これまで、標準化手法として、最初に標準部品の考え方があり、利用の際の利便性を高めるために、他社製品との連携を取り易くするための業界標準があるということをお話ししました。今回は、業界標準が決まっていない製品や分野で、連携部分を含めた標準化の手法であるモジュール化についてお話しします。
ものづくりで考えますと、部品単体については標準部品の考え方で整理をしていけばいいのですが、複数部品で組立てられた中間部品(組立図で規定された製品に至る過程で作られる部品)の標準化を行う為には部品単体に加え、部品と部品の結合部分も標準化をしておかないと、取り付ける際に都度異なる加工をする必要が出てきます。このように、中間部品において部品だけでなく、部品の接合部分までを含めて標準化を行う考え方がモジュール化の基本です。
加えて、一般的に製品仕様は、用途や色やサイズ等、複数のバリエーションを持っています。その為、中間部品においても、その影響を受けて製品仕様のバリエーション次第で、複数種の中間部品が作られることになります。従って、モジュール化と製品仕様のバリエーション定義には、緊密な関係があります。
三つの部品が三階層に重なったある中間部品を想像して下さい。最下層部品が2種、真ん中の部品が3種、一番上の部品が2種あると仮定すると中間部品として作られるものは2×3×2の12種あることになります。この時、上下の部品の結合部分が、部品毎で異なっていますと製造段階での組立作業も12種となり、都度作業で効率が悪くなります。そこで、上下部品の部品同士の結合部分を同じ様式にすることで、どの部品が選択されてもこの中間部品に関しては、部品を取り換えるだけで、同一手順で組立てることが可能になり作業品質も作業効率も上がっていきます。
以上のように、モジュール化では、バリエーション定義に従い複数の部品を組合せて中間部品を製作する為、部品の結合部分まで含めた標準化を行います。又、上記の例では、上下の組合せパターンで7種の部品から12種の中間部品が出来ました。仮に最下層の部品を1種増やすと中間部品は18種と大きく増えます。このように、組合せ数や部品種の数次第では、少ない部品で膨大な種類の中間部品を作ることも可能になります。少ない部品で多くのバリエーションを作ることをモジュール化の狙いに置く場合も少なくありません。
ものづくりでのモジュール化を進める手順は以下のとおりです。
・製品のバリエーションを整理する。
・製品をいくつかのブロック(本体・可動部などの中間部品のこと)に分解する。
・バリエーションの影響を受けるブロックを選びだす。
・各ブロックに影響を与えるバリエーション要素を整理する。
・各ブロックを構成する部品をバリエーション毎に決定する。
・バリエーション選択とブロック及び部品選定ロジックを検証する。
実は、モジュール化は、ものづくり分野だけに限ったものではなく、いろいろな分野で利用されています。例えば、行政関係では、従来、出産や転居など住民異動に関する手続きは、保険課、市民課、納税課など様々な部署に異なる様式の書類を出す必要がありましたが、これらの手続きを、モジュール化の考え方で、出産や転居などの事象別に整理統合して手続きの簡素化を図る取組が世田谷区等で実験されています。住民ナンバー制の導入も行政業務簡略化に向けたモジュール化の概念がその下敷きになっています。
ワークフロー導入に代表される社内伝票整理や決裁権限と決裁ルートの整備にもモジュール化の考え方が使われます。伝票とは、部門間の情報伝達の仕組みであり、まさに上記の部品結合部分と同じです。伝票記載情報を整理し、複数あった伝票を一つに纏め、且つ、記載内容ごとの決済権限を見直して、決済ルートを短縮するなどの施策を考えます。
モジュール化の考え方そのものは「要求されるバリエーションに対応する為に、構成される要素を最少となるように選定し、その要素間連携部分を含めて標準化する」というものです。モジュール化の応用範囲は広く、標準化・標準部品・モジュール化の三点セットは、小生が業務改革を考える上での基礎としています。業務には目的があり、それは必ず次の業務へと繋がっています。「業務理解の第一歩は入出力帳票」というのが持論で、帳票が業務と業務とのつなぎ目になりますので、その部署で作成している帳票を一元的に整理すれば業務の目的や他業務との関係がよく見えます。加えて、業務は一本道ではありませんのでモジュール化の考え方で例外処理などをバリエーションとして整理します。小生の指導する業務改善とは、標準伝票や標準手順を決めて、例外処理などはバリエーションとしてモジュール化を行うというものです。
以上