ITシステムの評価 営業雑感No.80

 今回は、ITシステムの評価についての考え方を纏めました。ITシステムの導入効果を数値化することはなかなか困難なものです。事前の導入以前の工数を計測しておき、導入後の工数と比較するような、単純な作業効率化を目的とするシステムは殆ど無くなりました。又、製品販売用Webシステムのように、内容の良し悪しで売上高との関連性を評価出来るシステムも稀です。そこで考えられた指標がITに関する費用と売上高の関係です。

 汎用機時代は、目安として約10%とザックリと言われておりましたが、その後のクラサバ時代からインターネット時代に替わるにつれてその考え方も陳腐化していきました。しかしながら、小生は、この考え方を取り入れるしかないと考えています。但し、投資費用については、導入時一時費用を積算するのではなく、年度償却ベースで考えることと、サポート費用やライセンスの年度更新費用なども含めた、年間コストで計算するべきと考えています。ルータなどのネットワーク関連費用や回線料なども纏めて計算すべきです。一部のPCなど経費で処理されているものについても年度平均で総額を把握すべきと考えています。各種クラウドサービスやメールやHPなどの費用もこれに含めます。このように、所謂PL(損益計算書)ベースで売上高比を把握することが必須と考えています。実際には、ITシステム導入責任部署が分散しているうえ、経理費目が異なることから厳密に一元管理がなされていない企業が殆どです。先ず、IT費用売上高比を把握することをお勧めします。統計データもないことから適正な基準値はありませんが、汎用機時代と同じく10%が一つの目安になっていると思われます。タブレットやSNS機器、IoT機器などが普及する前に整備すべき課題と考えます。

 以上が費用面での評価ですが、業務効率化などの効果については、どのように考えるべきか?です。これについては、各個別システム毎に評価方法を決めるしかありません。しかしながら、HPではアクセス数、クラウドサービス系ではログイン時間やログイン数、業務システムではログイン数のように、単純に稼働率を見ることも必要と考えております。つまり使われているのか否かを、先ず、評価すべきと愚考しております。その上で、使わる頻度の少ないシステムについては、その必要性(無くすと何が困るのか?)を使用頻度の高いシステムについては、業務付加価値向上の考え方で評価すべきと考えております。

 又、業務付加価値向上の観点で評価する際には、ITシステムと運用面での対応を検討すべきです。極端にいえば,ITシステムはソフトウェアですからルール化されたことは何でも出来ます。ところが、年間1回しか発生しないような業務をITシステムに組み込むことは、上記コストの考え方からすれば無駄な投資といえます。AIなどの導入においても同様と考えます。業務システムとは、運用とITシステムのバランスの上になりたっています。システム設計と運用設計は、業務システムの両輪です。従来、システム設計にのみ重点があたっていたように思いますが、今後の新技術を採用するにあたっては、運用設計がより重要になると考えます。

 以前、ICT組織としても纏めましたが、最新技術に対応する業務設計を行うことが、今後の情報システム部門の業務付加価値と愚考しております。

 最後に第四の経営資源として、情報を扱う為に経営者に決めて頂きたいことがあります。それは、ステークホルダーを意識した情報戦略を決めて頂きたいということです。お客様、従業員、経営者、株主、地域社会の誰を主眼として情報戦略を考えるかです。これまでは、販売管理システムや生産管理システム、経理・人事システムなど組織と業務に即したシステムが殆どでした。これからは働き方改革や様々な情報公開など、人・物・金の経営資源と同様に、情報についてもステークホルダーを意識したバランスを考えて頂くことが必要です。このバランスの上に、企業情報システムは成り立っていると考えます。

以上