業務知識習得法 営業雑感No.53

 今回は、小生がIT活用提案において、最も重要と考えております業務知識の習得に向けて、小生が実践している方法をお話しします。言うまでもなく業務理解の際の先生は、お客様です。お客様に教えて頂くことになりますが、その際に、特定の順序で理解していくことが効果的です。あらゆる業務は、入力伝票と出力帳票で成り立っています。尚、ITシステムでよく見られる各種照会画面は入力伝票と主力帳票を補完するものと考えて頂いて結構です。従って、業務を理解するということは、入力と出力の関係を理解するということと同義と考えます。お客様に教えて頂くべき事項とそのヒアリング順序を以下に示します。

一番目 出力目的の理解

 帳票や画面などの情報出力には、必ずそれを見る人がおり、それを見た人は何らかの判断をしています。つまり、誰が、いつ、何の為に、何を判断しているかを掴むことが最も重要です。実際にシステム化を検討する際には、全帳票を洗い出しますが、先ずは、日次、月次、年次など定期的に出力されているものを対象として理解して下さい。

二番目 判断基準とデータ発生源の理解

 判断の基礎になるデータは、最低限何が必要で、それはどこで発生しているのか?  (データ発生源)を掴みます。定期出力に関連する伝票やデータ入力画面を特定します。

三番目 データ発生源で同時に獲れる他データ及び、他出力との関係の理解

 出力から入力を洗い出しますので、対象とする出力には関係ないが、他の定期出力帳票に関係のあるデータも同時に獲れる場合もあります。データ発生源で獲れる全データと関連する対象出力帳票以外の出力帳票との関係性を整理します。

四番目 基データとデータ発生源の関係の理解

 例えば部品入荷データ場合、データ発生源は倉庫受入窓口となりますが、データの起源を遡る(そもそも何故、その部品が必要となったのか?など)と受注データであったりします。つまり、発生源データの基となるデータを把握します。

五番目 出力連鎖の理解

 判断の結果が、次の判断の入力になることも、ままあります。この関係性を掴むことも重要です。経理から出力された決算書と営業から出力された売上報告書の双方にデータを加工して商品別得意先別売上状況表などの経営会議資料が作成されている等、定期出力帳票から作成される帳票とその帳票に関連する他部署の帳票を整理します。

 以上の5つの事項の理解が出来れば、ひとつの定期出力帳票における業務の流れの大筋が理解できます。実際には例外処理も多く、例外処理の為の出力もありますので、その部門で一番大切で日常的に使っている出力帳票をベースに理解すれば、その部門の役割も見えてきます。例外処理は、大筋理解の後に理解することをお勧めします。先ずは、その業務の本来あるべきシンプルな流れを、上記手順で理解して下さい。又、必ずしも上記手順で順序よくヒアリング出来るとは限りませんので、必ず一番目の出力目的の理解に繋がるように聞いて下さい。業務の流れを掴むことが出来れば、業務理解の70%程度は理解出来ていると考えます。残りは、例外処理の理解(いつ、どこで、何故発生するのか?など)や、同業他社との比較などで業務理解の幅を広げていきます。

 加えて、お客様からの様々なITに関する問合せに際しても、単純に「出来ます」「出来ません」を答えるだけでなく、問合せの背景にある業務をヒアリングし、運用含めて実現方法をお客様と一緒に考える姿勢を見せることで、業務理解を深めることに繋がりますし、回答のQ(品質)が飛躍的に向上します。又、提案においても、業務理解が進んでいれば期待効果を明示し易くなりますので、提案のQが大幅に向上し、お客様への訴求力も高まります。

 次に、折角、業務を理解しても提案をしないことには、営業としては失格ですから、入力と出力のそれぞれで最初に考えるべき着目点と提案素材例を挙げておきます。

入力のQCD

Q 入力ミス撲滅。手入力によるチェック機能だけでなく、手入力を無くすしくみ。

 提案素材)各種センサー入力、音声入力、見易い画面&操作など

C 二度打ち撲滅。一度入力されたデータを全社で使いまわせるしくみ。

 提案素材)Web連携、マスタ整備、大福帳、名寄せなど

D 発生時点入力。客先や出先から、その場で入力するしくみ。

 提案素材)ウエアブル端末、モバイル、POS、ハンディなど

出力のQCD

Q 目的整合性確保。いつ、誰が、何の為に、何を判断しているかを可視化。

 提案素材)ビッグデータ、業務フロー、デシジョンマトリックスなど

C 出力コスト削減。ペーパーレスのしくみ。

 提案素材)電子書類、ワークフロー連携、システム間連携など

D 意思決定迅速化。決裁者判断待ちによる時間ロスを無くすしくみ

 提案素材)コックピット機能、メール連動、未決済アラーム機能など

 尚、入出力のQCDだけでなく、基データに遡って判断するしくみや、データ発生源での入力時点即判断のしくみ等、情報連携ショートカットと業務フロー短縮が提案出来れば、お客様にインパクトを与える提案となります。現在、業務効率化検討の最たるものは、業務フロー短縮によるリードタイム短期化です。加えてモバイル端末などの最新デバイスとネットワークの組合せで、データ発生源での即時入力と組織内データの一元化も流行りの効率化です。提案はリードタイム短縮、行動指針はクイックレスポンスと、QCDのDの時代と愚考しております。

以上