今回は、前回の私的マーケティング論でふれました企業ブランドについて、お話しします。先ずブランドとは何を保証しているのでしょう?それは、QCDでいうとQの保証です。つまりブランド品と言えば品質がいいということになります。以前は、品物にブランドが付いていましたが、最近は、企業にブランドが付く時代に変わりました。この企業ブランドを獲得するための方策が、マーケティング用語でいうパワーブランド戦略です。
では、企業の品質は何で保証されるのでしょうか?勿論、その企業の取り扱っている商品品質であることは明確ですが、取扱商品は時代によって変わったりもしますので、商品品質を維持するしくみが無いと心もとないことになります。パワーブランド戦略をとっている代表的な企業名をあげますので、少し考えてみて下さい。
トヨタ・マクドナルド・無印良品・ユニクロ・ニトリ・セブンイレブン・ディズニーなど
お判りになりましたか?正解は社員です。企業の質は、社員の質になって顕れます。社員の質の評価軸はいろいろありますが、企業ブランドの場合は、その会社特有のビジネスモラルというようなものになります。よくトヨタマンなどと会社名を冠として社員を呼ぶのが、それを体現したものの一例です。社員が持っている共通的な行動指針の顕れたものと言ってもいいでしょう。小生持論のクイックレスポンスには、企業ブランド確立への狙いが強くあります。クイックレスポンスを社員全員が心掛けることで、お客様に社風のようなもとして理解して頂き易い上、お客様を中心とした商品や市場ニーズに関する情報がより多く集まり、繰り返し対応した情報ではより深く理解することが可能になりますので、商品品質の向上にも繋げられると考えているからです。
加えて、企業ビジョンと社員の行動の合理性も重要です。仮に「お客様に必要とされる会社になる」という経営ビジョンを掲げている会社があるとすると、社員の日頃の行動が、お客様からみて必要か不要かで単純に評価されます。その為、経営ビジョンとそれに基づく行動指針をアルバイト、非正規社員に至るまでの全従業員への教育が必要です。社員教育とブランドの関係について、小生の最も興味のある対象として、ディズニーとグーグルを研究中です。
既に、お気づきの方もおられるようにサービスを商品主体としている会社の品質保証は、企業ブランドしかありません。従って、企業ブランドを高めるには社員一人一人の自覚に懸っており、社員と会社が一体となってお客様に行動をとれて初めて、企業ブランドが認知されることになります。この企業ブランド確立に向けては、必ず守るべきルールもあります。
例えば、何かのトラブルがあり、こちらのミスが判明したとします。
・直ぐに担当者を変更する。
・営業がとにかく謝り、客先で担当者を叱る。
・言い訳を考える
以上3つの対応では、いずれも企業ブランドを確立するのは不可能です。難しいのではなく不可能です。方法は、以下の一つしかありません。
・管理者をつけ、担当者に最後までやらせる。
企業ブランドというのは神輿のようなもので、全員で担がないと全く意味を為しません。従って、ミスは個人の問題でも会社の問題として解決する姿勢が必須です。ここでご注意頂きたいのは、お客様の前では、たとえ他部署の問題であれ、社内の不備や課題をさらけ出して言い訳にしないことです。販売会社で、主力商品提供メーカが一社で大半を占めているような場合でも、メーカの対応が悪い等、メーカを貶めることは避けたほうが無難と考えます。これらの対応は、営業にはつらいのですが、全て自分の責任と呑込む覚悟が必要で、その為には事前の社内折衝が重要です。又、営業以外の方も含め、お客様と接する方のチョットした気遣い(声出し、挨拶、笑顔など)が企業ブランドに大きく影響しています。デモでの説明員のそっけない対応が、そのまま商談成否に係ることも多いものです。
昔は、お客様との連絡は電話が全てでしたので、よく先輩から電話3回コールまでに受話器を取ることを義務付けられました。特に、女性陣には、厳しく言われていましたので、他の電話などで手が塞がっている時に、5回以上なっていると脅迫観念にとらわれていた女性もおられました。しかしながら、それを守らない人が、たとえベテランであれ複数人居ますと、職場の信頼関係も薄れていきます。行動指針とは、自分の立場に関係なく、常に、自分が率先して行う気概が必要です。賛否ありますが、経営者の率先垂範が最も効果的です。
モラルはルールと違い、時代とその構成員によって変化していきますが、文化として残っていきます。時代や構成員に左右されることなく残った文化こそが企業ブランドと言えます。企業ブランドは、決して、ルールだけでつくれるものではありません。モラルが醸成されることの方が本質と愚考しております。企業ブランドを確立しているお会社で掲げられています行動指針をご参考までに以下に並べます。
「社外では絶対に内輪喧嘩はするな。社内で徹底的にやれ」
「お客様の前では、社長から守衛に至るまで社員全員が平等に営業」
「社員満足無き顧客満足を語るなかれ」
「お客様に接している方は、常に社長のつもりで話せ」
「会社の宝は社員。人材を宝(人財)に変えるのも社員」
経営ビジョンを実現する為に、経営ビジョンに則った日頃の行動に繋がる行動指針を決めることが、企業ブランドを醸成するための近道と考えます。
以上