前回は、ものづくりの流れをお話ししました。今回は、ものづくり改革・改善の基本となる「標準化」についてお話しします。標準化は、製造業だけではなく様々な分野で使われておりますがQCDの概念で考えたほうが論理的ですので、小生はそれを使っております。
先ず標準化の狙いを伝票の標準化を例にお話しします。出張伺書や旅費精算書は、定型伝票で書かれていると思いますが、定型伝票が無ければ、場合によっては、日時や訪問先などの肝心な情報が漏れたりします。必要項目が全て記載されていたとしても項目の書かれている箇所が人により異なれば、決裁する際に伝票を見るのに時間が掛り、結果的に意思決定が遅れます。定型伝票による標準化とは、必要項目の漏れを無くし、誰が書いても一定レベルの情報品質を保持し、加えて、判断すべき項目と見る場所を一定にすることで決裁の品質とスピードを早くしています。QCDでいえばQリードでD、Cを引っ張っています。以上のように標準化とは、繰り返し利用による品質の一定化(均一化による品質向上)と意思決定迅速化を狙う施策です。
日常の仕事の標準化を行うのが、所謂、業務改善です。但し、標準化の対象は、伝票などのドキュメントに関するものと、業務フローに代表される処理手順に関するものの二つに大別されます。但し、この二つは、密接に関係している為、先ず業務フローから標準化を行い、次にドキュメントの標準化を行う手順が一般的でした。最近は、業務の付加価値を探す場合や見える化の応用で意思決定の迅速化を図る場合に、一つの帳票に着目して業務フローを見直す手法が流行っています。業務の付加価値を探す際は、業務フローではなく、業務で作成される帳票を中心に帳票作成に関する流れとして業務フローを見直します。加えて、作成された帳票が、他部門でどのように使用されているかまで、業務フローを拡大します。「業務の付加価値はOUTPUTに宿る」が小生持論です。ダッシュボード経営やコクピット経営からの流れでは、経営会議などで使う帳票に着目して、その作成過程と情報発生源を明確にし、毎日更新などの手法で意思決定の迅速化(リアルタイム化)を図っています。いずれも出力された帳票から業務を見直す手法です。
標準化の進め方ですが、先ずはあるべき姿を把握します。あるべき姿とは、その業務の本来的な目的です。例えば、受注処理ですと、他社への発注の為に行うのと、自社作業の着手を決める為に行うのとでは、意味合いが異なってきます。他社への発注が前提の際は、在庫との兼ね合いが重要で売上管理は勿論ですが、在庫管理とも緊密に関係します。一方、自社作業着手の為には、自社のスキルと負荷山積との兼ね合いからプロジェクト管理と関係します。同じ受注処理であっても、会社や部門によってあるべき姿は異なってきます。標準化対象となる業務が何の目的を持って為されているか?を最初に掴みます。次に、現状把握です。現状の流れの中から、待ちが発生している箇所、二度手間になっている箇所など不整合の発生している部分を見つけます。不整合への対策と本来の目的にむけ最短となるような流れに変えることが標準化です。
伝票や帳票の標準化については、流れを決めた後に、証左(証拠)として残す必要のあるデータ項目を整理しフォーマットを決めます。証左をキーとして伝票や帳票を考えると無駄な情報を省くのに役立ちます。
以上のように「標準化とは、業務目的に向かって必要情報の特定と最短時間を決める」という比較的単純な手法です。単純ですが現状調査には細心の注意が必要です。加えて、標準化の定着を進めることは大変です。長年の慣れとは無駄も含めて納得性を有していますので、新しい標準といっても抵抗があるものです。この際は、本来のあるべき姿を共有し現状での無駄なことを理解して頂くことが必須です。定着化ということだけに着目すればトップダウンに代表される強制的標準化は効果的です。標準化を現場改善を代表とするボトムアップ型で行うか?トップダウン型で行うか?いろいろと議論のあるところですし、どちらがいいというものではありません。但し、現場担当者に常に改善の意識があれば、様々な変化は最初に現場が遭遇しますので、企業経営の本質である変化対応の観点からは現場改善のようなボトムアップ型が優位と愚考しております。尚、なかなか定着しない標準は、本来の目的を見誤っている可能性が大ですので、目的から再度見直す必要があります。時代とともに目的が変わっていることも儘あります。又、業務スキル習得と標準化の考え方は表裏一体となっていますので、業務スキルを磨く為には標準化推進プロジェクトなどに参加するのが一番です。又、現場コンサルや業務コンサルといわれる仕事は、この標準化推進そのものです。常に、お客様の業務を標準化の観点で日頃から意識して観ることで、提案の付加価値も大きく膨らみます。
以上