医療法人 営業雑感No.81

 今回は、この数年で勉強しましたヘルスケア関連のお客様の会社形態について考えてみました。IT商談をすすめる場合、営業のお客様理解は必須であり、その中でも会社形態を理解しておくことは、上流の経営課題提案から下流の業務効率化提案まで、提案の根底に流れる理解となります。一般民需の場合とは、全く異なりますので、小生のように民需中心で勉強してきた人間には、とても難しかったです。とりあえず理解したことだけをお話しします。

 先ずは、医療法人の種類です。資本形態で財団と社団に分かれます。財団は、創業者など故人の遺産をベースにしたものが多く、社団は、一般的な会社と同じで個人や法人が資本を出しあって運営しております。因みに、財団は医療法人全体の10%程度です。

 財団と社団で大きく異なる部分は、最高意思決定機関の在り方です。

 社団の場合、理事会が実質の最高意思決定機関となり、理事会で選任された理事長が法人代表者として経営を行います。しかし、理事は、社員と呼ばれる株主に似た構成員からなる社員総会で選任決定される為、社員総会が、一般の会社の株主総会に相当し、ここが形式上の最高意思決定機関となります。従って、病院における社員とは、一般会社の社員とは大きく異なり、事務長・院長等、一部の人に限られています。同じ事務長でも、社員であるか、否かによって、病院での権限には大きな差が生じます。

 財団の場合、社員総会はなく、理事会が最高意思決定機関となります。但し、理事会の専横を監視し、経営の透明化を図るために、評議員会なる監督機関が置かれることもあります。

 次に、政策的に公共性を担保させるしくみがあります。公立病院に準じる救急体制等を、義務付けられた社会医療法人と介護の公共性を担保された社会福祉法人です。この二種の病院・介護施設では、税法的には公益法人に近い「公益法人等」として扱われますので、通常、利益に応じて課税される法人税が、大きく免税されます。但し、法人解散時点で、資産を国や県に返上する等、複数の公共性を担保する制限事項が設けられており都道府県知事や厚生労働省の認可が必要です。

 上記2種の社会法人以外が一般医療法人や介護施設の場合は株式会社となります。こちらは、利益に見合った法人税が課税されますので、一般の会社と同じような経営管理手法が存在します。但し、医療法人には、株主は存在せず、出資者は出資持分として出資額が担保されますが、利益配分による一般的な株主配当は存在しません。但し、出資持分を持っている方で、その時の病院の資産に見合った報酬がある場合は、利益配分とみなされ「みなし配当」として配当金課税をうけます。理事長の親族等で出資持分を持った医師や看護師、及び一般的な開業医の場合、その報酬を給与とみるか?みなし配当とみるか?で課税額が変わりますので、税理士さんの出番が多くなります。

 尚、一般医療法人でも税制面の優遇を得られるように、こちらは国税庁で認可される特定医療法人となることが出来ます。こちらも一定の公共性を義務付けられていますが、県知事や厚労省の認可する社会医療法人や社会福祉法人とは公共性の性格は大きく異なります。

 又、一般医療法人と社会医療法人、社会福祉法人の大きな違いは、相続と事業継承に関連します。一般医療法人では、出資持分を相続するため、相続時点の資産評価に基づいた膨大な相続税を現金で支払う必要があり、後継者選定に、金持ちという条件がつきます。以前は、銀行などが、個人融資をしていたケースも多いようですが、今は難しいようです。

 社会医療法人や社会福祉法人の場合、個人が出資持分を所有しているケースが少ないので、社員総会、理事会で、後継者を決めることが可能となります。出資持分の扱いや相続についての詳細は、小生、まだ勉強不足で、自分の言葉で語れませんので誤解があるかもしれませんが、ご容赦下さい。

以上

2020年2月16日 | カテゴリー : ヘルスケア | 投稿者 : csf-ishii