今回は、久々に小生の本職であるIT関連で、最近、当たり前のように使われているAIについて持論を纏めました。言うまでもなくAIはITに属します。但し、処理装置の変革に属しますので、これまでのITの変遷をなぞっています。つまり、ITでは、処理装置の変革から始まり、処理装置が専用機から汎用機へと進化した後、変革の旗頭が記憶装置にかわり、現在は、入出力の変革の時代に入っていると以前申しましたが、今のAIは、最初の段階である専用機の時代です。将棋のAIは将棋しか出来ませんし、囲碁のAIは囲碁専用です。今、世の中に出ているAIの殆どが専用機です。しかも、AIのエンジン部分だけでなくその構築言語もC++など一部の汎用言語が使われているものの動作はエンジン部分に依存しますので、他のAIエンジンでは動作しません。一部、IBMや富士通が業務用の汎用AIエンジンを提供していますが、それぞれに検索系、推論系など得意分野が決まっており、汎用機とは程遠い存在です。DECやHPなど昔のミニコンのようなレベルとお考えください。従って、今後、開発言語の統一や汎用機的エンジンが登場してくると一気に業務への適用が進むと考えます。
又、最近よく耳にしますDeep Learning(深層学習)などの自己学習機能についてですが、これもそれぞれのエンジンに属します。AIとITのプログラミングの違いは、この学習機能で、ITでは、A=1というロジックを定義しますとBが入力されるとエラーで返すだけですが、学習機能付きのAIの場合、Bが入力された場合、人に判断を聞いてきます。そこで、2と入力しますと自動的にB=2というロジックが自動形成されます。加えて、アルファベットとして、A,B,C,D、E・・とういう順序データを入力しておくと、次にCが来ても自動的にC=3というロジックを自動形成し、人に正否を聞いてきます。正しければ、以降はD=4、E=5・・・と自動生成されます。非常に簡単に略して書きましたが学習機能とは、このようなものです。
AIという言葉は、90年代には登場しており、当時、IT分野で流行したオブジェクト指向の延長上にありました。オブジェクト指向とは、最初は、操作から始まり、今では、当たり前となっていますが、ドキュメントを選ぶとそのドキュメントを作成したプログラムが自動で立ち上がって内容を表示しています。ひと昔前までは、先ずプログラムを起動してからドキュメントを選んでおりました。従って、当時は、同一企業内でのドキュメント作成ツールの統一が叫ばれたものです。その後、オブジェクト指向言語と呼ばれるC++やJavaなどが生まれ並行処理や待ち合わせなど従来の言語では制御出来なかったロジックを記述出来るようになり現在へと続いています。AIエンジンの汎用化に向けては新しい標準言語の登場が必須と愚考しております。
さて、ここからが本題ですが、業務へのAI適用とは、どのように考えればいいかをお話しします。業務においては、AIが全ての人を上回ることはありません。何故ならAIは自分で判断することがないからです。学習機能を用いたとしてもその答えの正否を聞いてきます。但し、全ての人といいましたのがミソで教えた人の能力に依存しますので、教育者の能力が優れていれば、その方の能力に劣る方の判断はAIにも劣ります。将棋やチェスなどでプロでもAIに負けますが、これはゲームにはルールがあり、過去の膨大な棋譜などのデータがありますので学習能力が人に勝るからです。従って、例外処理がなくルールが明確な業務があればAIが人に勝ることにはなりますが、実際の業務では例外処理の判断こそがその方の能力の高さを顕すことが多いですので前述のようにAIの教育者次第と考えます。将来は判りませんが、業務におけるAI活用の最大のメリットは、優秀な方のノウハウの継承とAIを業務サポート機能として活用することで、担当者の早期育成とイージーミスを撲滅出来ることにあると考えています。
次に、業務にAIを適用する手順を考えます。
第一は、業務の標準化によるルール化が必須となります。標準化に向けては、以前お話ししましたモジュール化やSOA(Service Oriented Architecture)の考え方が参考になります。いずれの考え方も業務をいくつかの機能に分解し、機能の組み合わせで業務全を表現できるようにすることです。
第二にAIには必須となるデータの蓄積です。データは多いほど学習機能が活用できます。ビッグデータとAIがセットで語られる所以です。しかしながら、整理された業務の過去データは存在しないのが現実ですから、AI導入時に代表的なものだけを用意して、以降、使用しながら蓄積していく手法をとることが多いと思います。但し、センサー技術やIOTを活用して、これまで使いたくても使えなかったビッグデータを活用できるシュミレーションなどの業務では飛躍的に業務効率化と業務の質を上げることが可能となります。
第三がAIエンジンの選定です。標準化の過程で明らかになる筈の業務特性に合ったエンジンを選定することが必要です。エンジンは専用機であることを念頭に、最適なエンジンを選ぶことになります。
最後に教育者の選定です。ベテランの方を選ぶことはいうまでもありませんが、教育者は複数の方がいいと考えます。AIには相性はありませんので、ライバルの教えも全て有効になります。但し、AIを教育するためには、人のノウハウをAIに判る言語に翻訳することが必須となりますので,選定したエンジンに精通した技術者を育成するか、外注することが必須となります。エンジン選定の比較要素としてサポート体制や教育メニューは、これまでのIT選定の際よりも重要になると考えます。
以上