拝金主義 営業雑感No.97

 今回は、コロナ禍の中で、先進国の政策の裏側にある拝金主義について考えてみました。経済重視という中に、実業(物の価値と貨幣価値が一致している経済活動)と虚業(貨幣価値が一人歩きをして貨幣価値が貨幣価値を産む経済活動)が入り混じっており、私は虚業重視となっているものを拝金主義と考えています。年明け早々のイラン情勢、イギリスEU離脱、北朝鮮問題、ヨーロッパへの移民流入、中国一帯一路構想など、拝金主義の国家間抗争ともいうべき混沌とした世界情勢の中で、突如現れたコロナウィルスです。このウィルスが拝金主義にどういう影響を与えるのかは判りません。これまでの感染症は、一時的に経済活動を停滞させるものの、貧富の差を是正するなどの効果を与えて経済活動が元に戻るとされていました。当時は虚業が殆ど存在しておりませんでしたので、今回は初めての経験ということになります。

 日本のマスコミは、年初の状況を産んだ原因として自国主義の台頭を上げておりましたが、私は「これはまやかしだ」と思っていました。確かに自国主義を掲げる政治家が選挙で選ばれていることは事実です。しかしながら、今の政治を動かしているのは理念ではなく経済だと愚考しております。格差社会や対立を煽る分断政治ともいいますが、今は、皆が金銭的に豊かになることを目指していることが、そもそもの背景ではないでしょうか?米国の状況は、虚業に取り残された経済的に苦しい人達の反乱とも考えておりました。ところが、コロナは、逆に実業に関わる人達にダメージを与えています。虚業で活きる人は、元々、PCとネット情報で糧を得ていますので三密とは無縁です。従って、ウィルスは、金持ちも貧乏人も平等に恐れるものではなく、虚業に生きる金持ちは逃げきれて、実業に携わる下層の貧乏人だけが襲われています。この為、過去の感染症では経済格差是正に働いていたものが、逆に経済格差を益々拡げているということになりかねません。政府の政策が、実業を狙ったものであればいいのですが、株価対策を根本に考えているような気がしてなりません。マスコミもあたかも経済状況を代表するかのような株価報道をおこなっておりますが、政策の目的が生活保障であることを、もっと認識して欲しいと感じています。最近は取り上げられなくなりましたが、最初に国民一律給付について「バラ撒きは経済効果がない」といっていたのは、株価を代表とする虚業重視の姿勢が出たものと考えていました。

 そもそも経済活動の原点は物々交換にあります。そこに登場するのが貨幣であり、物の代わりに価値を顕すものでした。従って、生産物の価値総額を超える貨幣は存在しませんでした。今は、全世界の生産総額の4倍にあたる貨幣が流通しているといわれています。これほどまでに貨幣量が増えた原因は、銀本位や金本位などの兌換貨幣制度の廃止です。以前の雑感でも書きましたが、米国のこの決定こそが今の状況を産んだ元凶であると愚考しております。加えて、米国では年収で人を評価する風潮が定着しており、日本人大リーガが年俸に拘らない姿勢を見せると、かえって反感を招くこともあるようです。

 一方、生産物総額を超えた貨幣は、金は金を産むマネーゲーム(私のいう虚業)を発達させています。虚業経済では金を沢山持った方が有利となり、金のあるところに金が集まり、経済の持つ弱い者イジメの傾向を、より強くするように思えます。又、虚業における貨幣価値は兌換性がありませんので流動的な価値となりバブル崩壊のように一晩で雲散霧消することもあります。中国は、この仕組みに気づいて自由経済とは名ばかりで、国家規模で虚業における覇権確立を目指すものが「一帯一路」であると見ています。

 政治と経済を結び付けた拝金政策を生んだ現況は、貨幣制度の変化にあると思っています。その意味では、兌換性だけでなく、紙幣のように国家補償の無くなったキャッシュレスは、虚業経済を助長するものなのか?それとも、現物価値と貨幣価値をつなぐ新しい貨幣制度となるのか?よく見極める必要があるとものとして警戒しています。株価維持に税金を使い、マイナス金利なるものを推奨している政府が提唱するだけに、やや懐疑的ではあります。

 いずれにしても、コロナウィルスは、政治・経済に大きな影響を残すことは自明の理です。この時代に生きたものとして、何らかの形で時代への関わり方を考えたいと思っています。

以上

2020年6月7日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii