主力商品の変化 営業雑感No.113

 今回は、同じ業態で商売をしていても環境変化で主力商品が移り変わっていく過程を、地方ITベンダーを例に振り返ってみます。コロナ禍対応の参考にして頂ければ幸いです。

 多くの地方ITベンダーが最初に販売したのはオフコン(オフィスコンピュータ)でした。当時は、NEC、日立、富士通、三菱、東芝、IBMと各メーカが自社商品のみを販売する特約店として登場させた為、各メーカの提供するハードウェアが主力商品であり、お客様にとっての地方ITベンダーの差別化はメーカと同義でした。その後、オフコンからPC(パソコン)に変わった当初もメーカ色が色濃く、オフコンの延長にありました。あるメーカのPCで動作するソフトやゲームは、他メーカのPCでは動作せず、メーカは、こぞってソフトベンダーを囲い込みました。

 ところが、マイクロソフトとIBMが協力してハードとOSを切り離して、それぞれ標準化を行ったことにより様相が一変します。ハードの標準はDOS互換機と呼ばれ、ハードの差はCPUやメモリに限定されたことから大きな差が出ず価格競争となり、一気に低価格化が進み、それまで100万円前後であったPCが半額以下になりました。マイクロソフトのOSは、DOS互換機で動くOSということでMS-DOSと呼ばれました。今のWINDOWSの前身です。この時に、オフコンと同じくハードOS一体型でPCを提供していたMAC(マッキントッシュ 今のアップル)やソードが衰退しました。アップルはその後、復活して今に至っています。この変化は地方ITベンダーにとっては大きな変化ではなく、商品がオフコンからPCに変わっただけに終わりました。但し、低価格になったことで利益が大きく減少し、次世代商品としてソフト開発に力を入れ始めます。

 ハードからソフトに商品が変わり、地方ITベンダーにとっての主力商品がソフト開発に変わったのは一人一台のPC普及が進んだクラサバ時代に入ってからです。ハードからソフトに主力商品が切り替わった背景の主な点は以下の三点になると思います。

①ハード・ソフトの独立「商品構造の変化」

 ハードはメーカに限らず、選択の自由度が拡がった。

②ハードの低価格化「商品価値の変化」

 ハードはどんどん値下がりし、販売価格に占めるソフトの比重の方が大きくなった。

③SE要件の変化「付加価値根源の変化」

 地方ITベンダーの付加価値はSE作業によるところが絶大となり、SEスキルの根源が、ハード一体型ソフトのスキルではなくソフト(OS単体、ミドル、PKG など)スキルに変化した。

 以上を考えますと、お客様と営業の関係は変わらなくても、商品を取り巻く環境の以下の三つの変化(①商品構造の変化、②商品価値の変化、②付加価値根源の変化)が有れば、主力商品に変化が生まれ、場合によっては商流も変化することが判ります。

 その後、インターネットの普及とPCに変わる端末としてタブレットなどが登場し、まさに商品を取り巻く環境は大きく変化しましたが、多くの地方ITベンダーは主力商品を変化させる過渡期にあるようです。商品環境の変化は以下になります。

①商品構造の変化

 クラウドに代表されるようにサービス化が、益々、進展します。

②商品価値の変化

 提案価格に占める最大費用は、導入費用から月額利用料を含めたメンテナンス費用に変わります。

③付加価値について

 ソフト開発スキルではなく、サービスを業務に適用させる業種・業務スキルに変化しています。又、操作方法などサービスの運用スキルも求められます。

 以上から、今後の主力商品はサービス商品に変化していくものと考えます。サービスを主力商品とする為には「主体化」と「見える化」が必須です。

「主体化」

 メーカの作ったものを売るという販売チャネルとしての役割から、各種サービスをITベンダーが直接お客様に提供する役割に変化します。従って、サービス提供者としてメーカ的な役割も担うことになります。

「見える化」

 サービスは目に見えない商品ですので、お客様から見て判り易い形に商品として独自に加工する必要があります。見える化の要素としては、以下の3点があります。

①SLA(Service Level Agreement サービス品質保証)

 サポート範囲や時間、お客様との責任分界点などを明記する必要があります。定例会開催、インシデント台帳、要件定義書などもSLAの産物です。

②定価表

 SLAとも関連しますが、都度見積ではビジネス効率が悪く、主力商品の持つ数を増やす宿命と相容れません。SLAを踏まえて松竹梅の3段階価格付けが有効と考えます。

③実績表

 理想的なサービス商品は個客対応にあります。個客対応とは、まさにお客様個別の対応となり新規のお客様にご納得頂く為のネタが必要です。そこで、実績を踏まえることで形に出来ないお客様満足度を間接的に「見える化」することを狙います。

 実は、サービス商品の差別化の最大要素は、個客対応(うちのことをよく判って貰えてる)です。個々のお客様にご満足頂ける商品を企画する役割を担う方が、営業・SEや、コールセンターに必要となります。

 主力商品となるサービス商品開発と商流の見直し、顧客対応の見直しを行う必要のある環境変化が地方ITベンダーを襲っています。

以上

2020年9月27日 | カテゴリー : ICT, 商い | 投稿者 : csf-ishii