コロナ下の経済 営業雑感No.103

 今回は、コロナ下での経済政策について、経営に携わる者の私見として述べます。Go Toキャンペーンの制限付き実施について、マスコミで様々に取り上げられておりますが、そもそも経済と感染症が並び立たないことは歴史の知る事実です。そもそも、過去の研究成果として、感染症対策の中で経済活動に有効なのは生活保障であることが明らかになっています。生活保障ということに目的を絞れば、給付金のように行政が直接生活保障を行う方法と、企業を通じて従業員に還元させる方法の二つに分かれるだけです。今回の経済支援策では、企業を通じての生活保障観点ではなく、企業業績に対する支援が前面にでているようで不思議に思っています。

 又、経済のしくみについてもシンプルです。どうも最近の政策議論は、三次産業を対象としている印象ですが、産業構造は、一次産業、二次産業の順に成熟していき、三次産業が成熟するのは最後です。従って、感染症により大きく疲弊するであろう経済を、ワクチンや治療法が確立された以降に活性化させることを考えると、今から一次産業と二次産業の従事者への支援を強化すべきではないのでしょうか?

 その意味では、今回の水害は一次産業を直撃していますので、復興支援と経済対策は両輪で効果がある筈です。これまで、農業には、いろいろな支援をしてきたという誤解が国民にあるようです。しかし、これまでの政府の支援は、農協や漁協を通じてのものであり、農家や漁師に直接届いている訳ではありません。農業で飯が食えるのであれば、農家の子供達が都市に来てサラリーマンになる確率は減る筈です。最近でこそ、大規模農業という名目で株式会社組織も生まれていますが、一線にいる一次産業の方々の収入構造を、これまでの農協頼り漁協頼りから再設計すべきではないでしょうか?道の駅に見られるような生産者から消費者へ直接繋がるしくみに補助を出すのも一つの方法です。国の決める米価の問題や流通機構、農協・漁協の持つ農家や漁師さんの借金など、課題は山積みですが、昭和以来の制度を大きく見直すべきと考えます。加えて、コロナを契機に、食料自給率を上げるべきと考えます。先進国での食料自給率は我が国が最低です。食料自給率向上と一次産業一線従事者の収入構造の見直しが必要と感じます。

 二次産業については、会社組織を通じての生活保障となる訳ですが、企業にとっての最大の経費は人件費であることが大半です。その意味では、家賃補助と同じように労務費補助を行う手もありますが、企業によって給与水準が異なる上、小泉政権以来の政策で非正規雇用授業員も増えています。企業に補助金を渡すのではなく、従業員に直接渡すしくみも必要かと思います。このままでは、大量の失業者で失業保険も破綻する可能性を秘めているのではないでしょうか?又、今回のマスク騒動で、中国依存から脱却すべく生産努力がなされ補助金も出たようですが、一次産業同様に一部の国に依存したサプライチェーンを見直す必要があるように思います。

 三次産業については、一番は、医療介護分野で働く人達への生活保障だと思います。ニュースでも、コロナ対応をした病院の経営が苦しくボーナスをカットするなどの報道が流れています。以前、この雑感でも書きましたが、医療保人、介護法人における経営の根幹は、国によって決められています。ホテルなどを待機ベット代わりに借り上げる政策が実施されていますが、病院のベット転換への直接支援が簡単に出来ない状況です。従事者への給与についても病院に任されていますので、会社と同じく給与格差があります。更に一般企業と異なり公営病院もありますので、格差の実態が掴めない状況にあります。従って、二次産業同様に、直接、医療介護従事者に生活保障の行きわたるしくみがいるのではないでしょうか?厚生年金に変わる制度として一律最低生活保証金制度の話がありましたが、今こそ議論をすべきではないかと思います。

 観光立国をうたった現政権ですから、三次産業、ことに観光業や飲食業に重きをおく政策を考えるのは判りますが、その場しのぎの政策ではなく、近未来含め感染症と向き合あうことを前提とした社会構造の変革を議論すべきではないかと考えております。マスコミもその場その場の事象にとらわれるのではなく、感染症というものと経済再生の道筋について、もっと突っ込んだ取材や番組編成が出来ないものでしょうか?過去の感染症に学ぶ特集は時々見ますが、当時の政策やその後の産業構造の変化など、視点を拡げた企画を期待します。

以上

2020年7月19日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii