組織運営とプロマネ 営業雑感No.59

 以前、プロマネの考え方をお話しましたが、組織長の仕事は、プロマネそのものであると愚考しております。今回はプロマネを組織運営に適用する方法についてお話しします。プロマネはSEの専売特許のように思っておられる方も多いのですが、プロマネは組織(チーム)で行う仕事の全てに存在し管理職やリーダは、プロジェクトマネージャ(PM)そのものだと考えます。尚、商談推進については、担当営業がPMの自覚を持ってあたるべきです。

 プロマネの第一段階は計画作成で始まりました。組織長も計画作成が肝心ですが、手法としてのプロマネでは、単純に、一つのプロジェクト(PJ)で考えればいいのですが、組織では複数のPJが同時に動いておりますので、組織バランス(稼働率)を考えることが要求されます。プロマネの主な作業は、以下の作業順になります。

<Q計画> WBS(Work Breakdown Structure)を使い作業分解と達成を評価できる成果物を決めます。

<D計画> 各作業の必要期間をガントチャートに著し、クリティカルパス法で最短作業計画を作成する。

<C計画> 作業内容と想定期間から要員数とメンバー・外注先を選定する。

 ところが、組織でのプロマネを実施する場合は、組織としての要員バランス、つまり。組織構成員の稼働率を出来るだけ均一にする必要があります。組織は決算期毎に目標が設定されますので、本来であれば、当期の個別のPJ計画が出来上がっていれば、それを重ね合わせて考えればいいわけですが、期初に全ての計画が決まっている訳ではありませんので、各担当を各PJに当てはめるだけになります。

 お客様に係わるPJを担当している場合を例に話します。お客様向けPJは、お客様に承認を得て初めて計画は確定されます。契約段階(最終見積時点)の目標と策定計画で誤差が生じた場合は、速やかにお客様と協議をし、契約時点QCDを見直すことが必須です。計画段階での赤字を実施段階で挽回することは100%不可能ですので、お客様とギリギリの折衝をすることになります。大規模プロジェクトでは、この実施計画確定段階までを最初の契約として、以降の実施作業は、計画の承認を得てからの正式契約することが一般的です。しかしながら、期初などに計画を立てる場合は、前期からの継続案件など一部のPJ計画は確定していますが、殆どのお客様向けPJ計画は、未契約で確定していないケースが多いものです。加えて、稼働率(QCDのⅭに属します)を考慮して納期(D)を調整出来るのは契約以前だけです。契約後は約束納期に引っ張られて稼働率が無視されることも多くなります。

 そこで、PJの想定期間と概略の計画から要員名を当てはめるだけの要員計画を行うのが一般的です。同じプロマネという手法ながら、要員稼働率を検討する資料と実施計画時に使う要員検討用の資料は全く別物です。一番違う点は、要員稼働率を検証する資料では、上記のようなQCD三計画のような予実管理をしません。但し、稼働率検証用では、新規契約成立や見積提出などの事象が発生した時点で計画を見直します。稼働率検証時では要員を固定して納期を見直しますが、PJ確定時では、納期が固定されて要員が見直されます。

 余談ですが、目的が違うものを、一つの資料で見ようとすると混乱を招きます。IT屋は、資料作成工数を重視するあまり、共通資料を優先して目的指向を忘れがちです。お客様からのシステム変更依頼なども帳票作成に係ることが多いので、その帳票の目的に合わせて帳票設計を行う必要があります。特に、意思決定に係る資料では、前年度などの経年比較や施策の継続性を担保する意味からシステム標準帳票とは別に、部署毎に個別に作成されている場合もあります。以前、お話ししましたように帳票には業務付加価値が宿ることが多いので、目的指向を貫くことが必要です。

 以上にように、PMで最も工数が掛り、且つ胆になるのが進捗管理です。計画(予定)どおりに作業が進捗することは稀ですので、実績を踏まえ、常に、小さな計画見直しを繰り返すことになります。Dを先行指標としてQやCを変動させたり、QやCが変動した結果のDを評価したり、様々なシュミレーションを行う必要があります。この為、PJ管理ツールとして、Dを顕すガントチャートをベースにQとCを連動させて管理できるツールが販売されています。最も、一般的なものがMS社のMSチャートとなります。しかしながら、組織運営の為のプロマネツールは販売されてはおりません。組織長の第一の仕事は、その組織の実態にあわせて、稼働率を管理する帳票を設計することだと愚考しております。勿論、作成された帳票は、上司及び組織構成員に認知されることが必須です。期間と要員をキーとした帳票になると思います。

 尚、要員選定を行う際には、PJ推敲に必要なスキル要件が設定されており、特定のスキルを身につけた方がボトルネックになることがよくあります。最近、はやりの多能工という考え方は、担当者のやる気とこの稼働率向上の両面を狙った施策です。

以上