一貫性 営業雑感No.85

 今回は、前回の政治不信に関連して、以前リーダーシップのテーマで取り上げました、意思決定における一貫性について深堀します。一貫性とは、意思決定の判り易さに直結します。一貫性は、場合により様々な意思決定を行っても、常に目標に向かって整合性を取ることで実現できます。従って、一貫性を担保する為には目標を明確にしておくことが必須となります。且つ、出来れば目標は一つであることが望ましいと考えます。ところが、数字などで具体的な目標を定めると、整合性をとることが難しくなります。よく使われる例が、営業における業績目標です。売上高だけを目標にすると、利益の出る商談より売上が高額の商談を優先することになり、会社の業績に貢献できないこともあり得ます。逆に、利益だけを目標にすると、売上高が前年を下回ることもあり得ます。売上と利益の二つの目標を設定した場合は、目標の達成具合により、ある時は売上優先、ある時は利益優先と、商談毎の判断基準が微妙に異なり一貫性を担保することが難しくなりがちです。更には、人によって考え方が違うこともあり、一貫性が薄れることで、同じ指示をうけていても、部下によっては異なった解釈をして行動することも起こります。

 このような事態を避ける為には、「意思決定の一貫性を担保するための目標とは、具体的な数字ではなく、ビジョンである」というのが、定説です。上記の営業の場合は、売上高や利益など具体的な複数の数字目標は当然設定されますが、それ以前に顧客満足やトップシェアなどの組織ビジョンを掲げておくことで、たとえ商談毎の意思決定に相違があったとしても、原点においての整合性をとることが可能になります。当然のことながら組織ビジョンは企業ビジョンに従いますので、会社としての一貫性も貫くことが出来ます。組織を預かる管理職は、業績目標と同時に組織ビジョンを明確にしておくことをお勧めします。

 さて、話は変わりますが、政治とは意思決定そのものであると考えております。政権が異なるとビジョンが異なる訳ですから意思決定も変わって当然だと思います。むしろ変わるべきというのが小生の思いです。ところが、今の政党は、マニュフェストという複数目標を掲げている為に、かえって一貫性が取れていないように見えます。ビジョン設定においては、「一億総活躍」などとビジョンと選挙用キャッチフレーズを取り違えているようにも思えます。これらの理由で、一貫性が薄れ、意思決定が判りにくくなったことから政治不信が生まれているように思います。本来、政党には綱領など組織結成の際の理念が掲げられていますので、各政党ともに、この理念をもっと国民に説明すべきだと思います。そうすれば、場当たり的な国会答弁も減るのではと愚考しております。又、政治家だけでなく、官僚組織もビジョン不在になっているような気がしてなりません。組織ビジョンが明確になっていれば、忖度の入り込む余地は少なくなる筈です。

 このビジョン不在の時期に発生したコロナウイルスですが、細かな政策を論じる前に、一度、原点に返って、関係する組織がそれぞれのビジョンを明確にすべきではないでしょうか?著名な経営者が共通して言っていることは、「困った時には、創業の理念に立ち戻って考える」です。尚、小生も各政党の綱領など、ビジョンをしっかり勉強して、自らの政治不信を払拭する助けにしたいと考えております。

以上