上で動く業務ソフトの開発は、それまでOS毎に複数開発していたものが一つで良くなり開発側も楽になります。加えて、同じような業務ソフトであれば、ここでもディファクトの流れが存在し淘汰されていきます。ここで着目頂きたいのは、ディファクトとは稼働実績の多いもののことであり、機能の良し悪しではないということです。その為、数を獲るために無償で提供するメーカが現れ「オープン=無償」という誤った認識が広がってしまいました。本来のオープン化とは、ディファクトと呼ばれる多数を占めるシステムを選出することでシステム開発の効率化を図り、システム間の連携をスムーズに行う流れとご理解下さい。
そこにインターネット化の流れが加わることで、情報連携がよりスムーズにリアルタイムで行えるようになりました。更にはディファクトが決まる過程においても、利用者から情報がダイレクトに反映されることにより価格だけで決まることに牽制がかけられるようになりました。マイクロソフトOSに対してマックOSが復活したことにも大きく影響していると推察しています。
以上のようにオープン化とインターネット化の二つの流れによって、ITシステムは、それまで企業や団体など組織として利用者が限定されて使われるものから、全ての人に平等に開かれたものに変容しました。又、オープン化の流れの中での情報連携の機能は、個人間のコミュニケーションツールとしても進化しました。ここで重要なのは、全ての情報がオープンになっているという基本構造の上にITシステムが成立していることです。政府が推進している行政のデジタル化もその前提にある訳ですから、情報公開に関するルールを決めることが必須の筈です。印鑑廃止に代表される手続き面のみが大きく取り上げられて、どうもその検討が表面化していないことに技術的なことも含め一抹の不安を覚えます。
一方で情報公開を前提としたシステムであることから、その問題点が顕在化しているのが、炎上やSNSでの誹謗中傷です。システム的には情報公開が前提となっているため強制的に排除することは非常に困難です。運用ルールや法整備が必須ですが、私見としては情報公開が前提となった社会規範やモラルの形成が必要だと考えています。これついては、以前にもコミュニケーションツールの問題としてお話しをしました。これからのITシステムにおいても、政治や経済のしくみをデジタル化(オープン化とインターネット化の流れを統合したもの)するということは、全ての情報の公開が前提になっているという認識を持つべきです。その上で、情報をどのように活用するかが問われます。皆さん、お一人お一人の自覚の問題でもありますが、多数決を前提とした民主主義にとっては最高のツールになる可能性も秘めています。
以上