歴史は繰り返す 営業雑感No.25

 小生が大切にしている言葉に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉があります。直訳では「他人の失敗に学べ」で「歴史」は意訳されているようですが、確かに、大きな決断に迫られた時に歴史を探せば似たような状況はあり、且つ、歴史に残っているということは、自分よりも賢い人の判断の結果が出来ている訳で、自分のたかだか数十年の経験で考えるべきではないということだと納得をしております。横道にそれますが、動物学でも人類数万年の進化(変化)の過程で、最も進化していないのが脳だという結果がでております。従って、文字に記録されるようになって以降の人間は、脳に支配?されている感情も基本的には変わっていないというのが定説となっております。従って、感情面を含めて歴史に学ぶことは、極めて重要であると考えております。

 一方で、不思議なことに歴史は繰り返されています。その時代に生きた人間の感情が歴史をつくるとすれば判らないことではありません。「政治の時代」→「経済の時代」→「戦乱の時代」と繰り返されているという説があります。周期は、国や地域で異なり一定ではないようですが、政治が一流だと経済が発展し、経済が一流になると政治は二流となり貧富の格差などが生まれ、やがて戦乱の時代へと突入し、戦乱が続くことに嫌気がさし、卓抜した政治家の出現で戦乱が終息し、又、政治の時代が始まるというサイクルを繰り返すということです。確かに、明治以降の我が国の歴史でも当てはまります。今は経済の時代ですが、世界規模でも経済優先の行き詰まりを見せておりますので次の時代が心配です。「経済で繋がれば戦乱は起きない」という言葉は、経済優先者の詭弁のように感じています。不思議なことに、政治形態が国王などの専制君主制から民主主義政体に変わってもこのサイクルを止められていません。ご承知のようにヒトラーは、民主主義が生み出した怪物です。彼が戦争へと踏み出したのは、ドイツ敗戦による貧困に端を発しています。「民衆のレベル以上の政治家が出現しないのが選挙であり民主主義の本質」という名言を残した日本の政治家 渡辺 美智雄もおられますので、時代の変化を作っているのは我々の意識とも考えております。

 時代の話はさておき、IT業界での繰り返しについて自説をお話しします。IT業界は、発足から百年にも満たない新たらしい業界ですが、技術革新とシェア争いの結果として、いくつかの繰り返しがあります。

 一つ目は、以前にもお話ししました「集中」と「分散」の繰り返しです。「集中」は効率化の象徴であり、「分散」は操作性の象徴であると考えています。情報処理の中核をなす中央処理装置の変遷は、コンピュータ「集中」からPC(パーソナルコンピュータ)「分散」へと変わりましたが、ネットワーク技術とスマホに代表される携帯端末の出現でクラウドに代表される「集中」へと戻ってきています。この数年で「集中」の動きが加速し、その後に「分散」に転じると考えています。「分散」に向かう技術の変化の兆しは、SNS端末のICチップ化やAIロボットなどに顕れています。

 二つ目は、「専用」と「汎用」の繰り返しです。コンピュータは、最初は計算装置や暗号解読器など専用装置として生まれました。やがて、プログラム次第で様々な業務に使用できる汎用電子計算機と変わりました。そのプログラムも最初は、各使用者が作成していた「専用」の時代から同一業務であれば汎用的に使用できるパッケージソフト(PKG)が出現し「汎用」の時代へ変わりました。総じて今は「汎用」の時代ですが、今後は「専用」の時代へ大きく舵を切ると考えています。先ず、AIです。ペット型ロボットのようにAIは育てる先生次第で変わります。又、どんな分野でも共通のエンジンがある訳ではなく、将棋AIや応答AI、ネット検索AIなど、専用AIエンジンです。又、PKG類も「専用」とは少し概念が異なりますが、細業種や特定業務と更に細分化されていき業種汎用PKGの時代は長く続かないと考えます。

 三つ目は、「オープン」と「クローズ」です。こちらは、最初は各コンピュータメーカで言語や方式も異なり「クローズ」の時代でしたが、言語や接続方式などが各社共通となり「オープン」の時代になりました。インターネットの出現でオープン化の動きは決定的となりましたが、ディファクトという概念、つまりシェアを獲ったものが標準とうことになり厳密には「オープン」という概念が変質しました。本来インターネットブラウザはオープンであった筈ですが、マイクロソフトが自社ブラウザIEをOS添付として無償化したことで、一旦、市場が無くなりました。ところが、グーグルChromeなど新しい無償ブラウザの出現で、TOPシェア争いに変貌しています。これからは、ディファクトというオープンの仮面をかぶった「クローズ」の時代というのが小生の見解です。因みに端末OSの世界では、ANDROIDはオープン、i-OSはクローズで、オープンとクローズの戦いが続いています。アップルと争うクローズ型のOSが出現すれば、流れはクローズに行きそうだと感じています。中国、インド、東欧の企業が参戦する可能性が高いです。

 IT業界の今後を考える上では、分散化、専用化、クローズ化がキーになると愚考しております。尚,IT業界の繰り返しの周期は、どんどん短くなっており、今は10年周期と考えています。

以上