今回も前回に引き続きIT関連です。商談やセミナーが活況を呈しておりますRPA(Robotic Process Automation ロボティック・プロセス・オートメーション)について私見を述べます。結論を先に述べますと、現状のRPAは「時代のあだ花」と思っています。何故なら、以前の雑感に書きましたように、現在のIT変革をリードしている技術革新は、入出力関連であり、音声応答やIOTセンサーなどによりキーボードがやがて無くなると想定しています。従って、キーボード入力を人に代わって代行するRPAそのものが不要になるからです。とはいうものの従来キーボード入力をベースとして書かれているプログラムを新しい入力方式に変換するのは大変な作業になりますので、音声入力ソフトなどが、既存プログラムを流用出来るようにRPAを組み込むことはあり得ると思います。AIも既存プログラムとのインターフェースとしてRPAを使うことになると思います。従って、今のRPAではなく、入出力関連の組込みソフトのような新しい形態のRPAが近い将来に出てくると思います。
以上の前提をふまえて、今のRPAを業務に活用するために為すべきことと手順を整理したいと思います。そもそもRPAは、工場現場などでロボットを活用する際に理論として活用されていました。その理論の応用となります。
1)業務付加価値の明示
第一回でお話ししました組織ビジョンに関連しますが、そもそも所属している組織の付加価値とは何かを検証します。物差しはQCDです。経理などは判り易く「法で決められた書式に従い経営状況を正確に早く作成すること」になります。営業ですと、新規顧客拡大を付加価値としている部署もあれば、顧客インナーシェア拡大を付加価値としている部署もあるでしょう。スタッフ部門系は難しいといわれますが、企業ビジョンを分解する形の組織ビジョンを作成していれば、お客様へのクイックレスポンスや早期課題発見と対策の立案など直ぐに見つかる筈です。「方針ありき」です。
2)出力帳票の網羅的整理
次に、全ての出力帳票を洗い出します。システムから出力さるもの、手書書類、各種申請書など、対外的に自部門から提出している出力帳票となります。MECE(もれなくダブリなく)の概念で整理して下さい。ペーパーレスやコックピット経営の採用で、参照画面に切り替わっている場合は、その画面を出力帳票と見なして下さい。帳票毎に把握する項目としては、提出締日、提出先、関連帳票、提出先での再加工有無などです。尚、全帳票を整理する理由は、帳票の統合や、関係帳票の前後関係を整理するためです。小生「業務の付加価値は提出書類に宿る」と考えています。従って、全帳票の中で、上記付加価値に最も近い帳票がその部署の核となる書類です。具体例としては、新規顧客開拓を付加価値としている場合、新規顧客登録票などとなります。
3)業務時間割の把握
RPA適用に向けては、QCDのDの観点からアプローチをします。人の作業の代行に加え、24時間稼働させることが可能になるからです。その為に、一日の作業時間と週次、月次などでの締め処理関連の作業時間を含め、各人別の作業時間を組織として集計した概略の時間配分を整理します。細かな時間を収集する必要はなく、30分単位、1時間単位で結構です。明細も、移動、電話対応、会議、データ入力など、大まかな区分けで結構です。但し、2項で選定した帳票の為に為されている時間は明確に区別して下さい。これにより、帳票作成の為の時間とその時間を阻害している他の作業時間が明確になります。
4)入力伝票、帳票の整理
最後に、全ての入力伝票、帳票を整理します。この場合も、入力画面だけしかない場合は、その画面を入力伝票と見なして下さい。尚、データ入力を3項の出力帳票を見ながら入力している場合は、出力帳票を入力伝票としてください。伝票毎に把握する項目としては、発生日、発行元、自部門での付加情報(顧客コードなど)の有無、再計算作業(合計チェックなど)の有無を整理して下さい。
5)RPA適用業務の選定
出力帳票、業務時間割、入力伝票が整理出来れば、ほぼ自動的にRPAの対象となるデータ入力作業や帳票出力の為の操作が明確になります。尚、これらの作業に手間がとられていないのであれば、RPA適用業務が存在しないことになります。又、他システムからの出力伝票やFAX伝票などを見ながら入力している作業が多い場合は、OCRやインターネットFAXなどとの連携を考えるといいでしょう。
以上が、小生の考えるRPA適用に向けた業務分析方法です。ご注意頂きたいのは,RPA適用を主目的に考えず、業務分析の結果として考えることです。冒頭、書きましたように今のRPAは今後の主流となるソフトではありませんし、ユーザがRPA用のシナリオ作成などの操作方法を覚えても意味がありません。RPAをキッカケとして業務分析を行いRPAに拘らない業務改革を進めることが本流と考えます。
最後に、小生の考えるIT効果とは三つです。今後、AIやRPAなどの新技術が登場しても、以下に照らして業務を見つめることをお勧めします。
1)二値化(デジタル化)
あらゆるデータを全て0と1の二進数で顕します。二値化された情報に区別はありませんので、所謂マルチメディア対応が可能となります。
2)命令絶対
一度、プログラムされた命令は、何回繰り返しても同じ答えを出します。小生は計算スピードよりも同じ答えを繰り返すことにこそ価値があると思っています。
3)永久記憶
媒体にもよりますが、一度入力されたデータはほぼ永遠に記憶されます。加えてその記憶容量もネットワークを活用すればほぼ無限といってもいいくらいです。
以上
2019年6月23日
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カテゴリー : ICT , QCD
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投稿者 : csf-ishii