今回は、組織の壁について、お話しをします。かなり以前から大部屋方式の事務所が増え、ことに最近は、働き方改革の影響でフリーアクセス方式の職場も増えています。従って、物理的な組織の壁は存在しない会社が増えています。ところが、組織の壁があるという話をよくお聞きします。ということは、組織の壁とは、皆さんの心の中に存在していることになります。従って、壁を壊すには、皆さん一人一人が努力するしかありません。先ずは、壁が出来るまでをいろいろと想像してみましょう。
・何かを依頼した時に、取り合って貰え無かった。
・一緒に何かをしようと持ちかけたのに、断られた。
・困って相談に行った時に、相談に乗って貰えなかった。
・会社で課題がハッキリした時に、特定組織の問題として責任を転嫁された。
・お互いの組織長が不仲で、話合う雰囲気が持てない。
・自分達のやるべきことだけを明確にして、残りの課題は、全てこちらに廻して来る。
・こちらの忙しい状況も把握せずに、先方都合納期で仕事が降ってくる。
・話し合いの場でも、常に自分の組織に都合のいいように話を進める。
以上のように、いろいろあるかと思いますが、基本的に相手組織の構成員の態度に対する憤懣や、話し合っても埒があかないので、好きにしろと諦めた時に壁を感じているのではないでしょうか?
小生、この「諦め」こそが、組織の壁の真因と考えています。壁があると思った時に上司に相談したり、訴えたりして、自分としては壁を壊す努力はしたが、なかなか難しかったというケースも多いと思われます。この場合、相談はかえって壁を厚くする(上司の中にも壁が存在することを確認したり、上司の中に壁を発生させる)ことがある上、場合によっては、上司との関係がギクシャクしたりする要因にもなります。特に、自分としてはやるだけやったが、後は組織の問題というのは、自分の心の中の壁に対して、本末転倒且つ無責任だと考えます。組織の壁には、以下の特長があるというのが、小生の持論です。
1)壁は、自分の力でしか壊せない。
2)壁は、相手の心の中にもある。
3)壁は、諦めの数で厚みを増すので、最初から諦めてはいけない。
次に、営業の場合の、関係部署との壁の壊し方のヒントをお話しします。
1)先ず、目的を共有出来ているか?を確認する。
話し合いや相談の際に、最初に目的を明確にして、相手と目的の合意をしてから話すことです。営業の場合は、目的の大前提は「お客様のお役に立てる」です。目的を共有せずに話すと議論が空中戦となり、上記のような結果を招きますので、議論はせず、早めに切り上げることをお勧めします。目的が共有出来ない時は、組織長の判断に任せるしかありません。
2)議題・課題は、事前にドキュメントで配布しておく。
議論をする際に、必ず実施頂きたいのが、議題の事前配布と議事録回覧です。又、論点を明確にする為に、前提となる見積・システム構成・お客様インシデント等も、当日、配賦下さい。口頭での説明は、誤解を招き易いので、資料ベースで現状事実を明確にして下さい。
3)想定着地点(理想的には、こうしたい)を明確にしておく。
相談する側で着地点を想定しておかないと、どこまで譲れるか?が曖昧になります。 決まった後で「本当は、こうしたかったのに出来なかった」と悔やんでも仕方ありません。想定着地点との差分を明確にして、決定事項に従って、直ぐに次の行動を起こさないと相談は無意味です。相談の後には即行動が、相手の信頼を勝ち取ることになり、壁を壊すことに繋がります。
4)相手の立場を尊重する。
先ずは、相手の言い分を聞くことです。その際、最も注意すべきは、越権行為をしないことです。先方に判断権限がある事柄には、こちらの要望を伝えるだけで、先方判断を受け入れるしかありません。従って、その後の折衝では想定着地点からの差分で妥協点を探すことになります。尚、最初に想定着地点を話すか?否か?は、集まった方の性格や緊急性により異なりますので、そこは各自でご判断下さい。
5)感謝の意を顕す。
会議終了をお礼の言葉で閉めることは勿論のことですが、会議決定事項に従って、お客様に説明などを行った後の、お客様の反応について迅速に関係者へ報告することは必須です。情報共有がタイムリーに行えれば、壁に関する殆どの問題は解消します。
以上をご参考に、日々の社内折衝を実施して頂ければ、自ずと壁は消滅すると思います。いうまでもないことですが、壁に一番気を付けなければいけないのは部門長とベテランです。壁は、組織にとって百害あって一利なしです。部門長やベテランの壁は、部下に伝染します。逆説的になりますが、壁の無い組織では、情報共有が進展しますので、部門長の我儘は許されず管理職による本来的な管理が行き届き、組織効率(付加価値)が上がります。尚、組織における上司に対する忖度は、壁を産む要因の一つになり得ますので、考えるべきではないと思います。営業にとって忖度する相手は、お客様だけと考えます。
以上は、社内組織の壁に関することですので、販売チャネルやメーカなどの社外との壁問題は、上記ヒントは参考になるとは思いますが別物です。社外との折衝では、利害が必ずしも一致しません。従って、前提となる目的の共有が難しいことが多いので「お客様の為に」という大義名分のもと共通目的を見つけ着地点を想定することでしかないと愚考します。
以上