私的組織論 営業雑感No.56

 今回は、これまでのお話しと重複する部分もありますが、組織運営に焦点を当ててお話しします。組織というと経営に属する難しい問題と考える方も多いと思いますが、組織は会社だけではなくクラブ活動や小生の住む長崎人の好きな祭りの運営に加え、町内会やマンション自治会など複数の人が集まれば必ず発生するものです。組織運営についても、マネジメント同様、会社人としては必須スキルと考えます。

1)組織運営の大前提 「組織は戦略に従う」

 戦略は、いうまでもなく目標ありきですから、組織も目標ありきです。但し、組織には必ず責任者が存在しますので、少数精鋭の現場責任者に任せて組織を考える「属人組織」や、逆に、人ではなく、組織ありきで戦略を考える「官僚組織」などがあります。「属人組織」も「官僚組織」も一長一短があり、一般的には環境変化の大きい時は、属人組織のほうが適しており、安定期は官僚組織のほうが適していると考えます。覇権の歴史にも、その傾向は顕れています。尚、属人組織の最も効率的な形態が創業者カリスマ組織と愚考しております。

2)組織形態変更の方法論(組織戦略と呼ばれるものの本質と考えます)

 組織を考える場合に、考えるべきことは「効率化」と「責任明確化」の二つしかありません。目標達成の為に、責任を分化、専門化して効率化を図る形態と、業務遂行に必要な責任を横断的に任せることで効率化を図る形態の二つです。

①機能別集約・ピラミッド型組織

 現在の多くの企業は、この形態です。経理、総務、営業、製造など機能別に分かれており、その責任範囲も特定化されています。

②目的別分離・フラット型組織

 事業部制に代表されるように、各事業のお客様を明確にし、市場責任(顧客分析と商品戦略)、損益を一元的に事業責任者に任せる方式です。

 但し、この二つの形態は、常に一定のものではなく、目標達成の為に集約と分離を繰り返す傾向があります。これまで製品別事業部制をとっていた企業が、機能別に組織を再編して間接部門を集約して効率化を図る例はご存じのとおりだと思います。間接部門を切り離すことで事業別粗利を再評価し、改めて新たな事業部制に切り替えたという企業もあります。但し、この組織変更をタイムリー且つ柔軟に実施する為には、組織構成員の質が問われます。組織変更に対応出来る人財は自律型社員であると愚考しています。自律とは、仕事で遭遇した事象に対して、先ずは、自分で考えることが出来ることを意味します。指示待ちやマニュアル通りにしか動けない社員では、組織変更の前に整理しないといけないことが多くなり、簡単に組織は変えられません。環境変化に合わせた柔軟な組織編制と人財教育は切り離せないものと愚考しております。

3)組織運営の方法論

 組織運営とは「会議体」だけです。会議の目的も「情報共有」と「意思決定」の二つだけです。情報共有目的の会議体には、ルールも形式もなく自由ですが、意思決定目的の会議体には、厳然としたルールと形式が決まっています。因みに、株式会社の最高意思決定機関(会議体)である株主総会の議長は代表取締役社長ですし、業務執行における最高意思決定機関である役員会の議長も社長です。これは法律で規定されています。尚、期初の取締役会において、最初に行うことは議長の選出です。多数決で議長に選出された方が代表取締役です。社長とは業務執行の最高職位であり、厳密には、代表取締役と社長とは、定義の異なる別の名称です。実際、代表取締役は、社長に限らず、会長や専務にもおられます。代表が複数人とは、取締役会及び株主総会の議長資格のある方が複数人ということです。勿論、複数の方の優先順位は、予め決められています。

4)意思決定目的会議体(意思決定機関)における厳然たるルール

①議長は、必ず組織長が行う。

 意思決定とは業績目標達成に向けてなされますので、業績責任者である組織長が必ず議長となります。議長は中立ということが常識化していますが、それは意思決定を共有化する為に議論の過程で行うことで、業務遂行の意思決定における議決権は常に議長にあり、多数決ではありませんので、ご注意下さい。無論、多数決に従うと議長が判断することもありますが、その責任は必ず議長が負うことが前提です。議長を課員に任せたりしておられる組織長をお見かけしますが、組織と組織長の関係を理解されていないようにお見受けします。

②議長の為すべきこと

・会議目的の明確化

 会議には、必ず目的があります。一つの会議で一つの目的が理想です。決定すべきも目的の異なる意思決定事項が複数ある場合は別の会議体とすべきです。部会や課会の場合、第一週は業績、第二週は要員配置など、週替わりで議題を変えるのも一つの方法です。

・会議構成員の任命

 意思決定すべき事項に合わせて、適正な会議構成員を決めるのも議長の責任です。例えば、営業会議を行うのに、営業全員を集めるか?代表だけを集めるか?も議長の判断となります。但し、代表を集めた場合には、下部会議が開催される可能性が高くなりますので、意思決定効率を考えて判断する必要があります。言わずもがなと思いますが、意思決定効率とは、意思決定の迅速化です。

③議長の会議運営モラル

 会議には目的がありますので、必ず結論を出す必要があります。勿論、結論保留の場合もあり得ますが、基本的にその場で結論を出せるように、根回しや資料事前配布等の事前準備をすることが重要です。

 以上のように、組織運営とは、組織長による会議体運営に尽きるといっても過言ではありません。目的なき会議や、結論なき議論の横行は、組織運営において厳に戒めるべきことですが、単に、会議の多さだけを嘆くことも間違いです。組織長が目的をもって定期的に会議を行い、組織員は決定事項を速やかに粛々と遂行できる組織が小生の理想とする組織です。

以上