今回は、全ての業種で必要とされるサービス業務における付加価値極大化について、お話しします。サービス業務は、これまでサービス業の利益源泉と考えられておりましたが、製造業でもPLM(Product Life cycle Management 製品ライフサイクル管理)の浸透により製品納品後のメンテナンスや各種問合せ対応などこれまで製品付属の価値のように思われていたものが、新たな付加価値分野として着目されています。最近、TVコマーシャルで、コマツ様が自社の建設機械にチップを装着し世界中での自社製品の稼働状況を監視する映像が流れていますが、この取り組みは20年前からなされており、当初は盗難防止の意味あいが強かったのですが、その後のビッグデータ活用とクラウドの発展により、これまでの製品販売から稼働従量制の価格体系を模索されていると思われます。サービス付加価値の根源は品質ですので、前回までの品質管理の考え方の応用になります。
①標準化
これについては、何度かお話しをしましたように、各種標準手順書やチェックシート、ツール類やユニフォームの統一など、繰り返し使える要素を少しでも多く作成していくことに尽きます。尚、ユニフォームの統一は、サービス提供者の外観を統一することにより、その内容も均一化するという効果をサービス提供者のモラルとサービス受給者のイメージの両面から狙ったものです。これらの施策のキーワードは「繰返し使用」です。一方で、標準テンプレートを折角決めたのに誰も使わないということが、まま起こります。使われない標準は、標準を決める論理に問題があり最大公約数で作られるからです。最大公約数というのは、言い換えれば、皆、少しずつ不備があるということです。従って、誰が使っても多い少ないはあるものの不満が残ることになり、繰返し利用の観点からはよくありません。標準を決める論理は最小公倍数で作る必要があります。こうしておけば、最低でも作成者は使います。又、最大公約数で作ろうとすると出来るだけ多くの事例(書類など)を集め整理するという手順を踏みます。従って、時間が掛ります。最少公倍数のアプローチでは、先ず、自分でやったことを整理し、どこかに登録することがスタートですから直ぐに始められます。この時に最初から完璧を求める必要は一切ありません。そして、次に使う方がそれをベースに追記していき、追記の必要が無くなったものが標準となります。
以上のことを行う為には、「ノウハウの泉」とか「付加価値の素」などの共有ファイルを作成し、各人がイベントを実行する度に登録していくことです。一工夫としては、繰返し利用を促進する為に、有るものは、必ず使うことを義務付ける習慣をつけることです。ドキュメント毎に検印を押したり、個人別の利用状況を統計化して公表したり、より多く使用されたものを作成した方を表彰したりと、様々な施策を状況に合わせて実施します。但し、これは、ルールとして強制するのではなくモラル(行動規範)を重視して行うべきと考えます。
又、修正については、追記のみを可能とし、削除は禁止します。これは、全ての項目を一旦出し尽くしてから、モジュール化の考え方で、オプションとして整理したいからです。基本、別帳票にすることも禁止します。そのほうが、最終的には、少ない標準で多くのケースに対応することが可能になります。この追記方式は、以前、論理的思考法のなかでお話をしました「漏れなくダブリなく MECE」の考え方で、先ずは「漏れなく」を実現し、その後「ダブリ」を整理するというものです。
②縦横展開
品質に関して何等かの手をうった(障害対応、クレーム処理など)場合に、付加価値を大きくする方法は一つだけです。それは、同様、もしくは似たような事象に対しても速やかに適用することです。一般的に横展開と言われる手法です。縦展開というのは、小生の造語で、過去の事象や、これから行う事象に対しても適用することです。地域やお客様など別の領域へ流用するのが横展開、時間軸で流用するのを縦展開としています。顧客サポートを主力商品としている場合は、過去事象に展開することが重要です。殆どのコールセンターシステムでは、過去の問合せが顧客別や事象別に時系列で見られるようになっています。番号通知のあるものでは、自動的に電話番号での履歴が見られますし、最近は、AIを活用した自動応答システムも出てきました。サポート商品において重要なのは継続性であり、例えば、過去に一旦回答したものについても最新情報で見直しをかけて、こちらからお客様に通知すれば、お客様からの信頼度は、極端に上がります。サポートとの大きな差別化要素は、過去のインシデントをどれだけ整理出来ているかだと思います。これが、AIの教育にも直接つながります。
上記のように、標準化や縦横展開により、目に見える形としては時間短縮がなされ、LTと稼働率の関係から仕事量を増やし付加価値極大化に繋げます。加えて、各作業が高いレベルで均一化されてくることで、品質コストも下がります。付加価値極大化で生まれた利益を給与に還元させて、従業員のモラル向上に繋がるという好循環を発生させて、更なる付加価値を生み出します。品質に拘って、モラルから始まってモラルに終わるスパイラル構築が、サービス付加価値極大化の最善の方策と考えます。
以上