職業人 営業雑感No.74

 今回は、プロ意識について整理します。対価を頂いて仕事をしている方を職業人と定義します。職業人は全員がプロである筈ですが、給与を貰っている職業人でありながらプロとはとても言えない方がおられるのも事実です。プロと思えない方を何と呼べばいいのでしょうか?小生はレイバー(労働者)と定義しています。会社には同じ仕事をしていても、プロとレイバーが混在しています。その違いは何でしょうか?仕事は平等に指示され割り振られている筈ですから会社や組織の問題で分かれてはいないと考えます。その違いは、職業人自身の気持ちの問題でモラルに属すると考えています。

 指示されたことを淡々とこなし成果物を出すだけの方はレイバーであり、何とか自分の色を出して他の人の成果物と差を出したいと考えている方はプロであると考えます。端的に言えば、仕事を与えられるものと考えるか?自分で仕事をつくると考えるか?の違いです。皆さんは、どちらの考え方でしょうか?この自覚の問題には落とし穴があります。それが「自分の仕事としたいのだが、なかなかそうさせて貰えない」という言い訳です。この言葉を使うかぎりは、いつまでたってもプロには縁遠くなります。

 会社において、プロとレイバーのどちらを選ぶかは、社員に選択権があります。どちらがいいというものではありません。レイバーは時間で管理されますので、仕事の時間以外の時間を有効に使うという選択もありますし、会社によってはプロを求めていない場合もあります。最近の我が国での非正規雇用問題は、生き方の問題などと政治家が都合よく説明していますが、結局はレイバー化政策だと愚考しています。社会がプロではなくレイバーを求めているのかもしれません。但し、〇〇家と呼ばれている職業の方々はプロしかなれないのが本筋だと考えます。

 少し脱線しましたが、会社員であっても、自分は職業人として、どちらかを選ぶかを明確に決めておくことが必要です。これは生き方の問題ですから、同じ仕事をしている限り、時と場合で使い分けることは出来ません。厳然たる覚悟です。

 逆に、組織としては、レイバーとして生きると決めている方には、徹底した時間管理をおこない、成果物と時間の因果関係を常に明らかにする責任が生じます。出来れば仕事も毎日割振ることが効果的かもしれません。更に、社内規定など、もろもろの規則はレイバーを想定してルール化されていますので、レイバーのほうが管理しやすいとも言えます。しかしながら、スポーツに代表されるようにプロ集団であることは付加価値極大化に繋がり易いのですが、会社組織としてプロを規定するルールはなかなか難しいというのが実態で、未だ試行錯誤の段階です。プロ集団にはリーダのカリスマ性が必須などと訳の判らない話も解説されていますが、小生的には眉唾ものです。昔は、プロ育成のために職人制度があったのですが今の世に適合させるのは至難の業でしょう。プロ意識のある方が愉しく仕事が出来る組織環境つくりには、「相互信頼」が決め手だと考えています。

 小生の考えでは、レイバーを使いこなすのはプロの仕事です。プロかレイバーは自覚の問題ですので、レイバーを目指している方にプロになれと言っても無駄だと思います。レイバーとして使いこなすしかありません。その為には指示を細かくして仕事のQCD(特に、内容と納期)を明確にして指示することと結果報告を必ず受けて、成果を評価することが必須です。報告については待つのではなく、上司から問いかけ型(ポーリング型)の報・連・相の繰り返しです。指示した一つの仕事が終わってからの次の仕事を指示するという段取りになります。逆にレイバーはプロを使いこなすことは無理です。プロに仕事を頼むことは出来ますがマネジメントは出来ません。従って、レイバーは管理職にはなれません。

 ここで、プロとレイバーの付加価値を考えてみます。どちらにも個人の努力による付加価値は存在しますし、評価基準となる個人差も存在しますが、その方向性が異なります。

レイバーの付加価値

 基本はQCDのDです。つまり納期短縮と作業効率化(生産性向上)が全てです。評価軸は時間です。評価については、上記のように作業の慣れや経験を踏まえた時間短縮の度合いでレイバー毎の能力差が評価されます。時給制や、現在の残業規制などは、レイバー型報酬体系の典型です。例えば、レイバー型で残業の多い方への対処法は、残業するような仕事を指示しないことに尽きます。更に、残業事前申請を徹底させてその理由を踏まえ、仕事の指示を変えるしかありません。尚、レイバーを目指される方は、仕事以外に生きがいを求めておられるのでしょうから、そちらに注力する時間を確保したいと考えている方が多く残業は好まない筈です。

プロの付加価値

 いうまでもなくQCDのQです。成果物の内容が全てです。レイバーのような時間短縮もありますが、こちらは多能工的なマルチジョブになります。しかしながら漫画家や小説家に見られるように納期よりも内容重視が基本姿勢です。プロ型報酬や評価の代表例が成果主義の筈だったのですが、肝心の成果物評価、特に、評価者が成果物の経営貢献を評価する為の評価基準を作れなかったことが原因で、今のところは大失敗と愚考しております。尚、裁量労働制やコアタイムなしの完全フレックス制などもプロ型です。

 因みに、戦前まで残っていた奉公制度は、プロ養成型で、見習いの間は最低限の生活に必要な食事や衣服は支給されるものの一人前と評価されるまでは、無報酬・時間無制限です。そして成果物が評価されて一人前となってからは報酬と暖簾分けなど資金提供もされていました。但し、親方次第で単純搾取に陥るというのが最大の難点です。現在でも相撲部屋制度や落語家の内弟子制度などは、これに倣います。

 以上のようにプロとレイバーでは仕事の作法も方向性も全く異なります。どちらを目指すか?は新人の時から決められます。皆さんは、どちらを目指されますか?尚、管理職は無条件でプロですから、各組織員がプロかレイバーかをヒアリングし、管理方法を変えて下さい。小生も以前は、プロ至上主義で、本人の自覚を聞かずにこちらで勝手に判断して随分失敗しました。皆さんが自覚をし、上司がそれを承知しておくことが「相互信頼」の第一歩と愚考しております。

以上