今回は、よくスポーツ選手が共通して取り上げる平常心ということについて、私見を述べさせて頂きます。コロナのこんな時だから意識すべきと考えました。
スポーツの世界において平常心は、以下の勝利への三段論法を実現する為のものだと考えます。
①誰よりも厳しい練習を課して鍛錬する。
②試合とは練習成果を試す場である。
③練習内容が他に勝っておれば勝利は必然である。
ご推察のとおり、以上の三段論法は「心・技・体」の「技・体」の部分です。心を鍛錬した結果が平常心です。つまり「試合でも練習どおりの力を発揮することの出来る心持」を獲得してはじめて上記三段論法は成立します。この平常心を獲得するための手段として、プラス思考やラグビーの五郎丸で有名になったルーティーンがあります。スポーツにおけるルーティーンとは、キックやショットをする前に、必ず決まった行動をとることで、気持ちを集中させ、キックやショットが練習通りに行えるというものです。
この平常心が仕事の中にもあります。小生が平常心を無くし大失敗した事例をお話しします。それはお客様とのTOP会談の設定でのことでした。当時、小生が何とか獲得したいと考えていたお会社の中興の祖とされた会長様と、当時勤めていた会社の会長との面談に漸く漕ぎ着けました。前週に最終確認をしたところ、双方の意識していた日程に違いのあることが判明しました。その後、双方で調整したのですが予定が合わず、結局その会談はお流れとなり、実現しませんでした。お迎えから会食・お土産まで、お客様総務と綿密に打合せていたのが無駄になりました。何とか商談は獲得することができましたが、今でも当時のお客様とお会いするとネタにされていじられます。
何故、このような事態が発生したのか?原因は、私がアポイントを取るのに際し、日付と曜日が正しくない状態で先方秘書に伝えていたようです。どうやら、前月カレンダーで伝えていたようでした。当時は、メールもありませんので電話連絡だけですから、その実態は判りません。お客様は日付を優先しておられましたが、小生は曜日を念頭においていました。その時点で気付くべきなのですが、当時、小生にとって過去最大規模の他社からの入替商談であり、TOP会談に持ち込めた事だけで舞い上がっており、普段は普通に出来ていた日程再確認を怠っていました。唯一幸いしたのは、前週の確認で相違に気付いたため、僅かですがキャンセルには余裕があったことです。
この時に、勤務先の秘書室や上司からこっぴどく叱られた後に、小生の師匠から指摘されたことが「どんな仕事も習慣化することが必要」ということでした。「人間、誰でも普段ではあり得ないようなことをする。それは、魔がさすとか、うっかりと表現されるが、仕事においては、必ず習慣化で対処できる。今回、君はそれが出来ていない」と諭されました。つまり、面談のアポイントを取ることに関するルーティーンが確立されていなかったということです。以下に、私の面談アポとりルーティーンを書いておきます。
①複数の候補日の日付、曜日、時間を手帳の予定表にメモをする。
②先方と調整がとれたら、予定表で確定をさせる。
③可能であれば、事前に訪問場所まで行って所要時間を確認する。
④アポ前日までに、必ず再確認の連絡をする。
⑤面談後に必ずお礼の連絡をする。
小生が、よく習慣化ということをお話しするのは、上記、経験を踏まえてのものです。尚、部下を指導する場合は、部下が普段では、あり得ないような失敗をした際に、それが興奮状態やプレッシャーにより平常心を無くしてのものなのか?そもそも理解出来ていないのか?を小生師匠のように見極めるように努力しています。
仕事において平常心を保つ為にすることもスポーツと同じです。しかしながら、仕事とスポーツでは「心・技・体」の在り方が異なっていると思います。「心」の占める割合が仕事の方が大きいと感じています。ストレスやハラスメント等も「心」の問題です。仕事こそ平常心(習慣化)が重要と愚考しております。尚、職人と呼ばれる方や小生のいうところのプロは「技」も重要です。但し「技」に占める知識の割合が多いのも仕事の特徴と考えます。尤も最近のスポーツでも知識の裏付けが「技」獲得に有効という風潮が強まり、主に知識はコーチが受け持っているそうです。知識優先の所謂、理論スポーツの考え方は、日々の鍛錬により心も身体も同時に形成していくという我が国伝統の「道を極める」という考え方と、一見、相反するようにも見えますが、繰り返し同じ鍛錬をしその中から気づきを得るという点で、根本は同じと考えています。
以上から仕事における平常心獲得と技術・知識の鍛錬の双方に有効なのが習慣化というのが小生持論です。朝の挨拶からお客様への1day コールバック、箇条書きメモ、説明前の確認、決まった時間での読書など、習慣化のネタは沢山あります。自分の仕事と結びつけての習慣化を考えてみて下さい。尚、コロナ禍によって、折角の習慣化されたものが、無駄になる場合も多いかと思います。新しい習慣を身に着けるしかないというのが小生の結論です。
以上