失敗は成功の母ならず 営業雑感No.65

 今回は、皆さんがよく知っている言葉と反対のことをお話しします。「失敗は成功のもと」と、よく言われますが、小生は、仕事に関しては、それは難しいと愚考しています。

 「失敗は成功のもと」の謂われは、発見・発明や人間関係のお話が多いと思います。人間関係においては、確かに恥をかくことで、以後、気を付けますので、そのとおりです。一方、発見・発明においては、失敗から学ぶというより、偶然の結果や突然のヒラメキによるものが多く、必ずしも失敗の積み重ねから生まれるのではなく、そのケースはかえって少ないように思います。むしろ、何度も失敗をしても目的を忘れず、失敗を恐れず繰り返すことが出来るような目的意識というか、ある種の執念を持っていないとダメなことは事実でしょう。

 では、日常の仕事の場合は、どうでしょう?決まりきった事務処理などは、先ほどの人間関係のときと同じく、失敗は成功へ導いてくれます。しかしながら、商談やPJ運営などにおいては、如何ですか?見事、受注した案件や、無事に立ち上げた案件において、過去の失敗を参考にして作業したから上手くいったのでしょうか?よくよく考えてみると失敗事例からの教訓が成功のもとになっている場合は殆どないのではないでしょうか?

 一方で、他人の成功事例を聞くより、失敗事例を聞くほうが勉強になると、よくお聞きしますし小生もそう思います。しかしながら、それは、失敗事例の方が、自分の問題として共感を持ち易いからだけではないでしょうか?成功事例で述べられる勝因は、様々な環境があり、自分の環境に当てはまらないので共感出来ないことが多いと感じることが多いものです。事例から学ぶというより、共感の持ち易い失敗事例を好む傾向があるだけのように愚考しております。従って、事例研究においても、失敗事例が成功事例に勝るものとはならないと考えます。

 以前、本雑感でも成功体験の連鎖によってモチベーションが維持・高められるとお話しました。従って、仕事の成功の母は失敗ではなく成功であるというのが、小生持論です。但し、成功から成功への連鎖をつくる為にやるべき必須の作業があります。その作業は、小生は、以下の順で実施しています。

1)成功要因を並べた上で、一つ一つを謙虚に見直し、偶然に出来てしまった要因と自らが考え人為的に為しえた要因の二つに分けます。

2)偶然に出来た要因が、次の機会には、人為的に出来るか?否か?を見極めます。

3)人為的に出来ると判断した全ての要因につき、具体的な方法をイメージし、次回からは必ず実施するようにしています。

 具体的に良く行う指導は、PJなど完了した時点で、各人に、良かったと思う点を三つと次回同じようなPJに参加する際に為すべきことと手順を提出させます。それらを関係者で協議し、PJ参加者の総意としての良かった三点と次回で為すべき手順を決めて文書で残します。場合によっては、MVPを決めます。一般的な評価者によるMVPではなく、自分が良かったと思う点についての互選です。所謂、反省会に変わるものとして定着化会議として実施するようにしています。反省会は致しません。

 このように成功を謙虚に振り返り、次回に活かすイメージをつくることが、成功の母と考えます。但し、そのイメージは、決められた業務手続きを遵守することが前提です。もし、これまでの業務手続きと異なるイメージだった場合は、慎重に手続きを見直す必要があるかもしれません。「ほうれんそう」をして関係者で協議をお願いします。業務改革の種かもしれません。

 失敗からの教訓は「・・・してはいけない型」ですが、成功からの教訓は「・・・しなくてはいけない型」になります。モチベーション(やる気)は「しなくてはいけない型」に伴う行動の結果として醸成されるというのが、小生持論です。

以上