改革と抵抗勢力 営業雑感No.114

 今回は、菅政権が安倍政権から引き継いだ改革に対する抵抗勢力の排除について、学術会議委員の任命拒否が表面化しましたので、人事権行使による抵抗勢力の排除を考えてみました。私は、歴史を見る限り英明な専制君主による治世が、政治的には最も効率が良いと考えています。しかしながら、専制君主制は階級差別や世襲による暗愚な君主による悪政などの問題を内包しています。そこで、民主主義という政治的な実験を行っているのが現在だと考えています。民主主義の歴史は極めて浅く、未だ200年程度です。又、数百年続いた王朝や帝国、幕府などでも今に語り継がれる善政の時代は200年に一度くらいで、期間も数十年と短いです。尚、善政の時代は、悪しき前例を打破し改革をおこなっている点でも共通です。その意味では、現政権も改革を断行出来れば歴史の中で評価されるかもしれません。余談になりますが、民主主義の中での専制回帰も見られるのが、昨今の状況と考えています。

 前置きが長くなりました。民主主義の中での抵抗勢力排除の方法のひとつに人事権があるのは確かです。しかし、その人事権の範囲をどこまで及ぼすのか?が課題です。現政権はかなり拡大解釈がお得意のようです。国家官僚に対する介入だけがマスコミなどでもクローズアップされていますが、NHKやNTT、農協、郵政、銀行など国家の基幹産業にも様々な介入をされている様子です。ご自分達で直接行うことは流石に皆無と思いますが、忖度の名のもとに意のままになる方(彼等からすると志を同じくする方)が実際には人事権を行使しているように思えてなりません。そもそも、人事権をもっと効率的に使って欲しいところは内閣です。適材適所といいますが、派閥や当選回数ではなく個人の持つスキルを評価して配置して欲しいものです。

 さて、本題の官僚組織における人事権行使です。官僚組織と民間企業の組織との違いは、「徹底的に競争させて勝者のみが生き残るしくみ」と元官僚の方にお聞きしました。従って敗者は、天下り含めて外に出ていきます。いわゆる下野するということです。一般企業のような敗者復活は無いそうです。下部組織のNo.1を集めた作った組織の中でNo.1になった方を、更にふるいにかけていくというトーナメント制のような人事評価制度になっているそうで、敗者が組織に残っていると邪魔になるという考えだそうです。エリート官僚の世界では、同期入庁の方で最終的に残っているのは一握りの方だけのようです。一般公務員とは全く異質の世界のようです。尚、組織論でも以下のことが立証されています。

①下部組織のNo.1を集めた新組織を作る。

②新組織でNo.1になれなった方を、その方がNo.1だった以前の組織に戻す。

③戻ってきた方は、その方が抜けた後の新しいNo.1の方に、なかなか勝てない。

 最近の民間企業では、人財(人は財)という考え方から能力開発に力を入れて、競わせることはあまりしていません。改革に異を唱えた官僚を左遷するということは、その方を下野させることに繋がります。政権交代もあることですから人財を残すという観点で、人事評価制度そのものも見直す必要があるのではないでしょうか?

 加えて、改革を急ぐことは重要ですが、官僚は法律に従って仕事をする訳で、抵抗の決まり文句である「前例にありません」の前例の拠り所も法律です。三権分立の考え方からすれば、立法府における改革の王道は新法立案や法律改正にある筈です。議員内閣制ですので、行政の長である国務大臣と立法府である国会の両輪を廻すべきなのでしょうが、上手く機能しているのか?判断がつきません。

 改革に向けて強権を発動して急ぐことには異論はありませんが、国の根幹のしくみに関わることですので目先の問題だけをクローズアップするのではなく、官僚組織や法律についても本質的な議論が必要なように感じています。

以上

2020年10月4日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii