今回は、情報を伝えるということについて考えてみます。小生、若い頃は「お前の話はよくわからん」と言われていました。最近、他の人から報告を受けた際に、小生自身が逆にそう思うことがあります。そこで、過去に判らんと言われて書き直したレポートを読み返しました。当時は、以下のような思いで、報告を受けた方に責任があるように考えていました。
・前に説明したのに忘れている。
・業界用語として常識でしょう。
・自社製品の中身くらい理解していてよ。
・同じ説明を何度すればいいの。
・お客様が言っていることを無視して自社都合を先行させないで。
などなど
以上を踏まえてよく考えると、今、小生が判らんと言っている場合も、小生に報告をしている方は、昔の小生と同様に感じているように思えます。言い訳になりますが、数々の報告を受ける身としては、正直、全てを覚えていることは出来ません。報告にしても、相談にしても、相手が理解しないことには意味がありません。ある意味、時間の無駄です。上記について、今更ながらではありますが、当時、報告者として考えるべきであったことを、ご参考までに纏めてみました。
・前に説明したのに忘れている。
→前回資料などを示し、以前の状況を相手に思い出して頂いてから説明する。
・業界用語として常識でしょう。
→ 新しい言葉については、都度、説明する。
・自社製品の中身くらい理解していてよ。
→ 説明に関係する機能については、別途、デモや画面例で具体的に理解して頂くことを前提とした準備をする。
・同じ説明を何度すればいいの?
→ 同じ内容を説明するときは、以前の説明が頭に残っていないということですから、同じ資料を使って何度説明しても無駄のように思います。課題整理の仕方を変更する、図式化するなど、理解して頂ける表現形式を模索することが必要と感じます。
・お客様が言っていることを無視して自社都合を先行させないで。
→ お客様の言っていることが、無茶なのか無理なのかを明確にすべきと考えます。無茶は検討できますが、無理は検討出来ません。個人判断ではなく組織として無茶か無理を検討するようにします、その上で、無理の場合は断り方を考えるしかありません。
以上のように、お客様や上司など、相手に伝わらないと感じた場合は、伝わらない原因を自分としては、どう捉えているかを考え、それに対策することを考えてみては如何でしょうか?
次に、相手に伝え易くするコツをお話しします。
先ず、第一のコツは、「自分の言葉で話す」です。例えば、自分が組織代表で参加した研修報告では、当日配付された資料を基に、説明された順番に説明する方が多いのですが、これはお勧め出来ません。何故なら配付資料は、講師のシナリオに従って作成されており説明時間も決まっています。その要約を、同じ資料を使って講師より上手く割愛して話せる筈はありません。それよりも聴講した方が要点のみを話し、受講者がそれぞれに配付資料を眺める方が、各人の理解に役立ちます。研修に参加した方が、先ず自分の言葉で内容を理解し、それを各人がそれぞれに各人の言葉で理解をすること重要と考えます。当然、伝言ゲームのように最初と最後で意味が異なることもあるでしょうし、各人での理解内容に相違も出てきます。実は、この相違こそが重要で、その相違を相互に質問しながら解消していくことで、研修の中身を共有できると考えています。
お客様への説明も同様です。カタログなどの棒読みはダメです。カタログ説明やアピールポイント説明は自分の言葉にして下さい。自分の言葉にすることは、お客様での業務適用のイメージを頭の中に浮かべて説明することで実現できます。
次に必要なコツは、「言葉を選ぶこと」です。以前にもお話したと思いますが、小生は井上ひさし氏から教えて頂いた演出の極意を終生使うことにしております。セリフを選ぶのと同様に言葉を選ぶということです。曰く「難しいことを易しく、易しいことを愉しく、愉しいことを簡単に、簡単なことを一生懸命に」です。なかなかに味わい深い言葉です。敢えて解説しません。それぞれに、噛み締めてみて頂ければ幸いです。伝えるということは、報・連・相やプレゼンなど様々な場合が考えられます。例えば、判断に困った場合の相談では、敢えて自分の言葉ではなく、お客様や関係者の言葉をそのまま使う場合もあります。他人の言葉を敢えて使う場合は、自分の言葉との関連性を明確にしておくことが必要と愚考しております。他人の言葉や文献の引用などをそのまま使うというテクニックは、一つ間違うと逆効果ともなりますので、使う場面や説明で伝えたい事との関連で注意する必要があると考えています。
伝える技術を磨くには読書が一番です。読書力とコミュニケーション力は強く関連付けられていますが、読書力は習慣化しないと身に付きません。読書で頭に汗をかくことは知的労働者の基礎であると思います。
又、仕事において伝えるということは、伝えた後に仕事に繋がる何等かの行動を期待している筈です。逆に行動を期待しないのであれば、伝える必要は無いとも言えます。伝えた後に何を期待しているのか?を明確にすることは意外と重要です。その上で伝える時期や場面を想定して、上記のコツを思い出して頂ければ幸いです。
以上