ブログ「IT革命の本質」で触れましたように、この先の十年はIT業界が大きく変革していきます。この変革をうけてIT職種がどのように変わっていくのかを考察してみました。一番変わるのは、IT産業と共に生まれた職種SEです。SEにも様々な種類がありますので、小生は、縦軸にプログラム作成を行う「PG」とパッケージソフト(PKG)システム適用を行う「適用」、横軸に業務やゲームなどアプリケーションに関わる「アプリ」とOS、ミドル、ネットワークなどICTインフラに関わる「インフラ」で構成される四象限で分類しました。具体的には、今は花形である業種・業務SEにも、PKGソリューションを提供しているアプリ適用型と、減少傾向が強いSI開発を担うアプリPG型の二種が存在します。又、組込系やゲーム系のSEは、ツールやOSが標準化された今は、殆どがアプリPG型に位置していると考えます。AI分野、ロボット分野、セキュリティ分野などは、本来は論理エンジンを開発するインフラPG型とそのエンジンを使って業務に適用させるアプリPG型に分かれる筈なのですが、ここ十年はエンジンに帰属するスキル要素が非常に強い上、エンジンの標準化が進展すると思えませんので、エンジン開発と特定エンジンに特化したアプリ開発を行うSEが連携して業務適用を行う形態のインフラPG型に包括されると考えます。尚、一般的に使われています要件定義やプロジェクト管理を行う上級SEという概念は敢えていれておりません。その理由は、各四象限で求められるスキルが異なる為、現在の上級SEという概念ではなく、スペシャリストに変わっていくと考えます。四象限の十年間の盛衰状況予測は以下のとおりです。
1)アプリPG型 衰退
業種分野でのフリーPKGや業務クラウドサービスなど業務毎に代表的なソフトが出回り個別SIが極端に減少する為、従来のSEの主役であったこの象限は、組込系、ゲーム系とクラウド型業種・業務PKG開発要員に限定されます。加えて、オフショア開発などグローバルな価格競争もあり、生き残りをかけた、大変、厳しい象限と考えます。
2)インフラPG型 急増
今後、増加する入出力製品開発においては、ドライバ開発、MMI開発、端末組込型ソフト開発などが必要ですし、AI、ロボット、セキュリティ分野などの新分野で必要とされる人材もデファクト争奪戦中のエンジン開発部隊に取り込まれますので、この象限が活性化します。開発言語はC言語系が主流で、MMI廻りがJavaと想定しています。開発手法はアジャイルが有利で、Linuxやandroidなどの経験が必須と考えます。
3)アプリ適用型 大変革
今は、特定PKGに精通し業務をそれに合わせるように指導するPKG従属型が主流ですが、クラウドの普及でお試し運用が一般化することで、業務に精通し業務ありきでクラウドサービスやPKGを選定するコンサル型が主流になると想定しています。又、PKGやクラウドを補完する外付けソフト開発や、本稼働後の運用サポートがこの象限の付加価値になると予想しています。従って、今のビジネスモデルとは、大きく異なります。
4)インフラ適用型 ニッチ化
この象限は、インターネットに代表されるように既存技術はインターフェースの標準化が進みますが、運用監視やサイバーセキュリティ、事業継承などの特定の分野に特化したお会社が出現すると想定しております。
次に、営業とインストの将来像について考察をします。今後のシステム導入検討方法は、提案要件を提示した、各社からデモや提案書をうけて検討するコンペ方式から、クラウドサービスに代表されるように、事前にトライをして決定することが可能となりますので、見せる事と提案する事が同義になっていきます。従って、システム規模に関係なく、デモと操作指導を担務していたインストと提案書作成をしていた営業は限りなく同化していき、新しい営業像(仮称 エキスパート営業)が生まれると愚考しています。
具体的には、商談提案段階からお客様の業務の流れを理解し、時には、業務改革を指導するなど、お客様にとって理想の業務運用の在り方をクラウドサービス適用によって実現させる職務となります。又、お客様は、提案から運用まで同じ人がサポートすることを望むことが多いですので、本運用後もエキスパート営業が関与し、ヘルプデスクが支援する対応になると考えています。前述のアプリ適用型SEとの境界は、非常に曖昧となりますが、営業は、特定商品に特化する特性を持っていますので、商品訴求からアプローチするのがエキスパート営業で、業務に特化し複数の商品の中からお客様に最適な形で自由に組合せるコンサル能力を有しているのがアプリ適用型SEと考えます。又、業務エキスパート営業は、新規・他社攻略を主眼とする顧客拡大を担務とし、アプリ適用型SEは、これから益々重視される長期継続使用を主眼とした顧客適用分野拡大支援型を担務することになるかもしれません。
但し、複数の業務が連携するシステム形態が、業種の垣根を超えて増えてきますので、業務毎に特化したアプリ適用SEが連携してあたることになり、工程管理を中心としたプロジェクト管理能力を有する方が必要になります。このプロジェクト管理については、必ずしもSEの仕事ではなく、提案時の事情をよく知っているエキスパート営業がこれを行うことも増えてくると考えます。最上流の業務コンサルとサービス間調整をアプリ適用SEが実施し、特定商品に特化した部分は、全て、エキスパート営業が実施するというのが、小生の将来シナリオです。
余談ですが、これからの標準化の方向性として、操作方法(エラーやヘルプの表示方法など)やシステム間連携規則などは、デファクト方式(TOPシェアシステムに従う)で標準化していくものと予想されますので、アプリ適用SEは存在せずユーザ責任とされるようになる可能性も秘めています。今のスマホは、まさにこの状態だと思います。
最後にCEですが、24時間監視などの特定分野でインフラ適用型SEと合体する方向に向かうと想定されます。
今回は、従来職種の未来予想を述べましたが、コンテンツに代表される新職種も生まれます。こちらは、次回のテーマとします。
以上