ほうれんそう 営業雑感No.26

 以前、マネジメントの基本が「ほうれんそう 報告・相談・連絡」であることをお話ししましたが、今回は、身近な事例で、小生の考えを示します。

1)相談者より上司へ報告&相談

「契約済みのお客様で、本番間際だがネットワークベンダーを変更したい」と相談を受けました。SEに聞いたところ工数的にはあまり問題ないとのことです。どうしますか?

 この相談の本質は「当初見積範囲以外の作業を無償で請けていいか?」ですが、判断基準となるべき追加発生費用や工数が具体的に数字化されていません。更に、最も大きなミスは、判断期限(いつまでに答えを出さなければいけないか)が明確でないことです。このような場合、差し戻しすることも多いと思いますが、判断期限だけは、その場で確認することが必要です。差し戻しの余裕が無いケースもあり、結果的にお客様にご迷惑をおかけすることも儘あります。

2)報告の吟味(上司からの追加質問)

 「ほうれんそう」を上手く廻すポイントは、この追加質問だと考えています。判断納期含め質問者が考えるべき課題を指摘することが重要です。小生は、この追加質問を報告の吟味と位置付けています。場合によっては相談者と同行して関係者に聞くことも重要です。報告者は、とかく目の前のこと(言われたこと)だけに囚われていることが多く、自分に都合のいいことだけを聞いている場合もあります。話が横道にそれますが「人は聞きたい事を聞き、見たいものを見る」というのは真理だと思っています。尚、この吟味の際に下敷きにして便利なものもQCDです。上記のような報告では費用だけを問題とすることが多いのですが、納期も重要なポイントです。本番直前ということであれば尚更です。事例での追加質問は、以下のようなことが考えられます。

・ベンダー変更に伴う新たに発生する作業内容と費用(工数)

・ベンダー変更に関わる期間と本番時期への影響

・既に作業済みで無駄になる費用(工数)

・関係ベンダー(提携ベンダー、工事業者、委託先 など)への影響

・本稼働延期の影響

・ネットワークベンダー変更の背景(理由)

3)上司から報告者へ指示

 「ほうれんそう」に対する答えは、承認含めた指示になります。つまり、判断(意思決定)を具体的に相談者の次の動き(アクション)を示すことが必要です。ビジネスコミュニケーションにおいては行動が全てです。上記の場合は、追加費用と本稼働時期の二つの意思決定を組みわせることが必要です。以下の五つの回答があります。

①追加費用も本稼働時期も変更することなくネットワークベンダー変更ができる。

②追加費用は発生しないが、本稼働を延期すればネットワークベンダー変更ができる。

③追加費用が発生するが、本稼働時期は変更なくネットワークベンダー変更ができる。

④追加費用発生と本稼働延期を認めて頂ければネットワークベンダー変更ができる。

⑤手戻作業などが多く、ネットワークベンダーの変更はできない。

 お客様のご要望へのYESは①、NOは②ですが、ネットワークベンダー変更を優先した場合のオプション②、③、④を用意することも必要です。お客様に選択肢を示すことが提案の基本と考えます。

 上記に示しましたように、「ほうれんそう」は以下の3段階で終結します。

第一段階 報告&連絡&相談の発生

第二段階 報告の吟味(QCDを意識)

第三段階 相談者へのアクション指示(承認含む)

第二段階は、報告を受けた側の必須義務です。吟味に際しては三現主義をお勧めします。

 三現主義について、解説しておきます。ホンダでの取組が有名ですが、製造業においては、当たり前となっている理論で、問題が発生した場合、現場に行って、現物を観察し、現実を理解してから対策を考えるというものです。例えば、部品の取り違えによる障害が発生した場合、指示徹底だけでは不充分で部品棚の色を変えるとか、類似部品を使う工程を分けるとか、現場が間違えることのないようなしくみを考えないと障害撲滅には至りません。これを考えるには、現場と現物を観察することが必須です。「見える化」も三現主義の延長にある考え方ですし、一時流行した「事件は現場でおきている」という有名なキャッチも、ここから生まれたものです。現場と意思決定者との間には隔たりがあると意思決定者が自覚して、「現場・現物・現実」を現場、意思決定者の双方で共有することが三現主義です。

 「ほうれんそう」は、第三段階での報告者への具体的な行動指示で完結します。再考させることも指導のテクニックとしてはありますがLT(リードタイム)短縮の観点から、吟味の段階で指導し行動指示で都度完結させることを優先して考えるべきでしょう。

 最後に、報告の内容については、必ず5W1Hや6W2Hを意識します。5W1Hは、元来、新聞記者が、記事を書く下書きとしたものですので、ビジネスドキュメント作成のバイブルです。

5W1H

 Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)

6W2H

 上記にWhom(誰に)How much(いくらで or どれだけ)を追加する。

 小生、報告では、以下を留意するようにしています。

・時系列で報告(「いつ」を最優先)

・「誰が」「誰に」「どこで」「何を」言ったか?したか?を明記

・「どのように」「いくらで」「なぜ」については、推論として補足。

 マネジメントが行き届いているとは、吟味の余地が少ない報告&相談があがり、それが即断されて直ぐに行動が出来ている状態のことと小生は定義しています。「ほうれんそう」が上手く機能するようになると権限移譲も進み、益々、意思決定が早くなります。

以上