お客様を決める 営業雑感No.75

 今回は、仕事をする上で、基礎となる「お客様は誰?」について解説しておきます。小生は、社内業務であれ、外部との折衝であれ、業務遂行時に「お客様」を明確にするようにしています。「目標を明確にすること」と「お客様を明確にすること」は、仕事の両輪と考えています。

 営業活動の場合、お客様は明確です。では、総務や経理などのスタッフ部門にとってのお客様は誰でしょう。スタッフ部門をインサイドセールスと定義をしておられる会社が増えてきましたが、そこでは社員がお客様となります。その場合、スタッフからみた、顧客は「お客様のお客様」となります。会社によって、スタッフ部門のお客様は経営層であったり、株主であったりと定義は異なっておりますが、社員をお客様と考えるスタッフ部門ほどラインから頼りになる存在はありません。余談になりますが、役所は市民、銀行は預金者をそれぞれシンプルにお客様と定義すれば、もっと窓口業務は速やかに流れると思うのですが・・・・

 次に、「お客様のお客様」という考え方を説明しておきます。接待やプレゼントのように、利益を得る方と費用負担をする方が異なる場合、本来のお客様と費用負担をしている方との、どちらがお客様か?です。契約行為としては、お金を出している方が契約相手となりますので、商売観点では、お客様は費用負担者です。しかしながら、その商品を実際に使用する方の満足が得られないと、そもそも、その商品は選ばれません。このように、お客様からサービスや商品を提供されている方を経営学では「お客様のお客様」と定義されています。よく話に出てくるエンドユーザとは「お客様のお客様」のことです。では、お客様と「お客様のお客様」のどちらを見て仕事をするか?です。一見、難しそうにみえますが、これもQCDで考えれば、基本は簡単です。つまり、Qは「お客様のお客様」を見て対応し、CとDはお客様(契約相手)を見て対応します。

 実際の業務での応用例を、いくつか考えてみます。チャネル販売の場合、商品のQを評価するのは実際に使用する方ですから、販売チャネルをお客様とすると使用先は「お客様のお客様」になります。しかしながら、実際の契約金額や納期などの折衝は販売チャネル経由の折衝となります。自ら使用先と直接折衝をする場合も販売チャネルの同意を得ないで勝手に決めてしまうと、販売チャネルは商売には必要ないことになり、結果的には、当社が販売チャネルからお客様を奪ったことになります。そうすると販売チャネルからは信用を無くしてしまい、最悪、キャンセルもあり得ますし、今後のビジネスでの協力を得られないでしょう。従って、チャネル販売では「お客様のお客様」ということを強く意識をする必要があります。但し、Qに関することは、販売チャネル任せにするのではなく、タイムリーに使用先と会話することも必要です。尚、口利きや紹介だけで、商談は全て自社で直接行うような場合は、直接販売と同様にQCD全てでお客様をみることになり、販売チャネルとは協力金等の営業経費でのお付き合いになります。

 直接販売した場合でも、お客様のお客様を理解することは必要です。何故なら、お客様の業務は、お客様のお客様をみてなされており、経営方針にも強く関係しております。以前、お客様を見る・観る・診るというお話をした際に、お客様の商品カタログを手に入れるように話した背景は、この「お客様のお客様」という観点からのものです。お客様の商品は「お客様のお客様」を知るうえでの基本となります。

 この概念が複雑になるのがヘルスケア業界です。病院では、勿論患者がお客様の筈ですが、医師の立場では、指導する相手であり、場合によっては研究対象と捉えている側面も否めませんので、お客様の定義をより難しくしていると感じています。尚、地域医療で掲げられている社会貢献や地域貢献も、結局は住民をお客様(患者及び患者想定者)と捉えて考えるべきものと愚考します。又、介護施設の場合は、入居者自身が費用負担をしているのではなく、入居者の親族が負担しているケースも多いので、入居者を「お客様のお客様」とし、親族をお客様と認識する必要も出てきます。教育業界も同様の事情がありますが、我が国のヘルスケア業界では皆保険制度により、医療費の大半が税金で賄われております。医療機関が独自で価格設定を行うことも出来ませんので、お金を出す方が見えにくくなっており、お客様の定義がより複雑になっていると考えます。病院や介護施設が、誰をお客様と定義しているのかを知る目安は、敬称の付け方で、患者を「患者」と呼んでいるか「患者様」と呼んでいるか?です。

 IT業界においては、クラウドサービスの進展で、これまでとは大きな構造変化を起こしています。5GとIPV6の登場で「お客様のお客様」という存在は無くなるかもしれません。こちらについては、後日のテーマにします。

 話が横道にそれましたが、社内・社外問わず業務遂行にあたって「お客様は誰?」を考えることをお勧めします。

以上